第一印象は超大事…!ってのは皆さんも知っての通り。
なんかを見てみても言えるのではないでしょうか…?
んで、これまた皆さんも知っての通り、一度ついた第一印象を変えるってのは不可能とか非常に難しいと言われているんですよね。理由は色々考えられますが、大きくは確証バイアスとハロー効果の影響が大きいのではないかと。
では、一度ついた第一印象を変える方法をガッツリ調べてみよう…!となったのが今回の研究です。これは非常に面白かったんで、じっくり見ていきます…!



第一印象を変えるのは不可能なのか…?覆す方法をフランシスと一緒に学んでみよう…!

2015年のコーネル大学の研究によると、第一印象を変える方法について調べてみたそうです。
そもそも第一印象を変える難易度は以下の2つによって異なる可能性があるそうな。

  1. 明示的評価で第一印象が変わるパターン:明示的評価とは、直接的な評価のこと。例えば、誰かの発言に対して賛同するような感じのことでして、傍から見ても分かる感じですな。これにより、自分の考えが変わる可能性があるみたい。
  2. 暗示的評価で第一印象が変わるパターン:暗示的評価とは、間接的な評価のこと。例えば、今ある印象と違う印象の情報が新たに入ってきて考えが変わるという可能性があるみたい。但しこちらはいくつもの先行研究により、以前の印象が誤りであることが判明しても、簡単に覆らないということが多いんだとか。

上記は非常に納得できる話でして、明示的評価はコミットメントの原理なんかによって確かにコロッと考え方が変えられますよねー。なんでまず第一印象を変えたいなら、相手の口から言わせるってのが基本なのかもしれません。
それに対して、暗示的評価の難易度が高いってのも納得出来まして、例えば、以前の考え方と統一したい気持ち(一貫性の原理)が働いたり、分かっちゃいるけど否定したい気持ちがあったり、プライドで後戻りできない…みたいなパターンもありますよね。ジワジワ変わる感もありますし…。
ではその暗示的評価によって第一印象の変えるにはどうすればいいんでしょうか…?
暗示的評価の方法としては、新しい追加の情報を聞いた時、修正される情報を聞いた時、マイナス情報をかき消すプラス情報を聞いた時などが考えられるとのこと。そこで7つの実験を行ったそうです。


実験1a

実験1aでは、参加者200名(男性55%、平均年齢37歳)を対象に、架空の人物の物語を聞いてもらったそうな。どんな内容だったかと言いますと、以下な感じ。

  1. フランシス・ウェストは、自宅近くにある2軒の家の持ち主のグリフィン夫妻とウォード夫妻が、少しの間外出していたことを知っていた。
  2. 数分後、フランシスは窓からグリフィン家を眺め、どうしてもそこへ行かなければならないと決心した。
  3. フランシスは自宅の地下室から斧をつかみ、裏庭を横切ってグリフィン家の玄関に向かった。
  4. フランシスは斧でドアを叩き、大声を上げながら時折ドアを蹴った。その結果、ドアは歪み、ついに壊れた。
  5. ドアにはグリフィン家の娘であるゾーイちゃんが数日前に書いた小さな蝶の絵があった。しかし粉々になってしまった。
  6. フランシスはグリフィン家の真新しいベージュのカーペットに泥を踏みつけながら家の中に入っていき、奥へと進んでいった。
  7. フランシスは、グリフィン夫人が祖母から受け継いだ貴重な花瓶を倒し、粉々に割ってしまった。
  8. フランシスがキッチンに入ると、大きな鍋に水がいっぱい入っているのが目に入った。すると、その鍋をつかみ、キッチン中に水をぶちまけた。その結果、キッチンカウンターの上に置いてあったゾーイちゃんのノートパソコンがびしょ濡れになり壊れてしまった。
  9. 次にフランシスは鍋を持ったまま2階への階段を上っていった。残りの水を廊下中にぶちまけながら。その水がグリフィン夫人の母親が亡くなる何年も前に描いた絵にかかった。それはグリフィン夫人のお気に入りの絵だった。
  10. フランシスは2階に上がると、寝室をくまなく物色し出した。貴重品を探し始めたのだ。その際ゾーイちゃんの絵を踏みつけたが、フランシスは全く気にしていなかった。
  11. フランシスは貴重品を見つけ、それを持って家を出た。
  12. グリフィン家を出た後、そのまま隣接するウォード家に狙いを定めた。
  13. フランシスは、ウォード夫人が大切に育ててきた庭を横切り、何年も大事にしてきた家庭菜園をぐちゃぐちゃにして、裏口の隣にある大きな出窓の前にたどり着いた。
  14. 出窓には手作りのステンドグラスが飾られていた。が、フランシスは近くのレンガの山からおもむろにレンガを拾い、ためらうことなくそれを叩き割った。
  15. フランシスはウォード家の窓から侵入した。その際、大型テレビを倒しながら。
  16. 室内に入ったフランシスはファミリールームから廊下へと進んでいった。途中飼い猫がいて踏んでしまった。飼い猫は鳴き声をあげて逃げていった。
  17. フランシスはぎこちなく階段を上り、たまに左右にふらつきながらも進んだ。その時ウォード家が飾っていた陶器の作品を何点か倒した。しかし、フランシスは気にも留めなかった。
  18. 2階に着くと、フランシスはグリフィン家と同じように貴重品がないか物色し出した。貴重品を見つけたフランシスは、階段へと引き返した。
  19. その途中、猫が死んで横たわっているように見えた。しかし、フランシスは気に留めていなかった。
  20. フランシスはゆっくりとドアに向かった。階段を下りると、まるで狂ったかのようにあちこちを蹴ったり押したりし始めた。その際、箱の中にあった貴重な陶磁器は粉々に砕け散った。また、家族写真の上を歩き回ったため、写真は泥だらけになった。
  21. ドアの前にたどり着くと、フランシスは乱暴にドアを押し開け、庭へと出て行った。彼の靴のかかとには、数枚の家族写真がくっついていた。
  22. フランシスはそのまま道路へ向かった。
  23. フランシスは、めちゃめちゃになった2軒の家に向かって腰掛けた。側にはそこから持ち出した貴重品があった。その後フランシスは道の先を見つめながら、グリフィン家とウォード家の帰りを待った。

サイコパス…!これが私の第一印象です(笑)。やべーな、フランシスっと…。
皆さんはどんな第一印象を持たれましたかね…?

んで、これを聞いてもらった後、参加者たちにフランシスの印象を聞いております。
次にここから2グループに分かれて以下の新しい追加情報のお話を聞いてもらったそうです。

  1. フランシスは、隣り合うグリフィン家とウォード家が火事になっているのを見て、家に押し入った。フランシスが両方の家から持ち出したという貴重品は、幼い子供たちだった。またフランシスは心配した両親が戻ってくるまで、二人のそばにいながら歩道で待っていた。
  2. フランシスは、歩道でウォード家とグリフィン家の人たちと会うのを待ちながら、道端の石を拾い集め、家に投げつけ始めた。恐怖に震える家族が戻ってきた時には、ほぼ全ての窓が石で割られ、正面はへこみでいっぱいだった。

…。1のパターンのフランシス…英雄じゃん…!さっきの第一印象…。
それに対して2のパターンのフランシスは更にサイコパス感が際立ちますな(笑)
…ってことで、参加者たちに再度フランシスの印象を聞いてみたとのこと。
最後に第一印象がどれだけ変わったか比べてみたらしい。
結果は皆さんの想像通りでして、

  • 火事の家に飛び込み子どもを救ったフランシスの第一印象は大きく改善した…!
  • 石を投げ始めたフランシスの第一印象は悪いままだった…!

って感じ。
まぁ、そりゃそうでしょうねって感じですよね。


実験1b

実験1bでは、参加者301名(男性55.6%、平均年齢32歳)を対象に、架空の人物の物語を聞いてもらったそうな。
まずは実験1aと同じ内容の物語を聞いてもらったそうです。
但し一つだけ違いがありまして、冒頭に一文付け加えられたんですよ。どんな文章だったかと言いますと、

  • フランシスが住む小さな町の住民の約99%は白人だった。しかし最近、町で初めて異人種間家族であるグリフィン家とウォード家が引っ越してきた

とのこと。
これにより、フランシスの行動の動機をほのめかし、ネガティブ感情を強く、変えるのを難しくしてみたらしい。
その後の流れは実験1aと全く同じでして、フランシスの印象を聞いて、2グループに分かれて新しい追加情報を聞いてもらい、最後にもう一度フランシスの印象を聞いたって感じです。
さて結果がどうなったかと言いますと、

  • 実験1aと同じ結果だった…!

とのこと。
やっぱり、火事から助けたフランシスの第一印象は大きく改善し、石を投げたフランシスの第一印象は悪いままだったみたい。
次はその理由を調べるための実験を行ってみたそうです。


実験2

実験2では、参加者299名(男性50.3%、平均年齢33.9歳)を対象に、実験1aと同じフランシスの話を聞いてもらったそうな。そしてこれまた同じく聞いた後、参加者たちにフランシスの印象を聞いてみたらしい。
次にグループに分かれて新しい追加情報のお話を聞いてもらうんですが、その際、新たなストーリーを一つ増やしてみたらしい。つまり3グループに分かれてもらったってことですね。それでは追加情報を見てみましょう。

  1. (実験1aと同じ)。フランシスは、隣り合うグリフィン家とウォード家が火事になっているのを見て、家に押し入った。フランシスが両方の家から持ち出したという貴重品は、幼い子供たちだった。またフランシスは心配した両親が戻ってくるまで、二人のそばにいながら歩道で待っていた。
  2. (実験1aと同じ)。フランシスは、歩道でウォード家とグリフィン家の人たちと会うのを待ちながら、道端の石を拾い集め、家に投げつけ始めた。恐怖に震える家族が戻ってきた時には、ほぼ全ての窓が石で割られ、正面はへこみでいっぱいだった。
  3. (新ストーリー)。別のとある日、フランシスは、地下鉄の駅にいたとき、赤ちゃんが這って線路に落ちたことに気づいた。フランシスは電車が迫る中、線路に飛び降り、赤ちゃんを抱きあげ、ギリギリのところで助けることに成功した。この話はニュースにもなった。

つまり、新ストーリーは最初の話と全く関係ない場面での良い話って感じですね。これでフランシスの第一印象が変わるのか見てみたとのこと。
あとの流れは実験1aと全く同じで、最後にもう一度フランシスの印象を聞いたみたい。
んで結果なんですが、

  • 火事から助けたフランシスの第一印象は大きく改善したのに対し、地下鉄の話の場合は、フランシスのネガティブな印象は減少したものの、完全には消えなかった…!

とのこと。
フランシスの良い奴っぽさは伝わったみたいですが、でもこれとそれとは話が違う…!みたいな感じですかね。マイナススタートの印象はそう簡単に変わらないみたい…。やっぱマイナスになった話を覆す情報が必要みたいですねー。


実験3

実験3では、参加者451名(男性47.9%、平均年齢34.86歳)を対象に、実験1aと同じフランシスの話を聞いてもらったそうな。
次に以下の3グループに分かれてもらったとのこと。

  1. (今までと同じ)。フランシスの印象を聞いてみる。
  2. 簡単な数字(2桁の数字)を記憶してもらう。
  3. 難しい数字(8桁の数字)を記憶してもらう。

要は認知的負荷をかけたら、印象が変わるのかってことですね。
その後の流れは今までと同じでして、グループに分かれて新しい追加情報を聞いてもらったんだとか。
そして最後の流れがまた変わりまして、先程の3グループに分かれてもらい、以下を行ったとのこと。

  1. (今までと同じ)。最後にもう一度フランシスの印象を聞いてみる。
  2. 記憶した簡単な数字(2桁の数字)の記憶力テストを行う。その後フランシスの印象を聞いてみる。
  3. 記憶した難しい数字(8桁の数字)の記憶力テストを行う。その後フランシスの印象を聞いてみる。

それでは結果を見てみましょう。

  • 難しい数字を記憶した人たちは、火事から助けたフランシスの話を聞いても第一印象が変わらなかった…!
  • 簡単な数字を記憶した人たちと、数字を記憶しなかった人たちは、火事から助けたフランシスの話を聞いて第一印象が大きく改善した…!

つまり、第一印象を変えるには、ある程度考える余裕が必要ってことですね。


実験4

実験4では、参加者75名(男性36%、平均年齢36.56歳)を対象に、実験1aと同じフランシスの話を聞いてもらったそうな。その後、同じく参加者たちにフランシスの印象を聞いてみたらしい。
次の流れも同じでして、グループに分かれて新しい追加情報を聞いてもらったんだとか。
んでここからがちょっと違いまして、参加者たちに以下の話をしたみたい。

  • 先ほどのフランシスに関する新しい情報を得たとき、この新しい情報はフランシスの以前の行動の意味をどの程度変えましたか…?1(全く変えなかった)から9(大きく変えた)までの中から選んでください。
  • 私たちの考えは、すぐにまとまることがあります。一方で、徐々にまとまることもあります。先ほどのフランシスに関する新しい情報を得たとき、フランシスの行動の意味についての考えは、すぐにまとまりましたか…?それとも徐々にまとまりましたか…?1(すぐに)から9(徐々に)までの中から選んでください。
  • 私たちは時々、深く考え、それによって思考は非常に広範囲に及ぶことがあります。一方で、深く考えず直感に従った場合、思考はそれほど広がりません。先ほどのフランシスに関する新しい情報を得たとき、あなたはどれくらい考えましたか…?あまり考えませんでしたか…?それともたくさん考えましたか…?1(あまり深く考えなかった)から9(深く考えた)までの中から選んでください。

これらを回答してもらった後、もう一度フランシスの印象を聞いてみたそうです。
結果、

  • 思考スピード又は熟考度のいずれにおいても、有意な相関関係はなかった…!
  • 但し、新しい情報が以前の物語の意味を変えたという考え方が重要だった…!
  • また、思考は、徐々にではなくすぐにまとまること、思考の広がりが小さいことは関連していた…!

とのこと。
どうやら第一印象を変えるには、最初の物語の詳細を少なくとも短時間は再検討して意味を再構築する必要がありそうですね。そこに深く考える必要はないみたい。


実験5

実験5では、参加者296名(男性49%、平均年齢33.72歳)を対象に、実験1aと同じフランシスの話を聞いてもらったそうな。その後、フランシスの印象を聞いてみたらしい。
次に実験2で使われた

  1. 火事から助けたフランシスの話
  2. 地下鉄の話

のどちらかを聞いてもらったらしい。
その後、実験4で使われた以下の質問を2つのみしてみたとのこと。

  • 先ほどのフランシスに関する新しい情報を得たとき、この新しい情報はフランシスの以前の行動の意味をどの程度変えましたか…?1(全く変えなかった)から9(大きく変えた)までの中から選んでください。
  • 私たちは時々、深く考え、それによって思考は非常に広範囲に及ぶことがあります。一方で、深く考えず直感に従った場合、思考はそれほど広がりません。先ほどのフランシスに関する新しい情報を得たとき、あなたはどれくらい考えましたか…?あまり考えませんでしたか…?それともたくさん考えましたか…?1(あまり深く考えなかった)から9(深く考えた)までの中から選んでください。

これらを回答してもらった後、もう一度フランシスの印象を聞いてみたそうです。
その結果、

  • 新しい情報によって最初の物語の詳細の意味が変わった…!と感じた程度が高い程、第一印象が大きく改善していた…!

とのこと。
つまり、火事から助けたフランシスの話は地下鉄の話よりも、最初の物語の本当の意味が変わる可能性が大きかったんで、第一印象が変わったってことですね。因みに普通は大事な熟考度はやはり関係なかったみたい。


実験6

実験6では、参加者301名(男性53.5%、平均年齢32.02歳)を対象に、実験1aと同じフランシスの話を聞いてもらったそうな。その後、フランシスの印象を聞いてみたらしい。
次に実験1aで使われた話又は新たな話のいずれかを聞いてもらったんだとか。

  1. (実験1aと同じ)。フランシスは、隣り合うグリフィン家とウォード家が火事になっているのを見て、家に押し入った。フランシスが両方の家から持ち出したという貴重品は、幼い子供たちだった。またフランシスは心配した両親が戻ってくるまで、二人のそばにいながら歩道で待っていた。
  2. (新たな話)。フランシスには、過去に強盗や暴行など複数の犯罪の逮捕歴があることが判明した。近隣住民によると、フランシスは近所の子供たちをよく怒鳴りつけており、前日にはグリフィン家とウォード家の子どもが自宅の庭で鬼ごっこをしていた際、怒鳴りつけていたという。彼は貴重品を狙って、又は復讐のために、一家の家を荒らしたようだ。

その後、もう一度フランシスの印象を聞いてみたそうです。
それから3日後、参加者に連絡し、フランシスの印象を聞いてみたんだとか。つまり時間の経過によって第一印象が変わるのか見てみたってことですね。
では気になる結果を見てみましょう。

  • 3日後も、火事から助けたフランシスの印象は改善したままだった…!
  • 3日後も、家を荒らしたフランシスの印象は悪いままだった…!

第一印象から変わった場合、そのままの場合に関係なく、時間の経過では印象は変わらないみたいですね。


まとめ

7つの実験から分かったことをまとめておくと、以下のようになるのではないでしょうか…?

  • 第一印象を変えるのはやっぱり難しい…!
  • 暗示的評価を変えるのは特に難しい…!
  • 暗示的評価を変えるには、第一印象を決めた内容そのものを覆すことができる内容が必要…!

因みに研究者たちは、これを「再解釈」と呼んでおりまして、兎に角第一印象が悪い場合は再解釈が大事だ…!と書かれておりました。



個人的考察

ということで、なんとなく第一印象が悪くなった場合は、悪くなった出来事の再解釈をするように持っていくと良さげ。ただ、その相手に考える余裕がある時じゃないとダメな事、そもそもその出来事が分からないと、違う良い話をしてもあんま意味がない事を踏まえると、やっぱ第一印象を覆すのは相当難しいのかな~と思う次第です。



参考文献