昨日の続きです。
引き続き、不安や緊張のメリットについて見ていきます。



不安は無駄なリスクをとらないため起こる…!つまり良い決断(意思決定)を下すのに役立つ…!

2009年のゲーテ大学の研究によると、不安と意思決定の関係について調べてみたそうです。
今回の実験は大人と子どもを対象に調べておりまして、まず大人のサンプルはこんな感じ。

  • 23~80歳の成人30人(男性9人、女性21人、平均年齢48歳)が参加した。普段から不安や心配が多い方たちだが、うつ病などは持っていない。実験後、女性1名のデータは除いた。
  • 上記とは別で普段、不安や心配のない成人7人も参加した。

続いて子どものサンプルはこんな感じ。

  • 7~14歳の子ども67人(男性34人、女性33人、平均年齢10.43歳)が参加した。普段、不安や心配のない子ども達だった。
  • 子ども達は以下の2グループに分けられ2つのバージョンのギャンブルタスクを異なる順序で行った。
  • オリジナル版を最初に行うグループ:34人(男性16人、女性18人、平均年齢10.35歳)
  • もう一方のグループ:33人(男性16人、女性17人、平均年齢10.52歳)

んで、参加者にはアイオワギャンブリング課題ってのをやってもらったんですよね。
アイオワギャンブリング課題は、カードを一枚ずつ引いてそこに書いている賞金をもらうor罰金を払うというシンプルなゲームなんですが、カードを引く山札(デッキ)が4つ用意されているんですよね。
そのデッキの内訳が、

  1. ハイリスクハイリターンの山札A(もらえる賞金は多いが払う罰金も多い)
  2. ハイリスクハイリターンの山札B(もらえる賞金は多いが払う罰金も多い)
  3. ローリスクローリターンの山札A(もらえる賞金は少ないが払う罰金も少ない)
  4. ローリスクローリターンの山札B(もらえる賞金は少ないが払う罰金も少ない)

って感じなんです。
因みにハイリスクハイリターンの山札は、ローリスクローリターンの山札よりも罰金を支払うカードが多く入っている為、こればっか引いていると、最後は負け確定となっております。
ゲーム終了後の手持ちのお金を如何に多くできるかを競うゲームでして、この実験では大人にはゲーム終了後、交通費+ギャンブルで勝ったお金を(5~20ユーロの範囲内で)実際に渡したそうな。子どもには、ギャンブルゲームで獲得したポイントの量に応じて、小さなおもちゃが入った3つの箱の中から好きな物を選べるようにしたらしい。
このギャンブルを行った結果は、

  • 不安・心配な大人・子供は、ゲームで良いパフォーマンスを発揮していた…!
  • 4つの山札の相対的なメリット・デメリットをしっかり踏まえてカードを引いていた…!

とのこと。
つまり、

  • 適度な不安・心配は、状況をより客観的に見られるようにしてくれていた…!
  • 良いことだけに注目するのではなく、可能性としてあり得る全てのメリットとデメリットを比較衡量するのに役立っていた…!
  • 以前に強化された行動(例えばハイリスクハイリターンの山札からカードを引いて賞金をゲットしたなど)から、別の行動に上手く切り替えることが出来るなど、状況の変化にも柔軟に対応していた…!
  • その結果、無駄なリスクをとらないようになり、良い決断(意思決定)を下せるようになっていた…!

ってことですね。
そのため、不安・心配がある人は総じてゲームの結果が良かったみたいです。



個人的考察

2002年の研究と合わせて考えてみると、不安のおかげで事前に努力し、準備・対策が徹底され、本番には無駄なリスク回避&上手い意思決定をするんで、最終的には良い結果を得られるご様子。是非、長所として活かしていきたいですねー。



参考文献