高タンパク質食は良いよーってオススメしている当ブログ。
だって良い感じの結果が出ている研究が多い物ですから。
そんな中、興味深い研究がありまして、超高タンパク質食+高強度の筋トレの効果ってどんな感じなの…?ってのを調べてくれているんですよ。
ということで早速見ていきましょう。



超高タンパク質食+高強度の筋トレの効果

2015年のノバサウスイースタン大学RCTによると、超高タンパク質食+高強度の筋トレの効果について調べてみたそうです。
そもそも普段から運動している人にとって、タンパク質の必要量ってのは何かと話題になるジャンル。
例えば、

  • 2007年の国際スポーツ栄養学会の研究によると、普段から運動している人は1日に体重(kg)×1.4~2.0gのタンパク質を摂取すれと良い…!と言っている。これが安全且つトレーニング効果においてベストとのこと
  • 2007年のマクマスター大学の研究によると、持久力トレーニング(有酸素運動)を行うアスリートは1日に体重(kg)×1.2~1.4gのタンパク質を摂取すれと良い…!と言っている。また、筋トレ(無酸素運動)を行うアスリートは1日に体重(kg)×1.6~1.7gのタンパク質を摂取すれと良い…!と言っている

って感じ。
ここから普段から運動する人にとってのタンパク質の必要量は、

  • 1日に体重(kg)×2.0gのタンパク質を摂取すると良い…!

という上限がコンセンサスなんだとか。
一方で高タンパク質食の「高」の定義を誤っていたり、やや誤解を招くものがある研究者もいるそうな。2011年のスターリング大学の研究を参考にすると、高タンパク質食の定義には、

  • 総エネルギーの15~16%を超えるタンパク質の摂取
  • 総カロリーの35%に達するタンパク質の摂取
  • 推奨タンパク質摂取量をわずかに超える摂取

が含まれるらしい。結構ややこしいですね~。
そんな高タンパク質食より上、つまり超高タンパク質食の効果を同研究チームは過去に初めて調べているとのこと。
2014年のノバサウスイースタン大学の研究がそれでして、ここではなんと1日に体重(kg)×4.4gのタンパク質を摂取しているんですな。しかしその結果が興味深い物でタンパク質の摂取量以外を同じにしつつ、同じ筋トレをした人と比べても体組成(体重、体脂肪、筋肉量、体脂肪率)に影響がなかったそうなんですよ。謎ですね~。
ということで今回研究者たちは、超高タンパク質食+高強度の筋トレで再度調べてみることにしたらしい。
この研究は筋トレ経験のある男女73人に協力を依頼したもので、以下の2グループにランダムに分かれてもらったと言うもの。

  1. 高タンパク質食グループ(対照群):実験期間中、同じ食習慣を維持するよう指示された。
  2. 超高タンパク質食グループ:1日に体重(kg)×3g以上のタンパク質を摂取するよう指示された。

併せて、食事日記や体組成チェック、パフォーマンステスト、血液検査なんかもしたらしい。
次に高強度の筋トレメニューなんですが、どちらのグループも同じメニューを行っております。
んで面白いのがかなり細かいところまで筋トレメニューが記されているんですよ。正直、筋トレメニューで困っている人が参考にしても良さそうなんでここだけ見ても面白いかと。
まずこの筋トレメニューは筋力と筋肉量アップを目的に設計したそうで、週5日を8週間続けてもらったそうな。
んで具体的なメニューは以下のようになっておりました。

【第1週】
  • 月曜日:胸、肩、上腕三頭筋の筋トレ。各部位を15レップ(連続回数)3セット行った。因みにウォームアップ2セットは含まないとのこと。
  • 火曜日:ヒップ、脚の筋トレ。各部位を15レップ3セット行った。
  • 水曜日:背中、上腕二頭筋の筋トレ。各部位を15レップ3セット行った。
  • 木曜日:胸、肩、上腕三頭筋の筋トレ。各部位を10レップ3セット行った。
  • 金曜日:ヒップ、脚の筋トレ。各部位を10レップ3セット行った。
  • 土曜日:休み。
  • 日曜日:休み。

【第2週】
  • 月曜日:背中、上腕二頭筋の筋トレ。各部位を10レップ3セット行った。
  • 火曜日:胸、肩、上腕三頭筋の筋トレ。各部位を5レップ3セット行った。
  • 水曜日:ヒップ、脚の筋トレ。各部位を5レップ3セット行った。
  • 木曜日:背中、上腕二頭筋の筋トレ。各部位を5レップ3セット行った。
  • 金曜日:胸、肩、上腕三頭筋の筋トレ。各部位を12レップ3セット行った。
  • 土曜日:休み。
  • 日曜日:休み。

【第3週】
  • 月曜日:ヒップ、脚の筋トレ。各部位を12レップ3セット行った。
  • 火曜日:背中、上腕二頭筋の筋トレ。各部位を12レップ3セット行った。
  • 水曜日:胸、肩、上腕三頭筋の筋トレ。各部位を10レップ3セット行った。
  • 木曜日:ヒップ、脚の筋トレ。各部位を10レップ3セット行った。
  • 金曜日:背中、上腕二頭筋の筋トレ。各部位を10レップ3セット行った。
  • 土曜日:休み。
  • 日曜日:休み。

【第4週】
  • 月曜日:胸、肩、上腕三頭筋の筋トレ。各部位を5レップ3セット行った。
  • 火曜日:ヒップ、脚の筋トレ。各部位を5レップ3セット行った。
  • 水曜日:背中、上腕二頭筋の筋トレ。各部位を5レップ3セット行った。
  • 木曜日:胸、肩、上腕三頭筋の筋トレ。各部位を12レップ3セット行った。
  • 金曜日:ヒップ、脚の筋トレ。各部位を12レップ3セット行った。
  • 土曜日:休み。
  • 日曜日:休み。

【第5週】
  • 月曜日:胸、肩、上腕三頭筋の筋トレ。各部位を12レップ3セット行った。
  • 火曜日:ヒップ、脚の筋トレ。各部位を8レップ3セット行った。
  • 水曜日:背中、上腕二頭筋の筋トレ。各部位を8レップ3セット行った。
  • 木曜日:胸、肩、上腕三頭筋の筋トレ。各部位を8レップ3セット行った。
  • 金曜日:ヒップ、脚の筋トレ。各部位を5レップ3セット行った。
  • 土曜日:休み。
  • 日曜日:休み。

【第6週】
  • 月曜日:背中、上腕二頭筋の筋トレ。各部位を5レップ3セット行った。
  • 火曜日:胸、肩、上腕三頭筋の筋トレ。各部位を5レップ3セット行った。
  • 水曜日:ヒップ、脚の筋トレ。各部位を12レップ3セット行った。
  • 木曜日:背中、上腕二頭筋の筋トレ。各部位を12レップ3セット行った。
  • 金曜日:胸、肩、上腕三頭筋の筋トレ。各部位を12レップ3セット行った。
  • 土曜日:休み。
  • 日曜日:休み。

【第7週】
  • 月曜日:ヒップ、脚の筋トレ。各部位を8レップ3セット行った。
  • 火曜日:背中、上腕二頭筋の筋トレ。各部位を8レップ3セット行った。
  • 水曜日:胸、肩、上腕三頭筋の筋トレ。各部位を8レップ3セット行った。
  • 木曜日:ヒップ、脚の筋トレ。各部位を8レップ3セット行った。
  • 金曜日:休み。
  • 土曜日:休み。
  • 日曜日:休み。

【第8週】
  • 月曜日:胸、肩、上腕三頭筋の筋トレ。各部位を5~15レップ3セット行った。
  • 火曜日:休み。
  • 水曜日:背中、上腕二頭筋の筋トレ。各部位を5~15レップ3セット行った。
  • 木曜日:休み。
  • 金曜日:ヒップ、脚の筋トレ。各部位を15~15レップ3セット行った(※たぶん5~15のミス)
  • 土曜日:休み。
  • 日曜日:休み。

ご覧の通り、基本的に上半身と下半身を交互に鍛えつつ負荷を上げたり下げたりしています。
次にそれぞれの部位の筋トレ方法を見ていきましょう。

【胸:以下のうち3つを行った】
  • フラットベンチプレス
  • インクラインベンチプレス
  • ケーブルクロスオーバー
  • ペックデッキフライ
  • フラットベンチフライ
  • デクラインベンチプレス

【肩:以下のうち3つを行った】
  • アップライトロー
  • マシンミリタリープレス
  • ダンベルオーバーヘッドプレス
  • ラテラルダンベルレイズ
  • ショルダーシュラッグ

【上腕三頭筋:以下のうち2つを行った】
  • トリセプスプッシュダウン
  • ディップス
  • フレンチプレス

【背中:以下のうち4つを行った】
  • ワイドグリップラットプルダウン
  • ナローグリップラットプルダウン
  • チンアップ(懸垂)
  • ケーブルロー
  • ダンベルロー
  • ダンベルフライ

【上腕二頭筋:以下のうち3つを行った】
  • スタンディングバーベルカール
  • スタンディングEZバーカール
  • コンセントレーションカール
  • プリーチャーカール
  • ハンマーカール

【脚:以下のうち5つを行った】
  • バックスクワット
  • スミスマシンスクワット
  • レッグプレス
  • ランジ
  • レッグカール
  • レッグエクステンション
  • カーフレイズ(座って又は立って)
  • スティッフレッグデッドリフト

ちょっと自宅だと再現が難しいですね。これをやるならジムに行かないときついですな。因みに今回の参加者には有酸素運動を行わないよう指示もしておりました。

さて、8週間後73人いた参加者のうちドロップアウトせずに完走できたのは48人だったそうです。
やりきった参加者の基本データは以下のようになっておりました。

  1. 高タンパク質食グループ:17人(女性4人、男性13人)、平均年齢24.8±6.9歳、平均筋トレ歴2.4±1.7年。
  2. 超高タンパク質食グループ:31人(女性7人、男性24人)、平均年齢22.9±3.1歳、平均筋トレ歴4.9±4.1年。

各グループのタンパク質摂取量を見たところ以下な感じだったらしい。

  1. 高タンパク質食グループ:1日に体重(kg)×2.3gのタンパク質を摂取
  2. 超高タンパク質食グループ:1日に体重(kg)×3.4gのタンパク質を摂取

それでは体組成の結果を見てみましょう。

【体重】
  • 高タンパク質食グループ:+1.3±1.3kg
  • 超高タンパク質食グループ:-0.1±2.5kg

【体脂肪】
  • 高タンパク質食グループ:-0.3±2.2kg
  • 超高タンパク質食グループ:-1.7±2.3kg

【体脂肪率】
  • 高タンパク質食グループ:-0.7±2.8%
  • 超高タンパク質食グループ:-2.4±2.9%

【筋肉量】
  • 高タンパク質食グループ:+1.5±1.8kg
  • 超高タンパク質食グループ:+1.5±2.2kg

また、筋トレの成果としては、

  • スクワットとベンチプレスの両方で1RMの筋力が有意にアップしていた…!
  • 垂直跳びの高さと懸垂の最大回数も有意にアップしていた…!

とのこと。
更に超高タンパク質食のデメリットも調べたんですが、

  • 尿素窒素、GFRについて両グループとも変化はなく正常値の範囲内だった…!

そうです。
腎臓病を含め特にデメリットはなかったようですね。



個人的考察

最後に超高タンパク質食+高強度の筋トレの効果についてまとめておきます。

  • 超高タンパク質食(3.4g/kg/日)と高タンパク質食(2.3g/kg/日)の筋肉量アップ効果は同じぐらい…!
  • 但し超高タンパク質食の方が体脂肪・体脂肪率が大幅にダウンする…!
  • 超高タンパク質食や高タンパク質食のデメリットはない…!

いや~非常に勉強になる研究でしたね…!



参考文献