今回は、睡眠ホルモンメラトニンとの関係を調べた系統的レビューを見てみます。



地中海式ダイエットとメラトニンの関係について系統的レビューを行ってみた…!

2023年のセビリア大学の研究によると、地中海式ダイエットとメラトニンの関係について系統的レビューを行ってみたそうです。
具体的には地中海式ダイエットで食べられる食品のメラトニン含有量をチェックしつつ、メラトニンレベルに対する地中海式ダイエットの影響を評価してみたとのこと。
ということでまず研究者たちは、2022年2月までに発表された該当研究をPubMed、Scopus、Web of Science、Cochrane Libraryで検索してみたそうな。また検索された研究の参考文献も見てみたらしい。すると検索で999件、参考文献で7件の研究が見つかったんだとか。
次にこの中で重複している研究や質の低い研究を除いていったそうで、最終的に31件の研究がピックアップできたみたい。その後、メラトニンを含む地中海式ダイエットの食品と、地中海式ダイエットのメラトニンレベルへの影響の2カテゴリーに分類して、レビューしてみたそうです。
では、最初に地中海式ダイエットで食べられる食品に含まれるメラトニンについてのポイントをチェックしていきましょう。

  • 地中海式ダイエットで良く食べられる果物と野菜に含まれるメラトニン含有量をチェックした結果、ブドウとオリーブオイル、トマトが多く含まれていた。
  • ワインはブドウから作られるお酒のため、ポリフェノールやメラトニンなどが豊富に含まれている。
  • 赤ワインのメラトニン含有量は7.44〜0.24ng/mLで、白ワインが3.93〜0.16ng/mLのため、赤ワインの方がより多くメラトニンを含んでいた。その量はブドウと同程度だった。
  • 一方で白ワインと赤ワインの間にメラトニン含有量の違いは見られなかったという研究もあった。
  • これはブドウの育った環境やワインの製造方法などによって変わるみたいだった。
  • オリーブオイルは、抗炎症作用と抗酸化作用があり、特に地中海式ダイエットで用いられるのは、エクストラ・バージンオリーブオイルである。
  • エクストラ・バージンオリーブオイルのメラトニン含有量は71~119pg/mLだった。
  • 但し、オリーブオイルも製造方法などによってメラトニン含有量は変わるみたいだった。
  • 最も高いメラトニン含有量は果物野菜で見つかった。但し収穫時期や年、成熟度、品種などの条件によってメラトニンの量はばらつきがあった。
  • 例えば、トマトのメラトニン含有量は25ng/gの物もあれば50ng/gの物もあった。但し栽培した国や品種によってメラトニン含有量が10~100倍低い結果が出たものもあった
  • アーモンド、ピスタチオ、クルミ、栗などのナッツ類もメラトニン濃度に影響を与えていた。
  • 例えばアーモンドのメラトニン含有量は600〜2,000pg/g、ピスタチオのメラトニン含有量は1000〜12,000pg/gだった。
  • 但しナッツ類も品種などによってかなり差がありそう。
  • 豆類穀物もメラトニンが非常に豊富だった。
  • などの動物由来の製品はメラトニンの含有量が非常に少なかった。

続いて、メラトニンレベルと地中海式ダイエットについてのポイントをチェックしていきましょう。

  • 地中海式ダイエットで食べられる様々な食品にメラトニンが含まれていたが、それらの摂取による影響は謎だった。
  • 地中海式ダイエット後のメラトニンレベルのデータによれば、果物や豆類などのメラトニンが豊富に含まれる食品を摂取すると、ヒトを対象にした研究、動物実験の両方でメラトニン濃度が増えていた。
  • ただし、各研究で記録された食品が異なるため比較が出来なかった。
  • 例えば、約10.5ngのメラトニンを含むクルミ3gを与えられたラットは、血中のメラトニン濃度が11.5pg/mLから38.0pg/mLに増えていた。
  • ヒトでは、赤ワイン100mLを飲んだ1時間後に血中のメラトニン濃度が有意に高かった。
  • 適度な量のビール(女性330mL、男性660mL)を飲んでもらった45分後、血中のメラトニン濃度が増えていた。

つまり、まとめると、

  • 地中海式ダイエットで良く食べられる、トマト、ワイン、ビール、ナッツ、オリーブオイルは、メラトニン含有量が多かった…!

って感じ。
また、これらの食品を定期的に摂取すると、血中のメラトニン濃度が上昇するだけでなく、睡眠の質や抗酸化状態にも影響を与える可能性があったみたいです。



個人的考察

地中海式ダイエットとメラトニンの直接的な関係については今後の研究に期待…!って感じだけど、これらを見るにメラトニンがアップしそうな感じ。そうなれば睡眠にもプラスの影響が出そうですよねー。



参考文献