位置情報ゲーの研究を見ていく記事、その1その2その3その4の続きです。
今回は、ポケモンGOと運動頻度の関係について、4つの疑問を調べた研究をご紹介します…!


ポケモンGOで運動頻度は増えるのか…?効果はどんな人にもあるのか…?他の健康アプリよりも優れているのか…?社会への影響力は…?って疑問を調べてみた…!

2016年のスタンフォード大学の研究によると、ポケモンGOで運動頻度が増えるのか調べてみたそうです。
そもそも運動はスリムな体型をキープするのに役立ったり、慢性疾患リスクを減らしたりなどメリットが多いことは周知の事実。そして世界中の多くの国々が年齢を問わず運動することを推奨しています。
ではどれぐらい運動したらいいのかですが、例えば、アメリカ合衆国保健福祉省(HHS)がアメリカ人向けに作った2008年の運動ガイドライン2010年のWHOの身体活動ガイドラインなんかを見てみると、成人の場合は最低週150分は運動すべし…!となっているんですよね。んがしかし、実際その通り運動している人は少なかったりします。そこで研究者はこの問題にポケモンGOが使えるのか調べてみたらしい。
具体的には以下の4項目をチェックしたそうな。

  1. ポケモンGOで運動頻度は増えるのか…?増えるならどれぐらい増えるのか…?どれぐらい効果が続くのか…?
  2. ポケモンGOの効果はどんな人にもあるのか…?例えば、元々の活動レベルや年齢、性別、体重なんかは影響するのか…?
  3. 運動頻度を変化させる健康アプリは他にもあるが、ポケモンGOとどっちが効果的なのか…?
  4. ポケモンGOがアメリカの運動頻度にどのような影響を与えたか…?潜在的な人々への影響力を持つ可能性はあるのか…?

気になる視点をチェックしてくれていて良い感じじゃないでしょうか。
次に研究の流れを確認します。
まず研究者たちは以下の参加者を集めたそうです。

  1. Microsoft Bandっていうウェアラブルデバイスを使うアメリカ人31,793名。そのうちの1,420名がポケモンGOをプレイしていた。
  2. ランダムに選ばれたMicrosoft Bandを使うアメリカ人50,000名。

続いて1,420名のポケモンGOプレイヤーをどのように選んだかですが、ここがちょっと弱い感じなんですよね。というのも実際にポケモンGOをプレイしていたかを見たわけではなく、推測したものなんですよ。詳しく見てみますと、

  1. 2016年7月6日(アメリカのポケモンGOリリース日)~2016年8月23日までの間にMicrosoft Bing(検索エンジン)で「ポケモン」というワードを検索した人をピックアップ
  2. その人たちは、単にポケモンGOを検索しただけでなく、ポケモンGOを実際にプレイしている可能性が非常に高いだろうと推測した

って感じ。
確かにリリース当初に検索している人はポケモンGOに興味がある人だし、ちょっとやってみようかな…って人も多いけど、ここは実際にやっている人かどうかちゃんとチェックしてほしかったな~ってのが正直なところですね…。

因みに今回選ばれた参加者はMicrosoft BandをポケモンGOリリース前から使っておりまして、中央値は433日というかなりの期間、毎日の歩数が計測されていた人たちなんですよ。んで、ポケモンGOリリース前後の歩数の違いをチェックしてみたって感じとなっております。
また他の健康アプリとの比較についてですが、4種類のアプリが選ばれたそうで、そのアプリはiOSとAndroidの両方に対応しており、人気上位にランクインされていたものだったらしい(各アプリの名前は不明)
これらの参加者のデバイスから3ヶ月間にわたってデータ収集し、最後に統計処理したそうです。
気になる結果ですが以下のようになっておりました。

  • ポケモンGOを始めて30日間は歩数が大幅に増えていた…!
  • 特にハマっていたポケモンGOプレイヤー(検索しまくっていた人)は平均で1日1,473歩も増えていた…!
  • つまりポケモンGOプレイの前後で運動頻度が25%以上も増えていた…!

ポケモンGOで確かに歩数は増えていたみたいですね~。
更に詳しく見てみると、

  • ポケモンGOで歩数が増えたプレイヤーは元々の歩数が少ない傾向にあった…!
  • 具体的にはアメリカの平均的なMicrosoft Bandユーザーの歩数が1日平均6,435歩だったのに対して、5,756歩しか歩いていなかった…!
  • しかし、ポケモンGOをプレイしてからは1日平均7,229歩(1,473歩アップ)になっていた…!
  • これはポケモンGOをプレイしていない人たちよりも約13%多かったことを意味している…!

って感じ。
普段から歩いていない人程、ポケモンGOで歩くようになったみたいです。
しかしここからが悲しい話でして、効果はあんま続かなかったんですよね…。というのも、

  • 大体3~4週間も経つと歩数が減っていっていた…。
  • ポケモンGOで増えた歩数が多い人ほど歩数の減りも大きかった…。

ってな状況だったんです。
う~ん…。短期的には効果があったけど長期的にはなさそうな感じだったんですね…。運動するきっかけとしては良さそうだけど、続くかはまた別って感じですな。
次に人によって効果に違いがあったのか…?ですが、これは、

  • 元々の活動レベルや年齢、性別、体重に関係なく歩数が増えていたよ…!

ってことなんで、誰でも上記の効果は得られそうです。但し最も効果が出たのは10~30歳の若い方だったそうです。
更に他の健康アプリとの違いについても結果が出ていましたが、これは、

  • ポケモンGOは他の健康アプリよりも運動頻度の大幅な増加に関係していた…!

みたいです。健康アプリと同等以上の効果がポケモンGOにはあったんですね。
また健康アプリの使用者はすでに運動をかなりしている人が主な利用者だったのに対し、ポケモンGOは普段運動していなかった人が運動するようになったみたいです。ここは、だから上記の結果になったとも言えますし、一番健康アプリを使うべき人たちに刺さるアプリだったとも言えますね。面白い。
最後にポケモンGOがもたらすアメリカ社会への運動頻度の影響力についてですが、研究者によれば、

  • 短期間でポケモンGOによりアメリカの歩数量は合計で1,440億歩も増えたと推定される

ってことなんで、結構影響はありそうな感じだったみたいです。



個人的考察

研究者はこの結果を踏まえて、ポケモンGOの課題を以下のようにおっしゃっておりました。

  • 確かにポケモンGOで短期的に歩数が増えるけど、長期的にこの歩数が持続することが最も重要だよね~。
  • ポケモンGOのプレイヤーは男性の方が女性よりも多いから、万人受けするゲームではないかもね~。
  • ポケモンGOは、既存の健康アプリに取って代わるものではなく、あくまで補助的に使うのが良さそうだよね~。

確かに、やっぱメインはゲームなんで、この辺の問題は出ますわな。
個人的には、ポケモンGOは運動するきっかけとして使う…!って感じにし、そこからは習慣化のテクニックなんかを使ってスムーズな移行を行えると良いのかな~と思いました。



参考文献