ADHDの環境要因:感染症・死別・虐待・貧困・家庭環境・親・地域支援

55. 台湾の国民健康保険データベース(NHIRD)を使い14,000人以上のエンテロウイルス71型の感染者とそうでない人を比較した結果、エンテロウイルス71型の感染者はその後ADHDと診断されるケースが25%高かった。
56. デンマークのコホート研究では、妊娠中に近親者を亡くした女性から生まれた29,000人以上の子どもと100万人の子どもを比較した。結果、妊娠中に近親者を亡くした女性から生まれた男の子はADHDリスクが2倍高かった。
57. アメリカの前向きコホート研究では、青少年14,000人以上を対象に調べた結果、ADHDの不注意型と性的虐待やネグレクトに遭っていたことは関係があった
58. 韓国で行われた18,000人以上の子供を対象にした研究によると、世帯収入が低いとADHD発症率が高まっていた。またスウェーデンで行われた80万人以上を対象にした研究では、家族要因・遺伝要因の変数を調整しても同様の結果が出ていた。
59. デンマークで行われた100万人を対象にした前向きコホート研究によると、逆境度合い、家庭外養育(里親や児童養護施設などで養育すること)、社会的地位の低さ、父親の犯罪歴、母親の精神疾患歴、深刻な夫婦間の不和はADHDの予測因子だった。
60. デンマークで行われた63万人以上の若者を対象にした研究によると、親の学歴の低さ、親の失業、親の貧困と、子どものADHD発症リスクの高さには用量反応関係があった。また社会的に不利な状況が複数重なるとリスクは累積的に高まった(例:親が貧困で学歴が低く失業状態だと子どものADHD発症リスクが約5%高まった)
61. スウェーデンで行われた54万人以上を対象にした研究によると、家族における逆境度合いとADHDの間には用量反応関係があった。家族内での死亡により、その後のADHD発症リスクが60%増えていた親が重度の薬物依存症、親の犯罪歴、親の精神疾患歴、居住環境の不安定さ、世帯の公的扶助は、いずれもADHD発症リスクを2倍以上高めていた
62. ADHDを持つアメリカ人の若者4,122人を対象にした研究によると、家族の結束力と地域社会の支援が強まると、中度から重度のADHDリスクが低下していた。



個人的考察

長くなったので今回はここまで。



参考文献

最後にまとめてご紹介します。