自閉スペクトラム症(ASD・自閉症スペクトラム障害)についてこんな話を聞いたことがございませんか…?

  • 女性よりも男性の方が多い。
  • 女性はASDの診断が遅い。

今回、これが本当なのか調べた2026年のカロリンスカ研究所などの研究を見てみます。



自閉スペクトラム症(ASD・自閉症スペクトラム障害)の発症における男女比の時間経過の変化について調べてみた…!

2026年のカロリンスカ研究所など縦断研究によると、自閉スペクトラム症(ASD・自閉症スペクトラム障害)の発症における男女比の時間経過の変化について調べてみたそうです。
障がい者支援に携わっている方にとっては耳タコでしょうが、ASDってのは、社会的なコミュニケーションが上手くいかない、興味やこだわりが強い、反復行動が多いといった特性のある神経発達障害となっております。
そしてCDC(アメリカ疾病予防管理センター)によれば、ASDの有病率は2000年初頭から増加しているとのこと。例えばアメリカにおけるASDの有病率は、2002年の8歳児は0.7%だったのに対し、2022年の8歳児は3.3%だったらしい。またアメリカや西ヨーロッパにおけるASDの有病率は1.0%~3.3%の間で変動しているとのこと。
そんなASDが増えている理由は良く分かっていないものの、

  • 幼児期からあるけど、診断されるのは大人になってからってパターンもあるから…?
  • ASDの診断基準が拡がったから…?
  • スペクトラムという概念が導入されたことによって全年齢層でASDと診断される人の数が増えたから…?

などの可能性があるみたい。
また、従来より男女比の違いも注目されておりまして、女性よりも男性が多いと言われていたんですな。
その理由も良く分かっていないものの、

  • 一般的に女性の方が社会的スキルやコミュニケーションスキルが高いから…?
  • その結果、診断が不十分になりがちだから…?
  • 又は、診断が遅れがちだから…?

などが考えられるらしい。
但し、上記が本当だとすると、実際は性差ってないんじゃない…?ってなる訳ですよ。
じゃあ、本当のところどうなのか…?ってことで今回調べてみることにしたそうです。
この研究は、1985年から2020年の間にスウェーデンで出生登録簿に登録された全ての新生児を対象にしたという物。因みに出生登録簿は、1973年以降のスウェーデンにおける、全ての出生の99%をカバーしているんだとか。
このデータから、2歳から追跡調査終了時(1987年1月1日から2022年12月31日)までのASD診断に関する情報をチェックしたとのこと。
つまり35年間でASDの診断における男女比の変化を見てみたってことですね。大規模ですな~。
ではまずデータの特徴から見てみましょう。

  • 総サンプル数は2,756,779人だった。
  • 追跡年齢の中央値は20.1歳で、最も長かった人は37歳まで追跡していた。
  • 2,756,779人中78,522人(2.8%)がASDと診断されていた。

それでは上記のデータを統計処理した結果を見てみましょう。

  • 全年齢層において、ASDの診断率が最も高かったのは2020年から2022年の間だった…!
  • 2020年から2022年の間の0~4歳の男児では184.8(10万人年あたり)だった…!
  • 2020年から2022年の間の0~4歳の女児では45.8(10万人年あたり)だった…!
  • 2020年から2022年の間の男性のピークは10~14歳で645.5(10万人年あたり)だった…!
  • 2020年から2022年の間の女性のピークは15~19歳で602.6(10万人年あたり)だった…!
  • 1995年から2022年にかけて、全年齢層でASDの継続的な増加が見られた…!
  • 2000~2004年と2020~2022年の期間では、0~4歳のASD率は19.8から117.2と約6倍も増加していた…!
  • 2000~2004年と2020~2022年の期間では、10~14歳のASD率は56.5から564.1と約10倍も増加していた…!
  • ASD率の時間経過による増加を見てみると、0~4歳の場合、女児よりも男児の方が多かった…!一方で10~14歳以上の場合、女児の方が多かった…!
  • 男女比は、0~4歳と5~9歳の年齢層では差が大きかったものの、他の年齢層では時間の経過とともに減少していた…!

つまりここから何が言えるのかというと、

  • 確かにASDの診断率は高くなっていた…!
  • 但し、ASDの男女比は、時間の経過とともに、また、診断時の年齢の上昇とともに低下していた…!
  • しかもスウェーデンにおいては、成人で見てみると、もはや男女差はほとんどなかった…!

って感じですかね。
先行研究の通り、ASDの診断は増えているし、女性の方が診断が遅い傾向にあったけど、最終的に見てみたら男女差なんてなかったぞ…!ってのは意外かと。



個人的考察

因みに研究者たちは、

  • 男女差がない、そう思われていたのは女性の診断が遅れがちだから。じゃあ、なんで女性の診断が遅れがちなのか、ちゃんと理由を調べる必要があるよねー

とおっしゃっておりました。
ここは今後の研究に期待って感じですね。



参考文献