今回は、片頭痛を持つ親の子供における精神疾患リスクについて調べた2024年の美和科技大学の研究を見てみます。



片頭痛を持つ親の子供における精神疾患リスク

2024年の美和科技大学の研究によると、片頭痛を持つ親の子供における精神疾患リスクについて調べてみたそうです。
先行研究により、片頭痛は、うつ病、不安障害、双極性障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、パーソナリティ障害、自傷行為(自殺未遂)といったものと関係があると出ております。また2007年のカルガリー大学の研究によると、片頭痛持ちは対照グループと比較して、うつ病、双極性障害、不安障害の有病率が少なくとも2倍高かったんだとか。
そんな片頭痛とメンタルの関係ですが、意外にも家族との関係を調べたものはなかったらしい。具体的には親が片頭痛持ちの場合、子どもや孫なんかの精神疾患リスクがどうなのか分かっていなかったってことですな。そこで今回調べてみることにしたそうです。
この研究は「精神障がいの方の平均寿命は本当に短いのか?」などで何度も登場している台湾国民健康保険データベース(NHIRD)を用いたもので、このデータセットから片頭痛のある両親とその子どもをピックアップし、片頭痛のない両親と子どもを対照グループとして比較したものとなっております。
んで、サンプル数なんですが、

  1. 片頭痛のある親の子ども:22,747人、平均年齢8.88歳
  2. 片頭痛のない親の子ども:227,470人、平均年齢8.89歳

って感じでした。
この子ども達の、統合失調症リスク、うつ病リスク、双極性障害リスク、自閉スペクトラム症(ASD)リスク、注意欠陥多動性障害(ADHD)リスクを推定したとのこと。
それでは統計処理した結果を見てみましょう。

  • 片頭痛のある親の統合失調症率は1.1%だった。
  • 片頭痛のない親の統合失調症率は0.7%だった。
  • 片頭痛のある親の双極性障害率は1.8%だった。
  • 片頭痛のない親の双極性障害率は0.7%だった。
  • 片頭痛のある親のうつ病率は7.1%だった。
  • 片頭痛のない親のうつ病率は2.6%だった。
  • つまり、片頭痛のある親は、片頭痛のない親と比較して、精神疾患率が高かった。
  • 片頭痛のある親の子どもにおけるADHD率は2.4%だった。
  • 片頭痛のない親の子どもにおけるADHD率は1.7%だった。
  • 片頭痛のある親の子どもにおける双極性障害率は0.4%だった。
  • 片頭痛のない親の子どもにおける双極性障害率は0.2%だった。
  • 片頭痛のある親の子どもにおけるうつ病率は2.0%だった。
  • 片頭痛のない親の子どもにおけるうつ病率は1.4%だった。
  • つまり、片頭痛のある親の子どもは、片頭痛のない親の子どもと比較して、精神疾患率が高かった。

片頭痛持ちの親、片頭痛持ちの親の子はどちらも精神疾患率が高かったみたいですね。
次に、年齢や性別、住んでいる場所、収入、親の精神疾患などの変数を調整した場合を見てみます。
片頭痛のある親の子どもは、片頭痛のない親の子どもと比較して、

  • ADHDリスクが1.37倍
  • 双極性障害リスクが1.35倍
  • うつ病リスクが1.33倍

と有意に高かったそうです。
一方で、

  • ASDリスク
  • 統合失調症リスク

については有意差がなかったんだとか。
更にこの研究では、父親と母親のどちらが片頭痛持ちかによって違いがあるのかも見てみたんですが、片頭痛のある母親の子どもは、片頭痛のない母親の子どもと比較して、

  • ADHDリスクが1.43倍
  • 双極性障害リスクが1.41倍
  • うつ病リスクが1.46倍

って感じで有意に高かったらしい。
そしてこちらでも、

  • ASDリスク
  • 統合失調症リスク

に有意差はなかったんだとか。
そして興味深いことに、

  • 片頭痛のある父親の子どもは、片頭痛のない父親の子どもと比較しても、どの精神疾患リスクについても有意差がなかった

とのこと。
つまり、特に母親が片頭痛持ちかどうかがポイントということですね。



個人的考察

片頭痛は睡眠問題から食事、ストレスなど様々な要因で起こるんで改善が難しいのも事実。セルフチェックして原因を突き止めていくしかないんですよね~。難しい…。

の記事が役立つかもしれませんので、気になる方はご覧ください。



参考文献