最後は、系統的レビューとメタ分析を用いて調べた研究を見てみます。



視覚障害と寿命の関係についての系統的レビューとメタ分析

2021年のミシガン大学などの研究によると、視覚障害と寿命の関係について系統的レビューとメタ分析を行ってみたそうです。
そもそも高齢化により、世界中で視覚障害を持つ人の数は増えております。そして2016年の青島大学のメタ分析により、29件の前向きコホート研究をまとめた結果、視覚障害と死亡リスクの増加には関係がありそうと言うことが分かったんですよね。
ただ、このメタ分析には弱点もございまして、例えば視力検査を客観的に調べたのが15件しかなく他は自己申告だったり、各研究のバイアスリスクやエビデンスレベルをチェックしていなかったんですな。そこで今回その辺を踏まえて系統的レビューとメタ分析を行ってみたんだとか。
まず研究者たちは、2020年2月1日までに発表された該当する研究をMEDLINE(Ovid)、Embase、Global Healthで検索してみたそうです。またこの時、40歳以上の人で且つ1年以上追跡調査した該当研究であること、前向きコホート研究又は後ろ向きコホート研究であることに絞って探したみたい。その後、この調べる基準を修正して再度検索し直したところ3,845件の研究がヒットしたそうな。
続いてこの中で重複するものや質の低い物を除いていったそうで、最終的に28件の研究が選ばれたとのこと。これらの特徴は、

  • 28件中25件は観察研究だった
  • 28件中3件はRCTだった
  • 5大陸、12か国の成人を対象にしていた(日本の研究はなし)
  • 総サンプル数は446,088人だった
  • サンプルサイズは193人から359,984人の間だった
  • 男性と女性の参加者はほぼ同数だった
  • 追跡期間は17か月から210か月の間で平均追跡期間は103.3か月だった

って感じ。
それでは結果を見てみましょう。
視覚障害がある人とない人を比べた場合の全死亡リスクは、

  • 視力が<6/12と≥6/12だとHR1.29
  • 視力が<6/18と≥6/18だとHR1.43
  • 視力が<6/60と≥6/18だとHR1.89
  • 視力が<6/60と≥6/60だとHR1.02

とのこと。
つまり、

  • 視力が悪い人は問題ない人に比べて全死亡リスクがアップする
  • 視力が低下すればするほど死亡リスクはアップする

って感じ。
視覚障害の方は寿命が短くなる可能性が高いみたい。残念な結果ですね。



個人的考察

以上、眼疾患・視覚障害の方編でした。
視覚障害の場合も死亡リスクは高くなるみたいなんで平均寿命は下がりそうな感じでした。



参考文献