ダイエットの基本は、体脂肪を減らし、筋肉量を多くすることです。
しかし実際のところ、カロリーを少なくすると体脂肪だけでなく、筋肉量もダウンしてしまうんですよね…。
では、どれぐらいの期間でどれぐらい影響があるのか…?今回はそれを調べた研究をご紹介します。



カロリーを80%にして10日過ごすだけで19%もタンパク質合成スピードが落ちてしまう…!

2010年のコネチカット大学の研究によると、カロリー不足と筋肉合成スピードの関係について調べてみたそうです。
そもそも大前提として、タンパク質合成(筋肉を作る事)はカロリー摂取の影響を受けます。先行研究によれば、体重を管理するダイエットはカロリーを少なくするため、筋肉量が減ったり、全身のタンパク質の代謝が変化しちゃったりしてしまい、結果、カロリー消費量が少なくなるということがあったそうです。また、カロリー制限が厳しくなればなるほど、その影響も大きくなるとのことでした。
更に断食などの急激なカロリー不足・カロリー制限は、全身の筋肉の分解をアップさせます。これは体が省エネモード、つまり、カロリーとタンパク質を蓄えておこうとするからです。
ただ、実際どれぐらいのカロリー不足でどの程度、筋肉量に影響が出るのか分からなかったので今回調べてみよう…!となったみたいです。

今回、実験に参加したのは普段から体を動かしている12人の方々(男性8人、女性4人)で、期間は10日間+10日間の計20日間だったそうです。
参加者には以下の2グループに分かれてもらい、食事を取ってもらったそうな。

  1. 体重維持に必要なカロリーの約100%のカロリーを摂取してもらう
  2. 体重維持に必要なカロリーの約80%のカロリーを摂取してもらう

割り当てられたカロリー量で10日間食事をとってもらい、今度はもう一つの方のカロリー量で更に10日間食事を取ってもらったらしい。つまりクロスオーバーデザインを用いたってことですね。
また食事(栄養素)はグループに差はなく、

  • タンパク質:1日のタンパク質摂取量(g)=体重(kg)×タンパク質1.5g
  • 脂肪:1日の必要摂取カロリーの約30%

って感じで行ったらしい。
これで純粋にカロリー摂取量の違いで、筋肉合成スピードに違いが出るのか分かるってことですね。
因みに体組成は、DXA(二重X線吸収法)を用いて調べたそうなんで、なかなか良い感じですね。
最後に集まったデータを統計処理した結果、以下のようになったそうです。

  • 必要なカロリーの約80%にすると、参加者は約1kg体重が減っていた…!
  • 筋肉タンパク質合成速度(FSR)は、必要なカロリーの約100%だと0.074±0.01%/hだったが、必要なカロリーの約80%だと0.06±0.01%/hだった。つまり、約19%もタンパク質合成スピードが落ちていた…!

わずか10日間のカロリー制限で筋肉タンパク質合成速度(FSR)がダウンしてしまうってのは怖いですね。長期の場合を考えるともっと怖い…。



個人的考察

ということで、上記の研究を踏まえると、ダイエットってのは矛盾の中で行わなければいけない事が分かるかと思います。
どういうことかというと、体脂肪・筋肉量は同時にアップ・ダウンするからです。
つまり、

  • カロリーをたくさんとる:体脂肪アップ…!筋肉量もアップ…!
  • カロリーを少なくする:体脂肪ダウン…!筋肉量もダウン…!

ってことですね。
カロリーをとれば当然脂肪はつくけど、その分筋肉もついて代謝もアップするし、逆にカロリーをとらなければ脂肪がつかなくなるけど、その分筋肉もつかないので代謝もダウンするって感じです。
理想は体脂肪はダウン・筋肉量はアップなんですが、どうやら同時に起こるので無理っぽいんですよ。残念…。

となると、残る方法としては、増量期・減量期などの緩急をつける、チートデイを導入するってのが良さげかと思います。



参考文献