今回は、家族関係における筋萎縮性側索硬化症(ALS)についてのメタ分析を見てみます。



家族関係における筋萎縮性側索硬化症(ALS)の推定割合

2023年のエモリー大学の研究によると、家族関係における筋萎縮性側索硬化症(ALS)の推定割合についてメタ分析を行ってみたそうです。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)ってのは、運動ニューロンの進行性変性を特徴とする神経変性疾患の一種であります。
もうちょいマイルドな言い方をしますと、脳から体を動かす指令がちゃんといかなくなって、結果、筋肉や筋力が徐々になくなっていき、手足やのど、舌が弱って運動動作や呼吸ができなくなっていく指定難病となっております。
んで、公益財団法人難病医学研究財団の難病情報センターによると、日本における1年間の新規有病率は人口10万人当たり平均2.2人とのこと。また、令和2年度の特定医療費(指定難病)医療受給者証所持者数では、10,514人がこの病気にかかっており、徐々に増えてきているんだとか。
また、2021年のロリンス公衆衛生大学院のメタ分析によると、筋萎縮性側索硬化症における世界の1年間の新規有病率は人口10万人当たり平均2.02人だったらしく、地域別に見てみると、

  • 北アメリカ:2.35人
  • ヨーロッパ:2.31人
  • ラテンアメリカ:1.25人
  • アジア:0.93人

って感じだったそうです。
そして筋萎縮性側索硬化症のほとんど(90%~95%)は急に発症するケースが多いんだとか。一方で、5%~10%は家族歴がみられるとのこと。但し、この辺についてあんまり詳しく調べた研究がなかったそうで、今回、この家族歴について深掘りしてみることにしたみたい。
まず研究者たちは、以下の2つの期間・検索方法で先行研究を探してみたんだとか。

  1. 1966年~2009年10月までに発表された該当研究をMEDLINEで検索。
  2. 1990年1月~2021年8月までに発表された該当研究をPubMedとEMBASEで検索。

次にそれぞれの検索にヒットした研究を基準に従い精査していったみたい。
最終的には、

  1. 1966年~2009年10月までに発表された質の高い研究:31件
  2. 1990年1月~2021年8月までに発表された質の高い研究:165件

が選ばれたそうです。
では結果を見てみましょう。

  • 全体的に見た場合、家族関係における筋萎縮性側索硬化症(ALS)の推定割合は8%だった…!
  • ヨーロッパのみで見た場合、家族関係における筋萎縮性側索硬化症(ALS)の推定割合は9%だった…!
  • 中東・北アフリカのみで見た場合、家族関係における筋萎縮性側索硬化症(ALS)の推定割合は9%だった…!
  • オーストララシアのみで見た場合、家族関係における筋萎縮性側索硬化症(ALS)の推定割合は8%だった…!
  • アジアのみで見た場合、家族関係における筋萎縮性側索硬化症(ALS)の推定割合は4%だった…!
  • 南アフリカのみで見た場合、家族関係における筋萎縮性側索硬化症(ALS)の推定割合は5%だった…!

家族歴で見た場合、全体が8%でアジアは最も少なく4%みたいですね。
更にこの研究では、一親等の家族、二親等の家族、三親等以上の家族によって違いがあるのかも見ているんですが、

  • 一親等の家族:5%
  • 二親等の家族:7%
  • 三親等以上の家族:11%

って感じで、何故か遠い親戚に筋萎縮性側索硬化症の人がいるほど、リスクが高かったみたい…。
それと、2000年代以前に発表された研究は、2010年代以降に発表された研究よりも、家族関係における筋萎縮性側索硬化症(ALS)の推定割合が低かったらしい。筋萎縮性側索硬化症が世間に知られるようになって増えたのか、何らかの原因で増えているのかは不明なもののこちらも気になる結果ですね…。



個人的考察

指定難病である筋萎縮性側索硬化症(ALS)は謎な部分が多く、治療が非常に難しいことで有名です。
但し、神経変性疾患の一種であることは間違いないっぽいので、アルツハイマー病やパーキンソン病に効果のある対策は予防になるかもな~と愚考しております。
当ブログで参考になる記事だと、
いずれにしても健康的な食事・睡眠は大事だと思いました。



参考文献