【加筆内容】精神障がいの方の平均寿命は本当に短いのか? その8
スウェーデンにおける双極性障害とうつ病の死亡率
2001年のカロリンスカ研究所の研究によると、スウェーデンにおける双極性障害とうつ病の死亡率について調べてみたそうです。
この研究は1973年から1995年にかけてのスウェーデンの精神科入院患者登録データベースを使ったというもの。最初にデータベースから双極性障害(躁うつ病)とうつ病(単極性障害)の方をピックアップしたそうな。続いて、国家登録番号を使って対象者の死亡日と死因をチェックしてみたらしい。
因みにサンプル数は双極性障害が15,386人(男性6,578人、女性8,808人)、うつ病が39,182人(男性15,829人、女性23,353人)とのこと。また期間中亡くなった双極性障害の方は、男性が1,716人、女性が1,747人で、うつ病の方は男性が4,119人、女性が4,902人だったみたい。それと2つの診断には重複の傾向もみられたらしく、3,109人(双極性障害患者の20%)が最初にうつ病の診断で退院していたんだとか。
平均追跡期間は約10年ってことで、結果を見てみましょう。
- 主な死因は心血管疾患であり、その次が自殺とガンだった。
- 双極性障害における全死亡の標準化死亡比(SMR:期待死亡数と実際の死亡数を比較したもの)は男性2.5、女性2.7だった。
- うつ病における全死亡の標準化死亡比は男女ともに2.0だった。
- 双極性障害における自殺の標準化死亡比は男性15.0、女性22.4だった。
- うつ病における自殺の標準化死亡比は男性20.9、女性27.0だった。
- 双極性障害における全ての自然死の標準化死亡比は男性1.9、女性2.1だった。
- うつ病における全ての自然死の標準化死亡比は男性1.5、女性1.6だった。
- 双極性障害とうつ病の両方において、全死亡の標準化死亡比が最も高かったのは、初回入院時の年齢が若い患者だった。
- 標準化死亡比の増加は、初回診断後の最初の数年間に最も顕著だった。15年間の追跡調査後も有意な増加が観察された。
- 双極性障害とうつ病の両方において、自殺の標準化死亡比は全年齢層と追跡期間で高くなっていた。年齢が若いほど、追跡期間が短いほど、標準化死亡比が高くなっていた。
ちょっとポイントをまとめてみます。
- 双極性障害とうつ病の両方において、全死亡、自殺(非自然死)、自然死の全てで標準化死亡比が高かった。
- 双極性障害とうつ病の両方において、全死亡の標準化死亡比が高かったのは、初回入院時の年齢が若い患者だった。
- 双極性障害とうつ病の両方において、自殺(非自然死)の標準化死亡比が高かったのは、年齢が若い、追跡期間が短い方だった。
これらを見ると、双極性障害とうつ病は自然死・非自然死の両方で死亡率が上昇してしまうみたいですね。特に若い人は注意が必要だと。