本日は、ADHDと診断された人は後に精神疾患を発症するリスクが高まるのか調べた2024年の研究を見てみます。



ADHD(注意欠陥多動性障害・注意欠如多動性障害)とその後の主要な精神疾患の関係

2024年のソウル大学病院の研究によると、ADHD(注意欠陥多動性障害・注意欠如多動性障害)とその後の主要な精神疾患の関係について調べてみたそうです。
この研究は、韓国の国民健康保険公団(NHIS)のデータベースを用いたもので、なんでも韓国国民の約97%をカバーしているそうな。ここから2002年~2019年までのデータを用いてADHDと診断された人をピックアップ、併せて年齢と性別を一致させた一般集団を対照群として選んだらしい(それぞれ353,898人のサンプル数)
次に参加者がうつ病、双極性障害、統合失調症、チック症などを新たに診断されていないかチェックしつつ、ADHDと診断された人たちと対照群で違いがあるのか見てみたとのこと。
結果、

  • ADHDと診断された人たちは対照群と比較して、その後にうつ病、双極性障害、統合失調症、チック症の診断リスクが有意に高かった
  • ADHDと診断された人たちのうつ病、双極性障害、統合失調症の発症年齢は16~17歳で、対照群より約5歳早かった
  • うつ病リスクは高所得者が最も多かった
  • 統合失調症リスクは地方在住が最も多かった
  • 併存する精神疾患の診断までの追跡期間の中央値は、うつ病で7.53年、双極性障害で8.43年、統合失調症で8.53年、チック症で8.34年だった
  • ADHDと診断された人たちは対照群と比較して、その後に精神疾患と診断されるリスクが全体的に高かった

そうです。
どうやら、ADHDと診断された方は、精神疾患の併存性(併存リスク・二次障害・併存疾患・重複障害)が高く、発症年齢も早いみたいですね。また、追跡期間の中央値で7.5~8.5年程かかって精神疾患の併存性が見つかっているのもポイントとなりましょう。
この結果に研究者曰く、

  • 幼いころから他の精神症状についても注意深く検査しつつ、ADHDの症状に対する適切なアプローチとともに、長期間にわたってチェックし続ける必要があるだろう

とのこと。
医師はもちろんのこと、家族や支援者も日々注意深く見ておく必要がありそうですね。



個人的考察

以前に紹介した研究結果も合わせると、ADHDリスクと精神疾患リスクは双方向になっているのかもしれませんね。



参考文献