【加筆内容】がんの遺伝の影響はどのぐらいなのか?
がん家系って言葉があるじゃないですか…?
自分の祖父母や父母、きょうだいなんかが、皆がんを発症しているから、自分も遺伝の影響でがんになりやすい…!みたいな話ですね。
でも、これって本当なのか…?ってことで、今回そこん所を調べた研究を見てみました。
個人的に、結構面白い研究だな~ってのと、勉強になったな~って思いましたんで、よければ皆さんもご覧ください…!
全部のがん発症率・死亡率のうち遺伝的要因はわずか5~10%…!残りの90~95%は生活習慣が要因…!ではどう予防・対策すべきか…?
2008年のテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究によると、がんによる遺伝的要因と生活習慣の要因について調べてみたそうです。んで、まずこの研究のタイトルなんですが
- がんは予防可能な病気…!生活習慣を大きく変えよう…!
みたいな感じになっております。
もう結論が出ましたね。めでたしめでたし…。
…ということで、結論は分かったんですが、もう少し詳しく…!って方も(わずかかもしれませんが)いることでしょう(笑)
なんで、もうちょい見ていきますね~。
まず、タイトルの通り、研究者たちは、これまでのがん研究を見直しておりまして、
- がんは生活習慣を大きく変えることで予防できる病気だ
と、おっしゃっておりました。
では、具体的に遺伝的要因と生活習慣の要因がどのぐらいの影響なのかですが、
- がん症例全体のわずか5~10%のみが遺伝的要因…!
- 残りの90~95%は環境とライフスタイル、つまり生活習慣が要因…!
とのこと。
つまりほとんど生活習慣で決定すると言っても過言ではない感じ…。がん家系だからってのは何だったのか…。
そのため、研究者曰く、
- 遺伝的要因は修正できないが、ライフスタイルと環境といった要因は修正できる可能性がある。そして、がんの遺伝的要因は少なく、生活習慣の要因は修正可能であるということは、がんが予防可能であることを示している
とのこと。
確かに修正可能な要因が90~95%って言うんだから、その結論になりますわな。
となると、がんの発症率と死亡率に影響を与える重要な生活習慣の要因とはなんだ…?ってなるんですが、タバコ、アルコール、食事、肥満(運動不足)、感染症、環境汚染、放射線
などとなります。
それでは一つずつ見ていきますかー。
がん要因①:タバコ
タバコとがんの関係は言わずもがなでしょう。肺がんを筆頭に少なくとも14種類のがんの発症リスクと関係があるタバコ。
がんによる死亡者全体の約25~30%、肺がんによる死亡者の実に87%はタバコによるものとなっております。
また、非喫煙者と比較すると、
- 男性喫煙者の肺がん発症リスクは23倍…!
- 女性喫煙者の肺がん発症リスクは17倍…!
っていうんだから驚きです。
因みに、タバコには少なくとも50種類の発がん性物質が含まれているそうなんで、この数字をたたき出すのも納得できるお話。
がん要因②:アルコール(お酒)
アルコール(お酒)と食道がんリスクの増加の最初の報告は1910年に遡るんだそうな。その後多くの研究により、慢性的なアルコールの摂取は、口腔がん、咽頭がん、下咽頭がん、喉頭がん、肝臓がん、膵臓がん、乳がんのリスクも高めることが明らかになっているらしい。
またアルコールの摂取量が1日に10g増えるごとに乳がんリスクが7.1%もアップするそうな。更に、アルコールの摂取量が1日に50〜70g以上と大量な方の場合、肝臓がんと大腸がんのリスクが爆発的に上がるらしい。
因みに食道がんの25~68%がアルコールが原因らしく、禁酒と禁煙によって最大80%を予防できるんだとか。
そんなアルコールによる影響は、がんによる死亡者全体の3.5%とのこと。
そんなアルコールによる影響は、がんによる死亡者全体の3.5%とのこと。
がん要因③:食事
がんの死亡者のうち約30~35%は食生活に関係していると予想されるとのこと。
そして食生活ががんによる死亡にどの程度影響するかは、がんの種類によって大きく異なるんだそうな。例えば、大腸がん(結腸直腸がん)による死亡リスクは、最大70%は食生活が原因とのこと。
また、赤身肉の大量摂取もヤバそうで、いくつかのがん、特に消化管がんのリスクを大幅に上げるらしい。具体的には、大腸がん、前立腺がん、膀胱がん、乳がん、胃がん、膵臓がん、口腔がんって感じ。但し、肉の摂取により肺がんリスクが減ったなんて話もあるんで、複雑な部分もあったり致します。
それと忘れちゃいけないのが加工肉のヤバさ。加工肉には亜硝酸塩(肉をきれいなピンク色に見せるために使う保存料)と硝酸塩(保存料)が入っていることが多いですが、主にボツリヌス菌対策で使用されます。これだけなら良いものの、強力な発がん性物質でもあるんですよね。また食品添加物も長期的な摂取はがん発症と関係あるみたい。
がん要因④:肥満(運動不足)
肥満は、結腸がん、乳がん(閉経後女性)、子宮体がん、腎臓がん、食道がん、胃がん、膵臓がん、前立腺がん、胆嚢がん、肝臓がんによる死亡率の上昇と関連しているそうです。また死亡率全体でみてみると、男性の14%、女性の20%は、過体重や肥満が原因の可能性があったそうな。つまり10~20%ってことですね。
そして近代化や西洋スタイルの食事は、多くの発展途上国における、太りすぎの増加と関係しているとのこと。この辺は、
に載っている西洋スタイルの食事研究や狩猟採集民研究を見てみるとよろしいかと。
がん要因⑤:感染症
世界のがんと感染症の関係は約17.8%、つまり15~20%であるんだとか。
感染症によって引き起こされるがんのほとんどはウイルスによるものとのこと。具体的には、子宮頸がん、外陰がん、陰茎がん、皮膚がん、上咽頭がん、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、成人T細胞白血病リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、肝臓がんのリスクと関係があるらしい。
がん要因⑥:環境汚染
環境汚染は様々ながんとの関係が分かっているそうです。特に大気汚染物質の多くは、がん、特に肺がんのリスクを高めるそうな。
がん要因⑦:放射線
がん全体の最大10%は、放射性物質や紫外線(UV)などによって引き起こされるとのこと。放射線によって引き起こされるがんには、一部の種類の白血病、リンパ腫、甲状腺がん、皮膚がん、肉腫(サルコーマ)、肺がん、乳がんなどがあるんだとか。
ここまでのまとめ
では、ここまでのポイントをまとめておきましょう。- 全部のがん発症率・死亡率のうち、遺伝的要因はわずか5~10%…!残りの90~95%は生活習慣が要因…!
- つまり、がんはライフスタイルでかなり予防できる…!
- 全部のがん発症率・死亡率のうち、タバコの要因は約25~30%…!
- 全部のがん発症率・死亡率のうち、食事の要因は約30~35%…!
- 全部のがん発症率・死亡率のうち、感染症の要因は約15~20%…!
- 全部のがん発症率・死亡率のうち、肥満の要因は約10~20%…!
- 全部のがん発症率・死亡率のうち、その他の要因は約10~15%…!
がん予防・がん対策
ではがん要因のポイントを抑えましたんで、ここからは予防・対策を考えていきましょう。
もう見えているところがほとんどですが、以下がそのポイントということです。
う~ん。普通。
普通過ぎるけど、やっぱこれがコンセンサスであり、基礎基本なんですね…。
因みに、こんなん無理だ…!とか聞こえてきそうなんですが、そんな人へのアドバイスも研究者たちは行っておりまして、
- 肺がんの患者さんのほぼ90%は喫煙者…!
- タバコ+アルコールで、がん細胞は相乗的に成長する…!
- 無煙タバコは世界中で40万件(全部のがんの4%)の口腔がんの原因…!
ってところがあるので、研究者曰く、
- したがって、タバコ製品を避け、アルコールの消費量を最小限に抑えることは、がんの発症率に大きな影響を与える可能性がある
としています。
つまり、
- まずは禁煙と禁酒だ…!
ってことですね。
うわっ、こっちも超普通…。
個人的考察
ということで、がんは自分でほとんど予防できるって話でした。
因みに研究者曰く、
- このレビューでは、炎症(慢性炎症)が、がんを引き起こす因子とそれを予防する因子とのつながりであるという証拠を示している
ってことなんで、慢性炎症が原因と結論付けております。