先週の続きです。
今回は、2024年に発表されたポリフェノールと炎症の関係の研究を見てみます。



ポリフェノールの摂取量と炎症マーカーの関係について調べてみた…!

2024年のインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究によると、ポリフェノールの摂取量と炎症マーカーの関係について調べてみたそうです。
そもそもポリフェノールを摂取すると、慢性疾患の発症率が低下するって話がございます。これは、ポリフェノールにより、全身の酸化ストレスとそれに伴う炎症が減るからだと思われているんですよね。
んがしかし、ここでちょっと問題なのがポリフェノールの摂取と全身の炎症マーカーの両方を包括的に評価した大規模コホート研究がほとんどないってことなんですよ。そのため、今回イギリスの大規模コホート研究を用いてチェックしてみることにしたんだとか。
因みに研究者曰く、

  • 私たちの知る限り、これは現代の大規模集団におけるポリフェノール摂取量の研究として最も徹底した評価だ。本研究は、ポリフェノール摂取量と、より幅広い健康関連指標として将来の評価の基盤となるだろう

としています。
めっちゃワクワクする書き方ですな(笑)。それでは早速見ていきましょう…!
この研究は、エアウェーブ健康モニタリング研究という前向きコホート研究を使ったもので、対象者はイギリス警察の方々53,163人となっております。このデータから今回利用可能な参加者データをピックアップしたそうな。因みに食事データに関しては7日間の食事日記を用いて収集されたみたい(参加者の89%が7日間全て書いていた)
結果、ピックアップできた参加者は17~74歳(中央値42歳)の男女でして、総サンプル数は9,008人ってことでした。
更にこの研究では4,104種類の食品の摂取量を示す食事データから、個人のポリフェノール摂取量を推定、CRPとフィブリノーゲンという炎症マーカーとの関連性をチェックしたそうです。
ではまず、ポリフェノールの摂取についての結果を見てみましょう。

  • 食事日記に書かれていた4,104種類の食品のうち、2,753種類にポリフェノールが含まれていた。
  • コホート全体で448種類のポリフェノールが摂取されていた。そのうち93種類は1日あたり1mgを超える摂取量の中央値を示していた。
  • ポリフェノールの総摂取量の中央値は、1日あたり1,536mg(1日あたり1,058~2,092mgの間)だった。

続いて、どのような食べ物から多くポリフェノールを摂取していたのか見てみますかー。

  • ノンアルコール飲料:1日955mg(569~1,438mg)
  • 野菜:1日222mg(114~383mg)
  • 果物:1日87mg(30~168mg)
  • 全粒穀物:1日10~50mg
  • じゃがいも:1日10~50mg
  • アルコール飲料:1日10~50mg
  • 精製穀物:1日1~10mg
  • 砂糖/保存食(チョコレートやジャムなど):1日1~10mg
  • 豆類:1日1~10mg
  • ナッツ:1日1mg未満
  • 種子類:1日1mg未満
  • ハーブ類:1日1mg未満
  • スパイス:1日1mg未満
  • オリーブオイル:1日1mg未満
  • オリーブオイル以外の油(植物油やゴマ油など):1日1mg未満
  • 乳製品:1日1mg未満
  • ソース:1日1mg未満

更に詳しく見てみると、

  • ノンアルコール飲料:コーヒー51%…!紅茶36%…!
  • アルコール飲料:赤ワイン80%…!
  • 全粒穀物:小麦ふすまシリアル(ブランシリアル)64%…!全粒粉パン28%…!
  • 野菜:全野菜92%…!黄玉ねぎ2%…!
  • 果物:全果物43%…!リンゴ31%…!イチゴ7%…!

のようになっておりました。
因みにフラボノイドとフェノール酸については、

  • フラボノイド:1日623mg(389〜896mg)
  • フェノール酸:1日608mg(317〜1,137mg)

って感じだったらしく、最も影響があったのはノンアルコール飲料(フラボノイド81%、フェノール酸59%)だったとのこと。コーヒーとかはポリフェノールを手軽に大量に摂取できますからね~。
んで、肝心のポリフェノール摂取量と炎症マーカーの関係なんですが、年齢、性別、給与なんかの変数を調整し、統計処理したところ、

  • 総ポリフェノール摂取量、フェノール酸、フラボノイド、その他のポリフェノールの合計とCRPとの間に小さいが有意な逆相関関係がみられた…!
  • 総ポリフェノール摂取量、その他のポリフェノールの合計とフィブリノーゲンとの間に小さいが有意な逆相関関係がみられた…!

とのこと。
やっぱりポリフェノールは抗炎症作用があったんですね~。
更にポリフェノールの摂取量から4グループに分けて、CRPとフィブリノーゲンとの関係もチェックしておりました。

CRP→有意差あり
  • ポリフェノールの摂取量が一番少なかったグループ:OR1.00
  • ポリフェノールの摂取量が2番目に少なかったグループ:OR0.94
  • ポリフェノールの摂取量が3番目に少なかったグループ:OR0.77
  • ポリフェノールの摂取量が一番多かったグループ:OR0.76

フィブリノーゲン→有意差なし
  • ポリフェノールの摂取量が一番少なかったグループ:OR1.00
  • ポリフェノールの摂取量が2番目に少なかったグループ:OR0.90
  • ポリフェノールの摂取量が3番目に少なかったグループ:OR0.88
  • ポリフェノールの摂取量が一番多かったグループ:OR0.91

どうやらポリフェノールを摂取すればするほどCRPが下がっていくみたいですね~。
因みにこの研究によれば、

  • 1日1杯の紅茶でCRPが3%低下…!
  • 1日1杯のコーヒーでCRPが7%低下…!

とのこと。
コーヒーすげー。



個人的考察

ということでまとめると、ポリフェノールの摂取量を増やせばCRPもフィブリノーゲンも低下する…!つまりポリフェノールはやっぱり健康に良いぞ…!って感じ。
因みに今回の研究は対象者がイギリスの方だったんで紅茶が良い感じでしたが、個人的にはそれなら緑茶も良いだろうな~と思います。
それと上記を見てると、地中海式ダイエットはほとんど該当しているんで、やっぱりオススメだと思いましたね。



参考文献