【加筆内容】運動・トレーニングをサボる(ディトレーニング)の研究を見てみる! その13
これまで運動をサボる(ディトレーニング)の研究を見てきましたが、まだちょっと足りない部分がありまして、それが年齢の部分。つまり若者と高齢者が同じ期間運動をサボった時に出る影響に違いはあるのか…?って話ですね。
ディトレーニングによる年齢と性別の影響について調べてみた…!
2000年のメリーランド大学の研究によると、ディトレーニングによる年齢と性別の影響について調べてみたそうです。筋トレは、高齢者の筋力アップや機能改善・向上を行う上で、安全で効果的な介入方法であることは言うまでもありません。
そして先行研究を見てみると、
- 若者を対象にしたいくつもの研究によると、ディトレーニングが4~32週間の間は筋力が維持されていた
- 高齢者を対象にしたいくつもの研究によると、ディトレーニングが5~27週間の間は筋力が維持されていた
ってことまで分かっているそうです。
ただ、ディトレーニングによって年齢と性別による影響はどうなのか…?ってのを直接比較した研究はなかったそうな。そこで今回行ってみることにしたみたい。
この研究は、普段運動をしていない健康な若者と高齢者を対象にしたもので、サンプル情報は以下だったそうな。
- 若者:平均年齢25±1歳、年齢範囲20~30歳。男性10名、女性8名。
- 高齢者:平均年齢69±1歳、年齢範囲65~75歳。男性12名、女性11名。
この41名に筋トレを行ってもらったみたい。
では次に筋トレ内容について詳しく見てみましょう。
筋トレは、レッグエクステンションを片足のみ行う感じでして、もう片方の足は何もしなかったそうな。これで比べてみて違いが出るのか見てみたって感じですね。
筋トレは週3日、9週間行われたそうで、流れは以下な感じだったそうです。
- エアロバイクを3分間漕ぐウォームアップから始まり、続いて太ももとハムストリングスのストレッチを行う。
- 1セット目は、1RM約50%で5レップのウォームアップを行う。
- ウォームアップ後に30秒間休憩する。
- 2セット目は、5RMを維持できるように調整して行う。
- 1分半休憩する。
- 3セット目は、5RMにしつつ、10レップ行う。5RMなので出来る限り続けてもらう。限界が来たら更に1,2レップできる程度に強度を下げて行う。合計10レップ出来たら終了。
- 2分間休憩する。
- 4セット目も、5RMにしつつ、15レップ行う。レップ数の違い以外は3セット目と同じ流れ。
- 3分間休憩する。
- 5セット目も、5RMにしつつ、20レップ行う。レップ数の違い以外は3,4セット目と同じ流れ。
また各セット中のコンセントリックは約1秒、エキセントリックは約2秒で行ったらしい。
因みにコンセントリックとエキセントリックってのは以下のことを言います。
- コンセントリック(求心性収縮):曲げる時に力がいる動作のこと。
- エキセントリック(遠心性収縮):伸ばす時に力がいる動作のこと。
んで無事筋トレを9週間やりきった後、今度は31週間、トレーニングを中止してもらったそうな。ちょっともったいない気がしますね(笑)
最後に集まったデータを比べてみたそうです。
それでは結果を見てみましょう…!
- 若者男性、若者女性、高齢男性、高齢女性の全てで筋トレによって1RMが有意にアップしていた…!
- 若者男性、若者女性、高齢男性、高齢女性の全てでディトレーニングによって1RMが有意にダウンしていた…。
- 若者男性は筋トレによって1RMが31±5%アップしていた…!
- 若者女性は筋トレによって1RMが39±4%アップしていた…!
- 高齢男性は筋トレによって1RMが27±3%アップしていた…!
- 高齢女性は筋トレによって1RMが29±4%アップしていた…!
- 12週間のディトレーニング時点では、どのグループも筋トレプログラム後の値と有意に異なる筋力値を示していなかった…!つまり12週間のサボりの時点では影響が見当たらなかった…!
- 31週間のディトレーニング時点では、若者男性と高齢男性の1RMは、トレーニング前よりも依然として有意に高かった…!一方で、トレーニング終了直後及び12週間のディトレーニングよりも有意に低かった…。
- 31週間のディトレーニング時点では、高齢女性の1RMは、トレーニング前の値と有意差はなく、トレーニング終了直後及び12週間のディトレーニングよりも有意に低かった…。つまり筋トレ前の状態に戻ってしまった…。
- 31週間のディトレーニング時点では、若者女性の1RMは、トレーニング前よりも依然として有意に高かった…!しかも、トレーニング終了直後及び12週間のディトレーニングとも有意差がなかった…!
- 若者の方が高齢者よりも1RMのアップ度が有意に高かった(34±3%vs28±3%)…!
- トレーニングした方の脚では、高齢者の方が若者よりも31週間のディトレーニングによる1RMの低下が有意に高かった(14±2%vs8±2%)
- ディトレーニング12週間までは、年齢や性別による有意差はなかった。一方で12~31週のディトレーニングでは、若者の方が高齢者よりも筋力低下が少なかった(6kgvs9kg)
- 年齢全体で比較すると、男性はトレーニング終了直後と比較して、ディトレーニング12週目及び31週目の筋力レベルが有意に低下していた。一方で、女性はトレーニング終了直後と比較して、ディトレーニング12週目及び31週目の筋力レベルに有意差は見られなかった。
- 9週間の筋トレでは、どのグループも筋力アップに有意差はなく、31週間のディトレーニングでの筋力低下も有意差はなかった。
- 若者は、31週間のディトレーニングによって1RMが8±2%低下した。この筋力低下は12~31週間の間に発生し、若者は6±2%の低下、高齢だと13±2%の低下が見られた…!
- 何もしなかった脚について、年齢と性別の間に有意な交互関係はなかった。但し、若者は高齢者に比べて、12~31週間の間、31週間のディトレーニングによる筋力低下が少なかった。
- トレーニングした脚と何もしなかった脚を比較すると、若者の方が高齢者よりも筋力増加が大きく、また、男性の方が女性よりも増加が大きかった…!
ちょっとポイントをまとめてみるとこのようになるのではないでしょうか。
これらを見てみると、サルコペニアの記事でも書いた通り、やはり高齢者の方が筋タンパク質合成スピードが低く、筋タンパク質分解スピードが速いと言えそうですね。
- 年齢や性別に関係なく筋トレで筋力はアップする…!
- 筋トレを12週間サボっても影響なし…!
- 12~31週間サボると筋力は低下してしまう…!
- 若者の方が高齢者よりも筋力のアップ度がより高い…!
- 一方で、高齢者の方が若者よりもサボりによる筋力低下度がより高い…!
- 高齢の方が若者よりも約2倍のスピードで筋力が低下していく…!
- 何もしなかった脚について、若者の方が高齢者よりも、12~31週間の間、31週間のディトレーニングによる筋力低下が少ない…!
- トレーニングした脚と何もしなかった脚を比較すると、若者の方が高齢者よりも筋力増加が大きく、また、男性の方が女性よりも増加が大きい…!
ただ、年齢や性別に関係なく、12週間までなら筋トレをサボってもOK…!ってのはポイントになるのではないでしょうか…?
