【まとめ】サルコペニアってなに?対策は?って話
以前「入院していない高齢者における全死亡率との関連性についてアンブレラレビューを行ってみた!」って記事の中で「サルコペニア」ってワードが出てきました。
サルコペニア(sarcopenia)ってなに…?
サルコペニア(sarcopenia)について参考になるのが2011年のInternational Working Group on Sarcopeniaの研究になります。この研究では、サルコペニアにおける定義や有病率などがまとめられているんですな。
まずそもそもの話として、除脂肪体重(筋肉量)の減少と脂肪量の増加ってのは、加齢に伴う最も顕著かつ一貫した体の変化の1つとなっております。そして2010年のクイーンズ大学の研究によれば、サルコペニアは元々「サロペニア(saropenia)」という用語だったらしく、1989年にタフツ大学のアーウィン・ローゼンバーグ(Irwin Rosenberg)博士によって使われたのが始まりらしい。その時サロペニア(サルコペニア)は、加齢に伴う骨格筋量の減少を指す言葉として使われたそうな。
因みに1997年のタフツ大学の研究によれば、サルコペニア(sarcopenia)は、ギリシャ語の「sarx(肉)」と「penia(損失)」を合わせた造語とのことで、1993年のタフツ大学の研究によって初めて記述されたらしい。
その後1995年のタフツ大学の研究により、サルコペニアは、加齢に伴う筋肉量の減少と定義されたみたい。更に1998年のニューメキシコ大学の研究によると、この筋肉量の減少は、筋力や代謝、心肺機能、果ては機能障害をもたらすとしつつ、より具体化され、35歳の平均筋肉量より2標準偏差低い状態と定義されたそうです。
サルコペニアは、成人期初期にタイプII筋線維の減少から始まる可能性が高く、環境要因・遺伝要因の複雑な相互作用によって生涯続くみたい。また、筋力・筋瞬発力の低下は筋肉量の低下よりも大きいとのこと。
こんな感じでサルコペニアについては、研究が進んできたものの、国際的なコンセンサスによる定義はなかったんですな。そこで2009年11月18日、イタリアのローマでサルコペニアの定義を決める会議を行ったんだとか。
その結果、サルコペニアの定義は以下のようになったそうです。
- サルコペニアとは、加齢に伴う骨格筋量と機能の低下を指す。サルコペニアは、筋肉量の減少のみ、又は脂肪量の増加を伴って発症する複雑な症状である。サルコペニアの原因は様々あり、運動不足、内分泌機能の変化、慢性疾患、体内炎症、インスリン抵抗性、栄養不足などが挙げられる。悪液質はサルコペニアの一要素の可能性があるがイコールではない。
またサルコペニアについては、以下の項目を考慮する必要もあるそうな。
更にサルコペニアのリスクは以下の身体機能の低下から見てみるとのこと。
- 寝たきり、歩行不能、介助なしに椅子から立ち上がれない人は考慮する。
- 歩行可能で椅子から立ち上がれる人についても、4メートルのコースで歩行スピードを見る。
- 1m/秒未満の人は、DXAでチェックした方が良い。
サルコペニアの診断は、全身または四肢の筋肉量が低いことと、身体機能の低下を併せて判断する必要があるそうで、現在は、四肢の筋肉量を身長の2乗で割った数、全身の筋肉量を身長の2乗で割った数でみるそうです。また歩行速度が1m/秒未満であり、筋肉量が健康な若年成人の20%未満であればサルコペニアと診断できるなどもあるみたい。
因みに皆さんご存知の通り、加齢によって筋肉ってのはどうしても減っていきがちです。それがどれぐらいかと言いますと、12年間の追跡調査をした2000年のハーバード大学の縦断研究によれば、20歳から80歳までの間に筋肉量は約30%減少、断面積は約20%減少するらしい、ヒャー。
それと先にも触れたようにその原因は多岐にわたりまして、
などです。
最後にサルコペニアの有病率なんですが、様々な方法で様々な数値が出ておりまして、共通しているのは、高齢者に多く、加齢とともに増加するってところ。
ざっくりまとめてみると、以下のような感じでした。
- 60~69歳の有病率:10%前後
- 71~80歳の有病率:20~29%ぐらい
- 80歳~の有病率:30%~ぐらい
因みにサルコペニアになると、機能低下→歩行障害→転倒→入院→死亡につながるそうです。
軽く復習しておきますと、サルコペニアってのは、加齢に伴う筋力の低下や筋肉量の減少のことを言います。そして私たちは加齢とともにどうしてもこれらが減少してしまうんですが、
- 筋肉量の減少率
- 筋肉量の減少が始まる年齢
- 個人のピーク時の筋肉量
によって個人差があるんですな。
またサルコペニアは通常40~50歳から始まり、その後年間約0.6%のスピードで進行するそうで、この程度の筋肉量の減少率では、過度に悲惨な結果にはならないと考えられているんだとか。但し、高齢者になると病気や入院などによって筋肉を使わない、負荷を与えない期間が増えがちなので、どうしても進行スピードが上がってしまうみたい。更に高齢者の場合、歩数減少のようなちょっとした要因でさえも進行スピードを加速させ、そこからの回復も難しくなるそうな。
そのため、このレビューでは、主に高齢者の筋タンパク質代謝(筋タンパク質の合成と分解)に焦点を当てて対策を考えてみることにしたらしい。
んでまず全般的な筋タンパク質代謝について見ていきます。通常、骨格筋タンパク質は常に・同時に合成と分解が行われています。つまり合成が分解を上回るようにしていくのが大事ってことですね。
次に合成と分解について分かっている事としては、
- 運動を行っていない適切なタンパク質とカロリーを摂取している若年成人だと、実は合成と分解のバランスは比較的安定している
- 食べた場合における合成アップ効果は一時的なものであり、利用可能なアミノ酸があっても基礎レベルに戻ってしまう
- タンパク質の摂取+運動によってはタンパク質の合成スピードがアップし、合成と分解のバランスも改善する
- タンパク質の摂取+運動の相乗効果は、筋タンパク質をより蓄積させ、更に長期間行うことによって筋肥大を促進される
とのこと。
つまり、若いときは特に気にしなくても良いけど、サルコペニアが始まる前(40~50歳前)には高タンパク質食と運動をしておくと良い…!って感じみたい。
では、高齢者における筋タンパク質代謝だとどうなのか次に見ていきます。
初期の研究によると、高齢者の筋肉減少は、
- 基礎的な筋タンパク質合成スピードの低下
- 基礎的な筋タンパク質分解スピードの上昇
- 上記2つが組み合わさった場合
が原因であると報告されているらしい。
実際、高齢者(60歳以上)は、若年成人と比較して、吸収後の筋タンパク質合成スピードが遅く、合成と分解のバランスで見てみると、分解の方が上回ることが多いという結果も出ているとのこと。
より具体的には、高齢者は若年成人と比較して、筋タンパク質合成スピードが20~30%程度低下すると報告されているそうな。更に高齢者は若年成人と比較して、筋タンパク質分解スピードが50%も上昇していることも報告されているらしい。一方で健康な高齢者における合成スピードの低下・分解スピードの上昇は研究結果に不一致があるらしく、このことから、加齢によって損なわれないという可能性も高いみたい。
つまり健康だと特に気にするようなレベルでのサルコペニアは起きないけど、入院などが起きて一気に動かなくなると合成スピードの低下・分解スピードの上昇も一気にくるぞ…!って感じですかね。確かに有り得る話ですな。
また筋タンパク質の合成と分解の基礎スピードは、健康年齢の進行に伴って変化もしないらしい。
それと
- 1995年のINRA(INRAE)の研究による高齢のラットを使った動物実験
- 1998年のマーストリヒト大学の研究によるヒトを対象にした研究
の両方から、タンパク質の必要量は加齢とともに高くなるっぽいことが出ているそうです。ここから高齢者はタンパク質の合成にアミノ酸を効率よく使えない仮説が立てられたんだとか。
では、サルコペニア対策として、高齢者の場合どれぐらいのタンパク質を摂取すると良いのでしょうか…?
先行研究によれば、約10gのEAA(必須アミノ酸)+ホエイプロテイン20gを摂取すると、タンパク質合成スピードが天井に達していたとのこと。「タンパク質は1日にどのくらい摂取すればいいのか?」の記事で、ホエイプロテインは1回20gがベストだ…!と紹介していましたよね。まぁ、20g以上とってもメリットはありそうなんで、ガンガン摂っていくとよろしいかと…。
また、他にもこのレビューではポイントを挙げていまして、なんでも高齢者の場合、毎日のタンパク質は3回以上の食事の際に均等に配分すべきなんだとか。
例えば、
- 1日1回約60gのタンパク質を摂取する
- 1日3回、1回約20gのタンパク質を摂取する
という2パターンだと、「1日3回、1回約20gのタンパク質を摂取する」の方が良いらしい。小まめに摂取していくのがポイントですな。
最後に運動についても見ておきます。
そもそも加齢という現象もそうですが、運動不足自体もタンパク質の合成スピードにデメリットを及ぼすのは間違いないとのこと。
反対に、
- 筋トレはタンパク質合成スピードを急激に増加させる…!
- 長期間にわたって頻繁に筋トレを行えば、例え高齢者であっても筋肥大は促進される…!
- 但し、筋肥大は若年成人に比べて一般的に緩やかなスピードである
って感じ。やっぱ運動は大事だし、続けることはもっと大事だな…。
そしてもう一つポイントなのが強度のお話です。このレビューによると、低強度の筋トレ(1RM20~50%)でも、高強度の筋トレで見られるものと同様の筋肥大と筋力増加を引き起こすみたいなんですな。これも以前から書いている通り、おそらくポイントなのはボリュームなんでしょうね(詳しくは「筋トレは限界まで追い込むべきか否か?オールアウトについて考える!」と「結局、運動は週何回すべきか?」の記事をご覧ください)。なんで強度については、好きな方を選ぶ、続けやすい方を選ぶとよろしいかと思います。
個人的考察
ということで加齢により、どうしても食事や運動でのタンパク質合成スピードは緩やかになる様子。しかし、高タンパク質+運動(筋トレ)で、サルコペニアによる筋肉の減少を予防、あるいは停滞させることが出来るみたいです。
そのため対策としては、
