当事業所では、ここ1,2年ほどかけて認知行動療法を学んでおりました。
その詳細については、しせつちょうの社内研修から各内容を確認いただけると幸いなのですが、兎に角、障がい者支援にとって非常に役立つ内容が盛りだくさんとなっております。さすがゴールドスタンダード。
ですが、ここで問題なのが、似たような内容だけど、微妙に違いがあって分かりづらい用語がある事。当時、私自身も認知行動療法を勉強したとき、これとこれの違いってよく分からん…!となったものです(笑)
ということで今回は、認知行動療法の世界で良く出てくるワードを私なりに分かりやすくした例をご紹介します。
異論はあるかと思いますが、参考程度にご覧いただけると嬉しいです。



認知行動療法の世界で良く出てくる似たような用語

ではまず認知行動療法の世界で良く出てくる似たよう用語をご紹介します。主に私が学んだ際に違いが分からん…!とつまずいた用語はこんな感じ。

  1. マインドフルネス
  2. DM(ディタッチド・マインドフルネス)
  3. アクセプタンス体験の回避(回避行動)
  4. 認知的フュージョン・脱フュージョン

う~ん…。
これらって分かりそうで分からないような感じですよね。私は当時ごちゃごちゃになることがしょっちゅうでした…。
んで、一応それぞれについて簡単に説明していくとこんな感じ。


1. マインドフルネス

マインドフルネスとは、今の瞬間の現実に常に気づきを向け、その現実をあるがままに知覚し、それに対する思考や感情には囚われないでいる心の持ち方、存在のありようのことを言います。
もう少しざっくり言うなら、過去の後悔に囚われず、未来の不安に囚われず、今この瞬間に目を向けるって感じ。注意点としては、マインドフルネス=瞑想ではないということ。更に詳しくは下記参照。



2. DM(ディタッチド・マインドフルネス)

ディタッチド・マインドフルネス(DM)とは、距離を置いた注意深さのことを言います。
ディタッチド(ディタッチメント)とは、モニタリングした結果の反応について距離を置くこと、メタ認知的な視点を持つことを言い(アクセプタンスと共通点がある)、マインドフルネスはモニタリング(観察)そのものを言う、気付きの意味。
自己注目(自分に注意が向き過ぎること)していても、健康的に正常な情報処理をする状態のことをディタッチド・マインドフルネス(DM)と言った感じ。
ディタッチド・マインドフルネスとマインドフルネス認知療法との違いは、

  • マインドフルネス認知療法には法則性(無常・苦・無我)に気付くこと、深く理解する事(智慧)を目的にしていたが、ディタッチド・マインドフルネスにはそれがない
  • 視点の場所が違う(マインドフルネス認知療法は視点が自分の中心にあり、私的環境、公的環境を問わず注意が外に向かっていくが、ディタッチド・マインドフルネスは視点が自分の中と外の境界線にある)

となります。更に詳しくは下記参照。



3. アクセプタンス・体験の回避(回避行動)

アクセプタンスとは、思考の傍観のことを言います。
不快な私的出来事(思考・感情・身体感覚・記憶など)に気づき、そのままにしておくって感じですね。
そして、アクセプタンスの逆の状態が体験の回避(回避行動)です。
体験の回避(回避行動)とは、思考や感情を抑制しようとする行動のことを言います。
体験の回避(回避行動)をしても、シロクマのリバウンド効果が発動、反って、ネガティブな私的出来事を強く感じてしまうんですよね。
更に詳しくは下記参照。



4. 認知的フュージョン・脱フュージョン

認知的フュージョンとは、思考と現実や自己を混合する行動のことを言います。
自分の考えと現実がごちゃごちゃになり、区別がつかなくなるって感じですね。現実よりも自分の考えが極端になってしまうこともあったりします。
この認知的フュージョンの逆が脱フュージョンです。
脱フュージョンとは、思考と現実や自己は別の出来事であると観察できることを言います。
自分の考え、現実、自分自身は別であると区別がついているって感じですね。

ということでバーッと見てきましたがやはりこのままだと分かりづらい部分があるかと思います。
では次に私なりに分かりやすくした例をご紹介します。



クマに出会った時の対処法に当てはめると分かりやすい…!

ということで、私なりに分かりやすく違いを例えた方法は、クマに出会った時の対処法に当てはめる…!と言うもの。これが意外と分かりやすいんですよ…!
まずここで言う「クマ」とは、後悔、不安、緊張、トラウマ、バイアス、嫉妬、自己注目などなどの様々な私的環境、公的環境を問わない、不快な私的出来事(思考・感情・身体感覚・記憶など)、六根(五感+自動思考)の総称とお考えください。
要は、様々なネガティブを「クマ」に例えたってことですね。
次にこれを踏まえて、

  • ある~日♪ 森のなか♪ クマさんに(ネガティブに)♪ 出会った♪

ということで、ある日突然ネガティブに遭うところを想像します。
そして、その後どういう対処法を取ったか、一つずつ当てはめて考えていきます。


1. 「マインドフルネス」の場合

マインドフルネスはクマに会っても目を逸らさず、じーっと見つめ続けるイメージです。いわゆる、クマと出会った時の正しい対処法がマインドフルネスだとお考えください。
イメージ画像はこんな感じ。


この状態を続けると、いつかクマの方から目を逸らし去って行きます。つまりネガティブが自然と通り過ぎて行くって感じですね。


2. 「DM(ディタッチド・マインドフルネス)」の場合

DM(ディタッチド・マインドフルネス)はクマに会っても目を逸らさないように注意しつつ、少しずつ、後ろに下がって距離を置くってイメージです。つまり、DM(ディタッチド・マインドフルネス)もクマと出会った時の正しい対処法だと考えることができます。
イメージ画像はこんな感じ。


この状態を続けると、クマから徐々に距離を取れます。つまりネガティブを客観視する、メタ認知が出来るってことですね。


3. 「アクセプタンス・体験の回避(回避行動)」の場合

アクセプタンスはクマに会って、ごちゃごちゃとどうしようと考えるけど、それをそのままにしておくってイメージですね。アレコレ考える前に目の前のクマに集中しないといけない感じとでも申しますか…。
イメージ画像はこんな感じ。


体験の回避(回避行動)はクマに会って後ろを向いて走って逃げようとするイメージですね。いわゆる、クマと出会った時の間違った対処法が体験の回避(回避行動)だとお考えください。
イメージ画像はこんな感じ。


この状態だとクマは後ろから時速40~60kmで襲ってくるんで勝てるわけなし。つまりネガティブがガーッと襲ってきてやられちゃいます。


4. 「認知的フュージョン・脱フュージョン」の場合

認知的フュージョンはクマに会ってもいないのに実際に会ったように想像して、パニクっているイメージです。
イメージ画像はこんな感じ。


脱フュージョンはクマに会っていなくて、ただ想像しているだけだと分かっているイメージです。
イメージ画像はこんな感じ。


どうですかね~。
クマに出会った時の対処法に当てはめると分かりやすくありませんかね…?



個人的考察

それぞれの違いについて分からなくなった際は、是非、クマに出会った時の対処法で思い出してみてください…!