非常に難しい障がいである「境界性パーソナリティ障害」とその代表的な治療法である「弁証法的行動療法(DBT)」について学んでおきますかー その2「治療が難しい理由編」
境界性パーソナリティ障害は治療が難しいことで有名…!その最も難しいのが自殺率の高さ…!
パーソナリティ障害がそもそも治療の難しい障がいなんですが、その中でも最も治療が難しいことで有名なのが境界性パーソナリティ障害です。その主な原因は、衝動性と自傷行為の傾向からの自殺行動の高さなんですよね。そのため、自殺行為とその再発率が境界性パーソナリティ障害を決定づける特徴であるとも言われております。
いくつか研究を見てみますと以下な感じ。
- 1994年のピッツバーグ大学の研究によると、境界性パーソナリティ障害の患者さん84名を対象にチェックした結果、自殺未遂をしたことがある患者さんが61名(72.6%)だったそうな。また患者さん1人当たりにおける平均回数が3.39回だったとのこと。
- 1994年のカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究によると、外来精神科クリニックに連続入院していた1,000人の患者を対象に、過去の自殺未遂と現在の希死念慮についてチェックしてみた。結果、全ての診断で死と自殺に関する様々な思考が広く見られた。また、大うつ病と境界性パーソナリティ障害の患者さんの3分の1以上が実際に自殺を計画していた。更に境界性パーソナリティ障害の患者さんの3分の2以上が1回以上の自殺未遂を行っていた。
- 2000年のピッツバーグ大学の研究によると、境界性パーソナリティ障害の入院患者さん81名と大うつ病のみの入院患者さん77名を比較してみた。結果、境界性パーソナリティ障害の患者さん81名中68名が生涯にわたって自殺未遂歴があった。大うつ病の患者さん77名中27名が生涯にわたって自殺未遂歴があった。また、境界性パーソナリティ障害+大うつ病の方の生涯自殺未遂回数は平均3.0回、境界性パーソナリティ障害のみの方の生涯自殺未遂回数は平均1.9回、大うつ病のみの方の生涯自殺未遂回数は平均0.8回だった。
- 2001年のマギル大学の研究によると、境界性パーソナリティ障害の患者さん64名を平均27年間も追跡調査した。結果、実験スタート時からの自殺者の合計割合は10.3%に達し、現在の全患者の18.2%が死亡していた。