裁判官すら食事のタイミングで判決が変わる!という有名な意思決定の研究をご存知でしょうか…?
以前に交渉術のところでチラッとご紹介していたのですが、この度、改めてしっかりご紹介しておこうかと思いまして…。



裁判官すら食事のタイミングで判決が変わる!という有名な意思決定研究の話

ノーベル経済学賞受賞者で「ファスト&スロー」の著者であるプリンストン大学のダニエル・カーネマンも関わった2011年の研究によると、裁判官の食事の前後で仮釈放が許可されるかの判断(司法決定)に変化があるのかを調べたそうです。つまり意思決定と食事の関係を司法判決から調べてみたということになります。
では早速見ていきましょう…!
まず場所はイスラエルにある主要な4つの刑務所でして、2つの異なる仮釈放委員会が管轄する8人のユダヤ系イスラエル人裁判官(女性2人)によって、仮釈放すべきか否かを判断したそうです。因みに2つの仮釈放委員会は、イスラエル内の全ての仮釈放判決の約40%を行うみたい。
実験期間は10ヶ月間で、その間の50日間にわたって合計1,112件もの司法判決のデータを収集したとのこと。更に参加者(囚人)については、

  • ユダヤ系のイスラエル人男性727人(65.3%)
  • アラブ系のイスラエル人男性326人(29.3%)
  • ユダヤ系のイスラエル人女性50人(4.5%)
  • アラブ系のイスラエル人女性9人(0.9%)

だったそうな。
刑務所には、殺人、レイプ、暴行、窃盗、横領など重罪の有罪判決を受けた方々が収容されていて、仮釈放は裁判官が1人で決定するそう。裁判官は毎日14〜35件の事件を担当しているそうでなかなかハードなご様子。
んで、研究者たちは、食事とおやつタイムの時間をデータ取りしてみたそうで、結果はこんな感じだったそうです。

  • 午前のおやつタイム→午前9:49~10:27にあり、平均時間は38.48分。サンドイッチやフルーツなどの軽食を食べる
  • 昼食休憩→午後12:46~2:10にあり、平均時間は57.37分

最後に仮釈放の判決と食事の影響についてチェックしたそうです。
まずは、結果が一目で分かるグラフを見てみましょう…!


縦軸が囚人に有利な判決をしたときで、横軸が時間経過に伴う囚人有利の判決割合です。
丸はそれぞれの開始から最初の決定、又は再開から最初の決定をした印です。
点線は食べ物を食べているときを指します。
ポイントをまとめると、

  • 食後は仮釈放の許可が出やすいが徐々に出づらくなる…!
  • 具体的には、仮釈放の許可は約65%囚人有利な結果が出る…!からスタートし、最後はほぼゼロまで着実に低下する。そして食事で元に戻る…!
  • つまり、食事の前後で仮釈放の許可は最大約65%も変わる…!
  • そのため、囚人有利な判決が出やすいのは、仕事の始まりと食後(休憩後)である…!

となります。公正な判断とはこれ如何に…。
理由は食事をして血糖値が上がり、その後血糖値が下がると判断力も下がるため、その際に仮釈放にすべきか否か判断するとその判断が甘くなるみたいです。
う~ん。理不尽…。



個人的考察

ということで、頼み事は仕事の始まりか食後(休憩後)にすると、成功率が最大65%程アップするという話でした。
これを基に人工的に戦略を練るとなると、例えば、午後一番で交渉するとか、仲が良い企業さんの相手方なんかにお菓子を持っていき、その場で食べる。その後頼みごとをするなんてのもいいかも…。う~ん。悪魔的な発想(笑)
因みに逆に意思決定を上手くするためには、下記が参考になると思います。合わせてご覧ください。