以前に運動は週何回すべきか?って話を書きました。
そして今回は、1日の筋トレではどれぐらい追い込むのが良いのかを考えてみたいと思います。



オールアウトってなに…?

良く筋トレ界隈ではオールアウトを意識しよう…!という話が出てきます。オールアウトとは、筋トレ時、限界まで追い込むことを言いまして、実は冒頭の内容はオールアウトについて考えてみようということでした。
例えば、有酸素運動なんかは当ブログで何度も登場している通り、中途半端にダラダラやるとデメリットが出てきて、逆に短時間で限界まで追い込むHIITなんかはメリットが非常に多くなっております。
では、筋トレの場合も同じく限界まで追い込んだ方が良いのか早速見ていきましょう…!



右足と左足で筋トレ方法を変えて調べてみた…!

1995年のセント・メアリー病院の研究によると、筋トレは限界まで追い込むべきか否かについて調べてみたそうです。
この研究は、7人が参加したそうで、週3回、14週間筋トレを行ってもらったとのこと。その際の筋トレ方法が面白くて、左右の足で方法を変えたんですよね。具体的にどのような感じだったかと言いますと、

  • 右足(追い込まず筋トレ):1レップ3秒間、レップ間の休憩は2秒、セット間の休憩は2分間として、10レップ4セットを行った
  • 左足(追い込む筋トレ):1レップ30秒間を4レップ行った。間の休憩は1分間

のようにして違いを比べたみたい。
結果、

  • 右足の筋力アップは31.5%だったのに対し、左足の筋力アップは54.7%だった…!
  • 左足のみ筋肉量がアップしていた…!

とのこと。
つまり筋トレはしっかり追い込むオールアウトの方が良い…!って感じだったみたいですね。



オールアウトの方がホルモン分泌、筋力、筋持久力、筋肉量がアップする…!

2005年の筑波大学の研究によると、オールアウトか否かによってホルモン分泌や筋肉量、体脂肪、筋力、筋持久力に違いが出るのか調べてみたそうです。
今回実験に参加したのは、26名の筑波大学の大学生&大学院生の方々で、全員筋トレ経験があるものの、普段は運動をする習慣がない人を選んだそうな。因みに参加した方々は全員健康な男性で平均年齢が22.7歳、平均身長は172cmで体重は65.9kgだったとのこと。標準体型って感じですね。
んで、この26名の方々を以下の3グループにランダムに振り分けたそうです。

  1. オールアウトグループ:9名。1セット内に休憩がない筋トレメニュー。具体的には10RMで、10レップを3〜5セット行う。セット間の休息時間は1分。
  2. 1セット内に休憩ありグループ:9名。1セット内に休憩がある筋トレメニュー。具体的には10RMで、5レップ→30秒休憩→5レップを3〜5セットを行う。セット間の休息時間は1分。
  3. コントロールグループ:8名。対照群(普通に過ごす)

オールアウトグループと1セット内に休憩ありグループの筋トレメニューは全く同じにしたそうで種目は、

の3つだったとのこと。
これを12週間行いつつ、筋トレ直後や長期的な効果を調べたそうな。
結果、

  • オールアウトグループの方が1セット内に休憩ありグループよりも、乳酸、成長ホルモン、アドレナリン、ノルアドレナリンが分泌された…!
  • オールアウトグループ、1セット内に休憩ありグループのテストステロンに有意差はなかった…!
  • オールアウトグループの方が1セット内に休憩ありグループよりも、1RM、最大等尺性収縮(膝を曲げたり伸ばしたりせずそのまま固定するマックスパワーのこと)、膝の曲げ伸ばしの筋持久力が大幅にアップした…!
  • オールアウトグループの方が1セット内に休憩ありグループ、コントロールグループよりも、筋肉量が大幅にアップした…!

とのこと。
つまり、オールアウトの圧勝…!ってことですね。
ホルモン分泌から筋力、筋持久力、筋肉量まで違いが出るのは大きいですなー。



オールアウトとそうでない場合を比べたけど、ほとんど差がなかった…!

2006年のスペインスポーツ医学センターの研究によると、11週間筋トレを行ってもらい、オールアウトとそうでない場合の効果の違いについて調べてみたそうです。
今回の研究は、普段から体を動かしている42人の男性が参加したそうで、以下の3グループにランダムに振り分けたそうな。

  1. オールアウトグループ:限界まで筋トレをする(14人)
  2. 普通に筋トレグループ:限界前で筋トレをやめる(15人)
  3. コントロールグループ:何もしない(13人)

また、筋肉量や筋力のチェックは、

  1. トレーニング開始前
  2. トレーニングの6週間後
  3. トレーニングの11週間後
  4. トレーニングの16週間後

に行ったらしい。
続いて筋トレメニューです。
筋トレは週2回、16週間行ったそうでメニューの違いは、

  1. オールアウトグループ:ベンチプレス10RMのパワーで10レップ3セット、パラレルスクワット(腰を膝の位置まで下げるスクワット)は10RMの80%のパワーで10レップ3セット行った
  2. 普通に筋トレグループ:ベンチプレス・パラレルスクワットともに10RMのパワーで5レップ6セット行った

って感じだったそうです。
では結果を見てみましょう…!
まずはオールアウトグループから。

  • ベンチプレスの1RMが23%アップした…!
  • パラレルスクワットの1RMが22%した…!
  • 腕の筋力が27%アップした…!
  • 脚の伸ばす筋力が26%アップした…!
  • パラレルスクワットの最大反復回数が66%アップした…!
  • 筋トレの11~16週間後には、ベンチプレスの最大反復回数がより大きくアップした…!

次に普通に筋トレグループです。

  • ベンチプレスの1RMが23%アップした…!
  • パラレルスクワットの1RMが23%した…!
  • 腕の筋力が28%アップした…!
  • 脚の伸ばす筋力が29%アップした…!
  • パラレルスクワットの最大反復回数が69%アップした…!
  • 筋トレの11~16週間後には、下肢の筋力がより大きくアップした…!

…。
う~ん。
微妙な違いこそあれど、ほとんど差がないって感じですねー。
これを見ると、別にオールアウトにこだわらなくても普通に筋トレしてればよさそうに思っちゃいますねー。



オールアウトをしようがしまいが変わらない…!大事なのはボリューム…!

2008年のイリノイ大学の研究によると、オールアウトとそうでない場合では、効果に違いが出るのか調べてみたそうです。この研究は男性を対象にしたとのことで、同じ強度と量になるよう調整しつつ、足の筋トレを行ってもらったそうな。
筋トレは週1日を6週間にわたって行ったそうで、メニューは以下の通り。

  1. オールアウトグループ:スクワット、レッグカール、レッグエクステンションをそれぞれ限界まで繰り返した(13〜15回)。これを3セットずつ行った。
  2. 限界前でやめたグループ:スクワット、レッグカール、レッグエクステンションを限界に行く前でやめてもらった(10〜12回)。これを4セットずつ行った。

また、参加者全員には、スクワットレッグカールレッグエクステンションの始める前と後で筋持久力をテストしたとのこと。合わせて、血中乳酸濃度は開始前、5分後、10分後にチェック、心拍数は開始前、各エクササイズの最終セット後、筋トレ終了後10分間でチェックしたそうな。
結果、

  • 両グループとも筋トレ後、筋持久力が大幅にアップしていた…!
  • グループ間に有意差はなかった…!

とのこと。
この結果に研究者曰く、

  • 強度と量が同じであれば、オールアウトをしようがしまいが、足の筋持久力は同じようにアップする。そのため、短時間のトレーニングサイクルで評価した場合は、オールアウトを意識するよりも、ボリューム(筋トレの総量)が大事な可能性がある

そうです。



個人的考察

ということで、オールアウトが特に優れているとは言えず…。こうなると、筋トレの各メニューやセット、筋肉の部位を限界まで追い込まなくても良さそうですね。
また以前にご紹介した通り、1週間でみた場合もボリュームが大事…!って結論だったんで、筋肉については、オールアウトよりもボリュームを意識した方が良いんじゃないでしょうかね…?
まぁ、健康維持の運動として筋トレする場合は、毎日続けた方が良さそうな研究もありますので、筋肉成長に限った話にはなりそうなんですがね…。

参考文献