今回は、昏睡状態や植物状態の患者さんに音楽療法、作業療法、理学療法、言語療法が効果的か調べた2024年の研究を見てみます。



意識障害の患者さんにおける音楽療法、作業療法、理学療法、言語療法の介入についてアンブレラレビューを行ってみた…!

2024年のマドンナリハビリテーション病院の研究によると、意識障害の患者さんにおける音楽療法、作業療法、理学療法、言語療法の介入についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
意識障害ってのは、重度の脳損傷を受けた方に現れる複雑な現象でして、昏睡状態とか、植物状態などの方を指します。んでこういった方へのアプローチはチームで行うことが多いんですな。例えば、音楽療法士や作業療法士、理学療法士、言語聴覚士などです。
ただこれらの方が行うアプローチの意識回復リハビリテーションのエビデンスは不足気味なんだとか。そこで今回アンブレラレビューを行ってみることにしたそうです。
まず研究者たちは、2023年3月31日までに発表されている該当研究をWeb of Science、PsychInfo、PubMed、CINAHL、コクランで検索してみたそうな。すると合計9,665件の研究がヒットしたとのこと。次にこの中で重複している研究を除外しつつ、各研究の質をチェックしていったんだとか。
最終的に選ばれた系統的レビューは15件でして、うち3件はメタ分析を含んでいたとのこと。またこれらの研究の発表期間は2002~2022年の間でして、総サンプル数は男女2,286人ということでした。
それでは結果を見てみましょう。

  • 感覚刺激、正中神経(腕から手にかけての神経)の刺激、音楽療法、関節モビライゼーションはいずれも一定の効果があった。但し、質の高いエビデンスに基づく効果の実証が不十分だった。
  • 全体的に、感覚刺激による方法が最も多くのエビデンスがあり、有効性もありそうな感じで、且つ、副作用の報告も限られていた。
  • リハビリテーション従事者は、家族も一部又は全部を実施できる、標準化された感覚刺激プログラムを組み込む必要があった。
  • 感覚刺激プログラムとしては、五感(聴覚、視覚、触覚、嗅覚、味覚)、固有受容覚(そっと触る)、運動感覚、平衡覚への刺激を行うものが一般的だった。ほとんどの感覚刺激プログラムは、1日2~5回、1回5~15分で、1~4週間続けることが多かった。
  • 正中神経の刺激について、右正中神経(右腕から右手にかけての神経)への刺激によって意識レベルの改善にプラスの影響があった。但し各研究の結果のばらつきが大きかった。
  • 関節モビライゼーション、垂直姿勢の促進、他動的可動域の拡大に重点を置いた介入により、痙縮の改善が見込められた。
  • 音楽療法は、意識の改善に良さそうだった。但し、エビデンスが低い研究がまぁまぁあり、決定的とは言えなかった。

ってことで、一言でまとめると、全部効果がありそうなんだけど、エビデンス不足でよく分からん…!って感じ。今後の研究に期待ですねー。



個人的考察

まぁ、意識障害の方の効果を調べるのは結構難しそうですけど、アンブレラレビューで概ね良さそうと出ているのは嬉しいですね。



参考文献