今回は、2024年に発表されたハンガリーの研究を見てみます。



ハンガリーにおける大うつ病の死亡率と移行率

2024年のセンメルワイス大学の研究によると、ハンガリーにおける大うつ病の死亡率と移行率について調べてみたそうです。
そもそも大うつ病の生涯発症リスクは15~18%らしく、世界中で約3億人(4.4%)に影響を与えているんだとか。そんな大うつ病について、今回ハンガリーにおける死亡率をチェックしてみたらしい。
この研究は2010年1月1日~2020年12月31日までにおけるハンガリーの国民健康保険データを使ったというもの。この中で大うつ病の人とそうでない人をグループ分けしつつ、更に大うつ病から双極性障害や統合失調症への移行率も調査してみたんだとか。サンプルは大うつ病の人が471,773人、そうでない人も471,773人って感じでして、平均年齢は54.8歳、女性の割合は67.2%とのこと。
それでは11年間の結果を見てみましょう。

  • 大うつ病の人はそうでない人に比べて、様々な合併症(心血管疾患や高血圧、糖尿病、不安障害など)を持つ割合が高かった。
  • 大うつ病の人はそうでない人に比べて、死亡リスクが高かった(HR1.50)
  • 大うつ病の男性はそうでない男性に比べて、死亡リスクが高かった(HR1.69)
  • 大うつ病の女性はそうでない女性に比べて、死亡リスクが高かった(HR1.40)
  • スタート時にもっていた他の疾患を調整しても、大うつ病の人はそうでない人に比べて、死亡リスクが高かった(HR1.29)
  • 20歳での大うつ病の人とそうでない人の推定平均余命の差は7.8年だった。
  • 20歳での大うつ病の男性とそうでない男性の推定平均余命の差は10.2年だった。
  • 20歳での大うつ病の女性とそうでない女性の推定平均余命の差は5.9年だった。
  • 45歳での大うつ病の人とそうでない人の推定平均余命の差は6.0年だった。
  • 45歳での大うつ病の男性とそうでない男性の推定平均余命の差は7.8年だった。
  • 45歳での大うつ病の女性とそうでない女性の推定平均余命の差は4.6年だった。
  • 最初に大うつ病を診断されて1年以内に双極性障害と診断された人は2.4%だった。
  • 最初に大うつ病を診断されて2年以内に双極性障害と診断された人は3.3%だった。
  • 最初に大うつ病を診断されて5年以内に双極性障害と診断された人は4.9%だった。
  • 最初に大うつ病を診断されて11年以内に双極性障害と診断された人は6.8%だった。
  • 最初に大うつ病を診断されて1年以内に統合失調症と診断された人は1.4%だった。
  • 最初に大うつ病を診断されて2年以内に統合失調症と診断された人は1.8%だった。
  • 最初に大うつ病を診断されて5年以内に統合失調症と診断された人は2.6%だった。
  • 最初に大うつ病を診断されて11年以内に統合失調症と診断された人は3.4%だった。
  • 双極性障害や統合失調症への移行率は大うつ病の診断直後に最も高く、時間の経過とともに減少していた。
  • 大うつ病から双極性障害に移行した人は移行していない人に比べて、死亡リスクが高かった(HR1.61)
  • 大うつ病から統合失調症に移行した人は移行していない人に比べて、死亡リスクが高かった(HR2.48)

やはり、大うつ病だと死亡率が高まるみたいで寿命も6~8年短くなってしまうみたいですね。また、大うつ病と診断されたのち双極性障害や統合失調症と診断されるパターンもあるみたいで、その場合も死亡リスクは高まるみたいです。