アンブレラレビューを見てみよう!」シリーズその39です。
今回は、神経変性疾患(アルツハイマー病や認知症、パーキンソン病など)の予防に効く食事は何か…?ってのを調べた研究を見てみます。



食事と神経変性疾患の関係についてアンブレラレビューを行ってみた…!

2020年のハインリッヒ・ハイネ大学の研究によると、食事と神経変性疾患の関係についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
神経変性疾患ってのは、脳や脊髄の神経細胞が減っちゃう病気でして、アルツハイマー病や認知症、パーキンソン病などが該当します。
そして現代はこの神経変性疾患を患う可能性が高くなっているとのこと。例えば、2018年の世界の疾病負担研究(GBD)によると、2016年に世界で4,380万人の成人が認知症になっていると推定されるそうな。
また2006年のエモリー大学の研究では、認知機能の低下や軽度認知障害(MCI)はアルツハイマー病や認知症の発症前の兆候である可能性があると出ており、実際、2017年の米国神経学会(AAN)の研究で認知障害のある65歳以上の方を2年間追跡調査したら、認知症の発症リスクが14.9%だったとのこと。
更に2018年のカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究によると、パーキンソン病の有病率が成人で約0.3%、60歳以上で1%と推定されているんだとか。
そんな現代病の一つである神経変性疾患なんですが、食事である程度防げるかも…?って話があるんですよね。そこで今回初めて、様々な食事と神経変性疾患の関係をアンブレラレビューしてみることにしたみたい。
まず研究者たちは、2019年11月6日までに発表された該当研究をPubMed、Embase、コクランで検索してみたそうな。すると7,926件の研究がヒットしたとのこと。次に重複している物を除きつつ、除外基準に従って質の低い研究も除いていったらしい。
最終的に選ばれたメタ分析は20件で、チェックされていた神経変性疾患は、

  • 認知機能低下:5件
  • 認知障害・軽度認知障害(MCI):3件
  • アルツハイマー病:10件
  • 認知症:11件
  • パーキンソン病:6件

って感じだったそうな。
では気になる結果を見てみましょう。

  • 全ての研究でバイアスリスクが高かった。
  • 地中海式ダイエットの忠実度が高い程、軽度認知障害の発症率が低かった(但しエビデンスレベルは低い)
  • 果物緑茶、お茶の摂取と認知機能低下の発生率には逆相関関係があった(但しエビデンスレベルは低い)
  • 地中海式ダイエットの忠実度が高い程、アルツハイマー病の発症率が37%低かった(エビデンスレベルは中)
  • の摂取量が多い程、アルツハイマー病の発症率が28%低かった(エビデンスレベルは中)
  • 飽和脂肪酸の摂取量が多い程、アルツハイマー病の発症率が高かった(但しエビデンスレベルは低い)
  • お茶の摂取量が多い程、認知症の発症率が26%低かった(エビデンスレベルは中)
  • お茶の摂取量が多い程、パーキンソン病の発症率が35%低かった(エビデンスレベルは中)
  • また、お茶を1日2杯飲むと、パーキンソン病の発症率が31%低かった(エビデンスレベルは中)
  • その他はエビデンスレベルが低い、非常に低いものでよく分からなかった。

エビデンスレベルが高い物がなかったのは残念ですね。
但し、神経変性疾患の予防に良さげなものとして、地中海式ダイエット・魚・お茶が挙げられるみたい。