【まとめ】最近の若者は~って本当?世代間のギャップ差問題について考える!
- 最近の若者は~だよ。
どの時代、どの世代でもこれを言われると、ついカチンとなっちゃいますよね(笑)。就職氷河期世代は~とか、ゆとり世代は~とか、Z世代は~とか…。
でもこれって本当にあるんですかね~?つまり、世代間のギャップってのは実際どうなのかって話です。
仕事の価値観における世代間のギャップについて調べてみた…!
2010年のサンディエゴ州立大学などの研究によると、仕事の価値観における世代間のギャップについて調べてみたそうです。
この研究は1976年(団塊の世代)、1991年(X世代)、2006年(ミレニアル世代)の時にアメリカの高校3年生だった人たちを対象に行ったもので、参加者は16,507人だったそうな。
皆それぞれの時代でどういう価値観だったのかアンケートに答えてもらったらしく、これで世代の違いと年齢の違いを分けて考えてみたらしい。
結果、
- 自由な時間の価値観は世代を経るごとに着実に増加していた…!
- 逆に仕事の中心の価値観は世代を経るごとに減少していた…!
- 地位やお金といった価値観はX世代でピークに達していたが、団塊の世代よりもミレニアル世代の方が高い傾向にあった…!
- 一般的なイメージとは対照的に、ミレニアル世代はそれより前の世代(団塊の世代、X世代)よりも利他的な仕事の価値観(他人をサポートしたり社会貢献的な仕事)を好んでいなかった…!
- 友達を作ることや興味深さや結果重視の仕事の価値観は、団塊の世代よりもミレニアル世代の方が低く評価していた…!
とのこと。
これらをみるとやはり世代間のギャップがあるのかな~と思っちゃいますよね。
しかし、時代背景を合わせて考えてみるとあんま差がない…!って結論なんですよ。
例えば、どの世代でも仕事の価値観は、
- やりがい・自己成長のチャンス・興味関心が高い…!
- 地位やお金はまぁまぁ
- つきあいや休暇は少ない方が良い…!
って感じだったらしい。
つまり、景気とかによって、とるべき選択肢が変わるだけで、そこに世代間のギャップはないと…。
確かに、バブルとかみたいにイケイケな時代だったら、将来も明るいから仕事の価値観もポジティブや挑戦的になりますし、リーマンショックやコロナ禍な時代だったら、先行き不透明で仕事の価値観もネガティブや保守的になりますわな。
当然っちゃ当然なんですが、そこの時代に生きていない人からみたら、どうしても、最近の若者は~となっちゃうわけですね。
30年間で47万人以上調べたけどジェネレーションギャップ・世代間ギャップはなかった…!
2017年のウェスタンオンタリオ大学の研究によると、ジェネレーションギャップってのが存在するのか調べてみたそうです。この研究は、1976年から2006年までアメリカの高校3年生を対象にしたものでして、延べサンプル数は477,380人にも及んだそうな。んで、この参加者たちを各世代ごとに分けつつ、世代間ギャップがあるのかチェックしてみたとのこと。
結果、過去30年間で
- 利己的
- 自己評価
- 個人主義
- 自尊心
- ローカス・オブ・コントロール(統制の所在)
- 絶望感
- 幸福感
- 人生の満足度
- 孤独感
- 反社会的な行動
- 仕事時間・テレビの視聴時間
- 政治活動
- 宗教の重要性
- 社会的地位の重要性
において意味のある変化があったという証拠はほとんどなかった…!そうです。
つまり、ジェネレーションギャップ・世代間ギャップといったものは見当たらなかったと。
なぜ私たちは「ジェネレーションギャップ・世代間ギャップ」あると思っちゃうのか…?
ということで「ジェネレーションギャップ・世代間ギャップは幻想…!勘違い…!」ってことになるんですが、なぜ私たちはこれらがあると思っちゃうんでしょうか…?
この答えについて参考になるのが2017年のイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究になります。
この研究は上記で紹介した過去30年間の結果を踏まえておそらくこれが原因なんじゃないかな~って理由を提示しております。
早速チェックしてみますと以下な感じ。
- ナルシシズム(ナルシスト:自分大好き、自己中な人)に関する新しいデータを既存のメタ分析データに組み込んだ場合、過去数十年間における学生のナルシシズムは増加していなかった。
- また、ナルシシズムの年齢による変化は再現可能であり、ナルシシズムの世代による変化と比較しても比較的大きいことを示していた。
- つまり、どの世代でも、若者は年長者よりもナルシストであると言える。この結果がどの世代もミージェネレーションになり得るという結論を物語っている…!
ミージェネレーションってのは、自分中心的な生活や態度、考え方を持つ人のことで要は自己中のことですな。
これだけだとちょっと分かったような分からなかったような感じなんでもうちょい簡単にまとめますと、
- 皆若いときはナルシストで自己中…!
- だけど年齢を重ねるにつれ皆、ナルシストレベルと自己中レベルが下がってくる…!
- そのため、年配者が若者を見ると、今の若者はナルシスト&自己中=ジェネレーションギャップ・世代間ギャップがあると感じる…!
ってことになります。
年配者は自分の当時のことを棚に上げて今の若者は~って言っているってことですね。実は当時は自分もそうだったのに…。何とも大人げないですな(笑)
最近の若者は…のメカニズムは、現在の秀でた能力と過去の偏った記憶で比較しちゃうから…!
2019年のカリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究によると、最近の若者は…となぜ言いたくなるのか調べてみたそうです。
そもそも最近の若者は…ってのを言い出したのがどれぐらい前かといいますと、例えば、イギリスのロンドンにある聖マーガレット教会の牧師が1624年に、昔の若者はこんなに生意気ではなかった。高齢者は軽蔑され、名誉ある者は非難され、判事を恐れていない…と言っているそうな。んで、研究者によれば、少なくとも紀元前624年以降、最近の若者は…と嘆いていたらしく、つまり何千年にもわたって続く普遍的な不満みたいです。
じゃあ、なんで最近の若者は…ってのがずーっと起こり続けているのか…?そのメカニズムを調べたのが今回の研究になります。実験は全部で5つ行われておりますので、一つずつチェックしていきましょう。
実験1
実験1では、子どもの頃と比べて今の若者は、年上を尊敬していると思うか参加者に聞いてみたそうです。併せて回答者の年齢も聞いてみたとのこと。
1,824人に聞いてみた結果、
1,824人に聞いてみた結果、
- 今の若者は昔よりも年上を尊敬していないという回答が多かった…!
- 年配者を敬うべきだ…!と思っている人ほど、今の若者は昔よりも年上を尊敬していないと答えていた…!
- 年配の参加者は、最近の若者は年長者をあまり尊重しなくなっていると思っていた…!
とのこと。
やはり今の若者は…って思っているみたいですな。
実験2
実験2では最近の若者の知能について聞いてみたそうです。そもそも数十年にわたって知能は向上し続けているそうで、それを踏まえると今の若者は昔の若者よりも頭が良いことになります。では実際皆はどう思っているかということで、参加者134人に聞いてみたそうな。質問例としては、あなたが子供の頃と比べて、今の若者は昔よりも賢くなっていると思いますか…?みたいな感じ。
結果、
- 昔も今も頭の良さは変わらん…!って答えた人が多かった…!
- んがしかし、より知的な人の場合、今の若者は昔よりも頭が悪いと思っていた…!
とのこと。
因みに研究者曰く、上記結果により実験1の結果が単に子どもや社会に対する不満の結果ではないことを意味しているそうな。
実験3
実験3では、最近の若者たちは読書をしていると思うかを調べてみたそうです。
この実験は成人1,500人を対象に行ったそうで、子供の頃と比べて今の若者はどの程度、読書を楽しんでいるか、どれぐらい読んでいるかを参加者に聞いてみたらしい。
結果、
- 人々は、最近の若者は以前ほど読書を楽しんでいないと思っていた…!
- また普段から本をよく読む人ほど、今の若者は読書が好きではなくなっていると思っていた…!
とのこと。
実験1~3をみてみると、3つのうち2つで最近の若者は…と思っていたみたいです。そして知能では思わなかったのを踏まえると、単なる幻想や優越感からきているのではないと言えるそうな。
また注目すべきは、質問の内容により長けている人や行っている人ほど、そのことについて、最近の若者は…となりがちだったこと。つまり、自分が今の若者と比べて優れているところに今の若者は…と感じやすいってことですね。
実験4
実験4では、実験3の状況を再現しつつ、最近の若者は…のメカニズムを調べてみたそうです。まず最初に以下の3つのことを参加者に聞いてみたんだとか。
- 大人になった今、読書はどれくらい好きですか…?
- 子どもの頃、どれくらい本を読むのが好きでしたか…?
- あなたの幼なじみは、子どもの頃、どれくらい本を読むのが好きでしたか…?
その後は実験3と同じで今の若者は昔に比べて本を読むかどうかを聞いてみたらしい。これにより、記憶バイアスの影響を少なくしたってことですね。
結果は、
とのこと。
結果は、
- 実験3の結果同様、本をよく読む人ほど、今の若者は読書が好きではなくなっていると思っていた…!
- 更に、本をよく読む人は、今の大人も読書が好きではなくなっていると思っていた…!
つまり、過去の自分や他人への読書の考えを思い出すと、尚、最近の若者は…ってなるし、それどころか、最近の大人は…にまで広がっちまったってことですね。う~ん。面白い…。
そして驚くべきことに、ある事柄が長けている人ほど、最近の若者は…、最近の大人は…ってよりなったみたい。
以上を踏まえると、
- 最近の若者は…って現象は、過去の記憶から媒介されるのが原因なんじゃないか…?
って感じになったそうです。
実験5
実験5では、人々がどの程度本を読んでいるかについての認識を意図的に操作し、過去の記憶から媒介する仮説が正しいのか、因果関係はどうなのか調べてみたそうです。
最後の実験に参加したのはアメリカ人の成人1500人でまず参加者全員の自分の年齢と性別を記入してもらったそうな。続いて、著者を知っているかどうかテストを画面を見て解いてもらったらしい。その後、成績が画面に出るんですが、実際の成績となんも関係がなくて、ランダムに、
- テストの成績は平均を35%も上回っていました。非常に良かったです。あなたの読書能力は人口の上位15%にランクしています…!
- テストの成績は平均を35%も下回っていました。非常に悪かったです。あなたの読書能力は人口の下位15%にランクしています…。
のどちらかのパターンが表示されたみたい。
後は実験4と同じ感じで、過去の自分や他人への読書の考えを思い出してもらいつつ、今の若者は昔に比べて本を読むかどうかを聞いてみたそうです。
結果、
- 読書能力が人口の下位15%だと思った人は、最近の若者は…と思うことが減少した…!
とのこと。
自分が秀でていないってなると、最近の若者は…って言うことが少なくなるのはダサいですな(笑)
まとめ
それでは最後に5つの実験結果から最近の若者は…の現象が起こるメカニズムをまとめておきましょう。
- 最近の若者は…と思う人はやっぱり多かった。
- 但しどのようなことでも最近の若者は…と思うわけではない(例:知能の高さ低さ)
- 自分が特に秀でている事柄において、特に最近の若者は…と思う傾向が高かった…!
- 自分が特に秀でていない事柄において、特に最近の若者は…と思う傾向が低かった…!
上記により分かった、最近の若者は…のメカニズムは、
- 自分が特に秀でている事柄は、他人が詳しくない事に気付きやすい
- また、自分自身や過去の自分、過去の友人の記憶がごちゃごちゃになり、今、私は読書が好きだから、私が子どもの頃はみんな読書が好きだった…!みたいな錯誤に陥る
- 結果、最近の若者は…となる…!
って感じで、どうやら最近の若者を見る時、現在の秀でた能力と過去の偏った記憶(記憶バイアス)で比較しちゃって起きるみたいです。こいつが何千年も前から繰り返し繰り返し起こっているから、いつの時代も最近の若者は…ってなっているみたい。いや~メカニズムを知るとめっちゃ恥ずかしいですねー。
個人的考察
「ジェネレーションギャップ・世代間ギャップ」ってのは、年配者が過去の自分もナルシスト・自己中だったことを忘れて文句を言っているだけ…!という、なんとも悲しい話でした。
個人的には、やっぱ客観視って重要だなーと思いましたね(無理矢理まとめてみた)。自分も気をつけんと…。
ということで生きた時代背景も視野に入れつつ、世代間のギャップなんてなくて、結局考えることなんて一緒なんだよな~と思えることが、大事みたいですね。