【加筆内容】2025年の質の高い研究から紐解く世界のひきこもり事情
2025年の質の高い研究から紐解く世界のひきこもり事情
2025年のマカオ大学の研究によると、世界のひきこもり事情について系統的レビューとメタ分析を行ってみたそうです。
そもそもひきこもりは、病的な社会的引きこもりや社会的孤立と定義されておりまして、6か月以上自室にこもったままだったり、家族や社会との接触を避ける状態のことを言います。
そしてひきこもりは大きく2種類に分かれまして、
- 精神疾患と関係ない引きこもり
- うつ病や不安症、統合失調症などの他の精神疾患と関連した引きこもり
からなるんですな。
そんな引きこもりかどうかを調べるスケールがいくつか開発されております。
ちょっと主だったものを上げてみますと以下な感じ。
- HQ-25:社会的引きこもり行動とその重症度をチェックできる自己記入式の質問票。全25項目からなる。合計スコアは0から100の範囲で、スコアが高いほど重症度が高め。因みに合計スコアが42又は44以上の時、引きこもりとなる(2018年の九州大学などの研究)
- HQ-25M:HQ-25の1ヶ月バージョン。全25項目からなる。こちらは、臨床的ではない引きこもりを評価するために使用できる(2022年の九州大学などの研究)
- HiDE:社会的引きこもりを評価するために使用される。上記との大きな違いは、診断面接ツールであること(2023年の九州大学などの研究)
- HiDE-S:HiDEの簡易バージョン。病的な社会的引きこもり症状を迅速にスクリーニングできる。また、潜在的な引きこもりを特定するための予備的方法として使用できる(2025年の九州大学などの研究)
ご覧の通り、日本で作られたものばかりであり、また、日本はひきこもり先進国でもあるんですな。ただ、近年わかってきたのはひきこもりは日本に限った問題ではなく、世界的な問題だということ。特にコロナ禍はそれを加速させたとも言われております。
そして世界の研究を見てみると、引きこもりは世界人口の少なくとも1.2%に影響を与えているっぽいんですな。因みに引きこもり研究は、EU(ポーランド、イタリア、フランス、スペインなど)、アジア(中国、シンガポール、韓国、インドなど)、ナイジェリア、アメリカなんかで行われていたとのこと。
但し、各国で使用されている評価方法や募集方法が異なるため、引きこもりの有病率の推定値は研究によって大きく異なっているんだとか。
また、引きこもり率も年齢的なばらつきが国で違いまして、例えば日本だと一般的に青年期~成人初期に始まり、男性の割合は女性の割合よりも約3倍と先行研究で出ております。また、引きこもりの危険因子としては、失業、不登校、精神科の受診又は入院歴、性別 (男性であること)、帰属意識の欠如だとされております。
一方で日本以外は日本よりも年上でひきこもりになる率が高く、しかも影響を受けている男性の割合は低いんですな。こんな感じで文化と社会構造も引きこもり率とリスクに大きな影響を与える可能性もある感じ。
更に2023年のマカオ大学などの研究により、引きこもりに関する研究のほとんどが日本で行われているってことも判明しております。
以上から、世界における引きこもりの有病率の推定値は良く分からないのが困っているところ。
そこで今回、世界的なひきこもりの疫学に関する初の系統的レビューとメタ分析を行ってみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2024年5月10日までに発表された該当研究をWeb of Science、PubMed、Embase、PsycInfoで検索してみたそうな。すると合計276件の研究がヒットしたとのこと。次にこの中で重複している研究や質の低い研究を除外していったらしい。
最終的に残った研究は19件でして、以下の特徴があったそうな。
- 総サンプル数:58,229人
- 男女の割合:男性40.4%
- 平均年齢:14.29歳~34.81歳
- 地域:アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカ
- 研究の質:高い研究が1件、中程度の研究が12件、低い研究が6件
それでは気になる結果を見てみますかー。
- 全体的なひきこもりの有病率は8.0%だった…!
- 精神疾患の併存性を見てみると、社交不安障害+ひきこもりの有病率は19.1%、自閉スペクトラム症+ひきこもりの有病率は41.0%だった…!
- 精神疾患で入院中の青年における引きこもりの有病率は7.3%だった…!
- 世界の引きこもりの有病率は、欧米諸国で5.0%、東アジアで6.6%であり、有意差はなかった…!
- コロナ前後の引きこもりの有病率は、コロナ前(2019年12月以前)で5.4%、コロナ後(2019年12月以降)で13.5%であり、有意差はなかった…!
- 性差の違いによる引きこもりの有病率は、男性で9.4%、女性で7.9%であり、有意差はなかった…!
- 精神障害の有無による引きこもりの有病率は、精神障害ありで9.8%、精神障害なしで7.4%であり、有意差はなかった…!
- 年齢と研究の質は引きこもりの有病率と有意な関係が合った…!
- サンプルサイズは有意な変数ではなかった…!
- HQ-25を用いた場合の引きこもりの有病率は21.7%であり、それ以外の質問票を用いた場合の引きこもりの有病率はある3.1%~7.9%よりも有意に高かった…!
ちょっと以下にまとめてみますと、
って感じになるのではないでしょうか…?
これらを見ても、引きこもりは、日本に限らず、世界的に一般的な問題であると言えますし、地域や文化、性別などよく挙げられるリスクは関係ないんですねー。
個人的考察
引きこもり対策を考えていくことは世界的な急務と言えるのではないでしょうか…?
だって主要な病気の有病率とそんなに変わらないですし…。
