早産リスクについてアンブレラレビューを行ってみた!
「アンブレラレビューを見てみよう!」シリーズその86です。
早産リスクについてアンブレラレビューを行ってみた…!
2023年のアルタ総合病院の研究によると、早産リスクについてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
まず早産ってのは、妊娠37週未満での出産と定義されておりまして、乳児の罹患・死亡の主な原因となっております。毎年1,500万人の赤ちゃんが早産で生まれていると推定されているらしく、世界で5~18%の範囲なんだとか。
そんな早産のリスクなんですが、これまで数多くの系統的レビューやメタ分析で調べられております。そして様々な非遺伝的要因、つまり環境要因が見つかっているんですな。
ただ、これらの知見をまとめたアンブレラレビューはまだ発表されていなかったみたい。ということで今回行ってみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2021年2月までに発表された該当する観察研究の系統的レビュー・メタ分析をPubMedとScopusで検索してみたそうな。すると、
- PubMed:2,904件
- Scopus:1,897件
が見つかったとのこと。
次にこの中で被っている物を除き、その後、各研究の質をチェックしていったんだとか。最終的に選ばれたメタ分析は84件でして、この中には合計166個の関連性があったそうです。
そして各メタ分析の特徴は、
- 各メタ分析の研究数:3~152件、中央値11件
- 各研究の症例数:1,004人、中央値91人
- 各メタ分析の症例数:94,907人、中央値7,266人
って感じでした。
それでは結果を見てみましょう。
【説得力のあるエビデンス】
【非常に可能性のあるエビデンス】
- アンフェタミンの使用
- 単一臍帯動脈(へその緒は通常3本の血管がある。そのうち1本が太い静脈、2本が細い動脈だけど、その動脈が1本しかない場合がある)を持つ胎児
- パーソナリティ障害を持つ
- 睡眠呼吸障害を持つ
- 吸引法による人工妊娠中絶の経験がある
- 妊娠時における低い体重増加(本来は胎内に赤ちゃんがいるのでもっと体重増加がある)
- 6ヶ月未満における流産後の妊娠間隔(前回の妊娠が流産で終わった後、次の妊娠までの期間)
【非常に可能性のあるエビデンス】
- 26個の関連性があった。
- 出産歴、病歴、社会的・経済的状況、薬物の使用などの関連性があった。
その他は、可能性のあるエビデンス、低いエビデンス、エビデンスなしだったとのこと。
そして注意点としては、研究者曰く、
- これらの危険因子、特にメンタルや睡眠の質に関係する関連性は、臨床介入や公衆衛生政策によって改善できるのか、まだよく分かっていない。また、改善可能なリスクについて説得力のあるエビデンスが示された、これらのリスクを改善したとしても、必ずしも早産の大きな予防効果につながるという確証はないことを強調しておく必要がある
としています。
上記で早産リスク要因は分かったけど、気を付けても100%防ぐことはできないよーってことです。
個人的考察
上記に挙げた7つは少しでも早産リスクを下げられるって点では間違いないんで、妊婦さんは気にしておくと良さげかもしれません。