【加筆内容】運動・トレーニングをサボる(ディトレーニング)の研究を見てみる! その2
先週の続きです。
今回は予告通り、アスレティック・ビルバオのレビュー論文を見てみます。
アスレティック・ビルバオはスペインのサッカークラブチームでして、ここから2001年に発表された2つのレビュー論文が非常に勉強になるんですよね。
ディトレーニングによる心肺機能・代謝についての先行研究を、アスリートと中程度又はトレーニング初心者別に見直ししてみた…!
2001年のアスレティック・ビルバオのレビュー論文によると、ディトレーニングによる心肺機能・代謝についての先行研究を見直ししてみたそうです。
因みにこのレビューでありがたいのは、アスリートと中程度又はトレーニング初心者を分けて別々にチェックしてくれたところ。
それでは早速見てみますかー。
心肺機能におけるディトレーニング:VO2max(最大酸素摂取量)
まずVO2max(最大酸素摂取量)の観点から調べた研究を見てみます。
最初はアスリートを対象にした場合です。
- 高い有酸素パワーを持つアスリートを対象にした研究によると、4週間未満のトレーニング中止により、VO2maxは急速に減少していた…!
- 7日間脚にギブスを装着、その後8日間のトレーニングなしの研究(つまり15日間のディトレーニング)では、持久力ランナーアスリートのVO2maxが4%減少していた…!
- 持久力ランナーアスリートが14日間のトレーニングを中止したら、VO2maxが4.7%減少していた…!
- 2週間又は4週間トレーニングをしなかった持久力アスリート8名を対象に調査したところ、
- VO2maxが6%減少していた…!
- アスリートを対象に3~8週間の運動を控えてもらった研究では、VO2maxが20%減少していた…!
- シーズン終了後4週間トレーニングを中止していた男子バスケットボール選手は、VO2maxが13.8%減少していた…!
- 大学のサッカー選手11名を対象に5週間のトレーニング中止を行った研究によると、VO2maxが6.9%減少していた…!
これらを見ると、アスリートのVO2maxは2週間ぐらいには落ちちゃうみたいですね。
しかしここで難しいのが全く真逆の結果も出ているということです。
例えば、
- 15人の長距離ランナーを対象にした研究では、10日間のトレーニング中止を指示したが、VO2maxに変化はなかった
- 大学の競泳女子を対象にした研究では、10日間のトレーニング中止を指示したが、VO2maxに変化はなかった
- サッカー選手を対象に3週間のトレーニング中止を行った研究によると、VO2maxに変化はなかった
って感じ。う~む…。
ただ研究者によると、上記のような相反する結果が出た理由は、トレーニングの中止期間中の選手の身体活動量にばらつきがあったことで、部分的に説明できる可能性があるとのこと。
またポイントなのは、トレーニング中止によるVO2maxの減少は、時間と初期の運動レベルに依存するみたいってことです。
載っていた研究を見てみると、
- 持久力トレーニングを行った7人の参加者が84日間トレーニングを中止したところ、VO2maxが21日目には7%減少、56日目に16%減少、その後は維持されていた。ただ、この維持状態は、普段座りがちな参加者よりもVO2maxが17.3%高かった
- トレーニング中のVO2maxと活動不足によるVO2maxの減少率の間には0.93の相関関係が見られた
- 自転車アスリートと持久力ランナーアスリートを対象にした研究によると、60日間のトレーニング中止中、トレーニング中止45日目までVO2maxは直線的に減少していた…!
- 大学のバドミントン選手が2年間トレーニングを中止した研究では、6.3%しかVO2maxが減少していなかった…!
とのこと。
つまり、
- アスリートのVO2maxは、トレーニング中止後の最初の8週間は、初期のVO2maxに比例して徐々に減少する
- この減少幅は4~20%
- 但し、その後VO2maxは減少しなくなる
- 減少した状態のVO2maxレベルは、普段運動していない人のVO2maxよりも高い
って感じ。
最初VO2maxが高い人ほどガクンと下がっちゃうけどある程度下がれば維持され、それは普段運動していない人よりも状態みたいですね~。昔取った杵柄が残るみたいな感じでしょうか…。
次に中程度又はトレーニング初心者の場合です。
なんでもトレーニング後の有酸素パワーが低い人、トレーニング歴が1年未満の人、3週間ぐらいの中止の場合、VO2maxの減少は起きなかったそうです。また最近トレーニングを始めた中年の方を対象に2週間トレーニング頻度を50%に減らすか完全に中止した研究では、トレーニングによって得られたVO2maxの増加(12.0%)を維持できたらしい。
一方で、最近トレーニングを始めた(4~8週間)の方のVO2maxは、2~4週間のトレーニング中止で3.6~6%減少したそうで、また持久力トレーニングを4週間行い、4週間中止した人はVO2maxが減少していたんだとか。更に6週間の持久力トレーニングでVO2maxが9.6%アップした人に3週間中止してもらったら、VO2maxが6%減少していたとのこと。
他にも健康な若者女性を対象に6週間のインターバルトレーニングを行ってもらい、VO2maxを増加させ、その後2週間のトレーニング中止をしてもらった研究では、中止期間中に維持された増加率はわずか24%だったらしい。
更にトレーニング初心者が長期間のディトレーニングを行うとVO2maxはトレーニング前に完全に戻ってしまうみたい。
例えば8週間のトレーニング中止を行った研究によるとVO2maxがトレーニング前に戻ってしまったそう。また以前運動不足だった女性8人に8週間の持久力トレーニングを行ってもらった研究によると、VO2maxは増加したんですが、その後4~12週間のトレーニング中止で完全に元に戻ってしまったみたい。更に15週間のウォーキングトレーニング後、6か月間トレーニングを中止した35~54歳の男性参加者はVO2maxが7.2%減少し、ベースラインに戻ったとのこと。
他にも15週間の断続的トレーニング後、7週間のトレーニング中止をした場合、VO2maxが8.4%減少したケースや女子大学生44名を対象に10週間の持久力トレーニング中に増加したVO2maxがその後の10週間のディトレーニングで元に戻ったケースもあるそうです。
そして思春期男子12名に持久力トレーニング又はスプリントトレーニングを3ヶ月間実施し、その後6ヶ月間トレーニングを中止した研究では、持久力トレーニングが8.0%減少、スプリントトレーニングが2.3%減少したらしく、スプリントトレーニングはベースラインに戻ったことを意味しているらしい。
ただ難しいのが、こちらもVO2maxがある程度残ったって研究もあるということ。
例えば若者に9週間のトレーニングを行い、その後9週間トレーニングを中止してもらった研究では、VO2maxは減少したものの、トレーニング前よりは値が高かったらしい。また平均年齢23.4歳の男女を対象に20週間有酸素トレーニングを行いその後7週間トレーニングを中止した研究でも同様の結果が出たそうです。
以上から予想されるのは、
- 中程度又はトレーニング初心者(有酸素パワーが低い、トレーニング歴が1年未満)の人は3週間ぐらいの中止ならVO2maxに影響はなさそう
- 但し最近トレーニングを始めた人、女性や若者はVO2maxが減少しそう。一方で完全に元に戻るのには時間もかかりそう
- つまりアスリートよりVO2maxの減少はかなり緩やかな可能性がある
- 但しアスリートとは違い、中程度又はトレーニング初心者が長期間のディトレーニングを行うと完全に元に戻ってしまう
といったところでしょうか。
個人的考察
今回はここまで。
続きは来週です。
参考文献
最後にご紹介します。
