毎月恒例の月1社内研修が令和4年7月14日にありましたので、内容を備忘録としてブログに残しておきます。過去の社内研修内容を確認したい場合は下記からご覧ください。


今回の研修では、
下記からは当時の社内研修の文章をそのまま使っている為、文章が言い切りの形となっております。ご了承ください。
では行きますね~。



1. アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)とは

アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)とは、思考や感情を抑制しようとする行動(体験の回避)や思考と現実や自己を混合する行動(認知的フュージョン)を減らし、向社会的行動の動機づけを高めて(価値の明確化)、実際にそれを生起させていく(コミットメント)臨床行動分析に基づく介入法のことを言う。つまり、頭でっかちな自分は置いておいて、目の前の現実に注意を向けよう、そして、やりたいこと、やるべきことを今から始めようという治療法のことである。
ACTのコアプロセス図(=ACTの六角形:下図)は、望ましい行動パターンを表している。


更に補足を書いておくと、

  • 「体験の回避」の逆が「アクセプタンス
  • 「認知的フュージョン」の逆が「脱フュージョン
  • 「価値づけられた方向性を定義すること」=「価値の明確化」
  • 「コミットメントされた行為」=「価値にコミットされた行為」
  • 「「今、この瞬間」に存在すること」=「プロセスとしての自己」
  • 「文脈としての自己」=「観察する自分・文脈全体を感じ取ること」=「注意の分割
  • 「「今、この瞬間」に存在すること」と「文脈としての自己」はマインドフルネスに近い行動

となる。
これら6つの行動パターンを増やしていくことをACTの目標にしている。そのため、今上記6つがどれぐらいできるかアセスメントし、足りない物を増やしていく。



2. ACTの特徴

ACTは機能分析をしなくても使える。そのため、ACTで対応できなくなったときに機能分析を使っていくのが効果的である。
そして、ACTのポイントは外顕的行動(外から見える行動のこと)を変えることにある。内潜的行動(言語行動のこと=外から見えない行動のこと)を変えることではない。つまり、ACTは行動療法のため、行動活性化療法に重なる部分が重要であるということである。ACTに外顕的行動と内潜的行動が併記されている理由は、言葉に表裏一体に含まれる機能であるフォースとダークサイドの双方に注目しているからである。フォースとは、価値を明確化しコミットメントを進める面のことであり、ダークサイドとは、行動変容を邪魔する認知面のことを言う。
ダークサイドへの対策を考える際、言語行動の象徴性と生成性は非常に強力なため、認知再構成は困難を極める(≒思考のクセ、考え方を変えるのは難しい)。そこで、文脈(=言葉全体が機能する前提)に働きかけ、象徴性や生成性を弱め、ダークサイドを減らそうとする(=そもそも言葉って何だっけ…?ってところまで遡って介入する)のがアクセプタンス脱フュージョンのような介入法である。
体験の回避は結果的にネガティブな私的出来事を強く感じさせる機能がある(いわゆるシロクマのリバウンド効果が働いてしまう)。例としては、不安や緊張があるときに「大丈夫…!、落ち着け…!、リラックスだ…!」と考えてしまうと、もっと不安や緊張が大きくなる、お化け屋敷で「怖くない…!」と思うと怖くなる(逆にマインドフルになると怖くなくなる)。
言葉の象徴性(フォース)を利用して、人生の方向性(文脈≒環境のこと)を選択し、行動活性化を図る(=言葉で上手く表現できれば自分にとって影響力を持つものになる)のが、価値の明確化とコミットメントによる介入法である。文脈の選択(例:卒後、就職するのか、進学するのかなど)は機能分析できない。しかし、文脈を選んだ後に機能分析ができる。



3. 実際に行動する大切さ

外顕的行動は現実と接点がないとできない。故に行動すれば現実が少し変わる。少し変わればその変わった中で次の行動をとればまた変わる。すると新しい可能性が開けてくる。それに比べ、内潜的行動は本人の中で完結している為、現実は何も変わらない。つまり、頭でっかちで考えていても現実は何も変わらないが外顕的行動を起こせば必ず現実はちょっとだけでも変わるということである。



4. 「今、この瞬間」に存在すること」と「文脈としての自己」の補足

「「今、この瞬間」に存在すること」と「文脈としての自己」はマインドフルネス瞑想に関係している。マインドフルネス瞑想は前段(サマタ瞑想=フォーカストアテンション)と後段(ヴィパッサナー瞑想=オープンモニタリング)からなる。



5. アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)のまとめ

アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)のまとめ図(下図)




個人的考察

以上、「アクセプタンス&コミットメント・セラピー」でした…!
1年程かけて行ってきた「認知行動療法を一から学ぼう!」シリーズも今回で最後となりました。ありがとうございました。
是非、自分や支援で実践し、結果を実践報告書にまとめてみてください。



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もし、自分の事業所で使いたい…!って方はご活用ください。


参考文献