【加筆内容】精神障がいの方の平均寿命は本当に短いのか? その10
双極性障害(双極性感情障害)と早期死亡リスクの関係についての系統的レビュー・メタ分析
2015年のユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究によると、双極性障害(双極性感情障害)と早期死亡リスクの関係について系統的レビュー・メタ分析を行ってみたそうです。
具体的には、全死因の死亡率と死因別の死亡率の標準化死亡比(SMR)を見てみたんだとか。
まず研究者たちは2014年7月30日までに発表された該当研究をPsycINFO、MEDLINE、EMBASEで検索してみたそうな。すると、PsycINFOが611件、MEDLINEが699件、EMBASEが3,196件ヒットしたとのこと。次にこの中で重複している物を除きつつ、各研究の質をチェックしたそうです。
最終的に選ばれた研究は31件でして、特徴は、
- 64%が入院患者のコホート研究だった
- 45%の研究はスカンディナヴィアの国(ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド)の物だった
- 双極性障害と診断された方の総サンプル数は305,859人だった
って感じ。
因みに日本の研究も1件入っておりました(以前にも登場した1995年の産業医科大学の研究)
それでは結果を見てみますか。
- 双極性障害の全死亡率の標準化死亡比(SMR)の範囲は1.24~4.65の間だった。
- 双極性障害の全死因の死亡率の標準化死亡比は2.05だった。
- 双極性障害の自然死の標準化死亡比は1.64だった。
- 双極性障害の自然死以外の標準化死亡比は7.42だった。
- 双極性障害の自殺の標準化死亡比は14.44だった。
- 双極性障害のその他の暴力の標準化死亡比は3.68だった。
- 双極性障害の循環器疾患の標準化死亡比は1.73だった。
- 双極性障害の呼吸器疾患の標準化死亡比は2.92だった。
- 双極性障害の感染症の標準化死亡比は2.25だった。
- 双極性障害のがんの標準化死亡比は1.14だった。
全体的に見ると死亡リスクは2倍高いみたいですね。更に細かく見てみると、自然死以外が7倍以上も高く、その中でも自殺は14倍以上だったみたいです。