以前から書いている通り、睡眠はかなり難しく、また、個人差が結構ある分野です。特に睡眠時間に関しては「よくある睡眠の誤解」でご紹介したり、「8時間睡眠のウソ」にも載っていますが、自分に合った時間を見つけるのが、ものすごい難しいみたいなんですよね…。
とはいえ、目安が全くないってのも困りますんで、今回は、このガイドラインを見て睡眠時間を決めておくと良いよ…!って研究をご紹介しておきます。



平均睡眠時間にはかなり個人差があるが1日7〜8時間寝ると良さそう…!

2007年のペンシルベニア大学レビュー論文によると、慢性的な睡眠不足による健康への影響について先行研究をまとめてみたそうです。
そもそも大前提として睡眠不足はヤバい…!ってのは分かっているものの、ベストな睡眠時間ってのはよく分からんかったりします。
というのも、

  • 成人の平均睡眠時間は、個人でかなりばらつきがある…!

って感じなんですよ。
例えば、2002年のカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究では、1982年にアメリカがん協会が行った大規模なアンケート調査から平均睡眠時間を出しております。
この研究はアメリカ人男女1,116,000名ものデータを用いておりまして、その結果、

  • 参加者の4.0%の方が1日平均5.5時間未満の睡眠だった…!
  • 参加者の19.7%の方が1日平均6.5時間未満の睡眠だった…!
  • 参加者の52.4%の方が1日平均7.5時間未満の睡眠だった…!
  • 参加者の9.2%の方が1日平均8.5時間以上の睡眠だった…!
  • 参加者の3.3%の方が1日平均9.5時間以上の睡眠だった…!

とのこと。
大体の方は1日平均7時間前後寝ているみたいですな。因みにこの研究によれば男女の違いは非常に小さかったそうなんで、性別の違いはあんま関係ないみたい。
もう一つチェックしておきたいのが2005年にギャラップ社(アメリカの調査会社)が行った世論調査です。
この調査では18歳以上の成人男女約1,500名を対象に毎日の平均睡眠時間を答えてもらったもので、こちらも早速結果を見てみると、

  • 平日における1日の平均睡眠時間は6.8時間だった…!
  • 休日における1日の平均睡眠時間は7.4時間だった…!

とのこと。やはり7時間前後寝ているみたいですな。
但し、報告された睡眠時間にはかなりばらつきがあったようで、

  • 参加者の16%の方は平日における1日の平均睡眠時間が6時間未満だった…!
  • 参加者の10%の方は休日における1日の平均睡眠時間が6時間未満だった…!

らしい。まぁ、確かに細かく分けて行けばこんな感じになりますよねー。
それと1998年の世論調査と2005年の世論調査を比べてみると、睡眠時間が減っているみたいなんですが、これが慢性的な睡眠不足に当たるのか、睡眠負債が溜まってヤバいと呼べるレベルなのかは謎とのこと。ほんと適切な睡眠時間って分からんことだらけですね~。

但し、睡眠時間が短い場合、慢性的な睡眠不足になると様々なバッドステータスがあるのは間違いなさそうな感じ。
この辺もレビューには詳しく書いていたんですが、当ブログでは、


ですでにご紹介した内容ばっかなんで省略いたします。詳しくは上記をご覧くださいませ。
ということで、いろんなバッドステータスがあるよ~って話を見てきた最後に研究者はこのような言葉で締めくくっておりました。

  • したがって、睡眠不足が神経行動学的・生理学的機能に及ぼす影響に関する現在の研究結果は、十分な睡眠時間をとる(1日7〜8時間寝る)のが重要であることを示している。

このレビュー論文の研究者は、ベストな睡眠時間を1日7〜8時間としたみたいですな。



アメリカのプロフェッショナルが集まって、おすすめ睡眠時間をまとめた…!

2015年のアメリカ国立睡眠財団の研究によると、アメリア国立睡眠財団が定めているおすすめの睡眠時間を更新しよう…!となったそうです。
この研究は、

  1. アメリカ小児科学会
  2. アメリカ解剖学会
  3. アメリカ胸部疾患学会
  4. アメリカ産科婦人科学会
  5. アメリカ老年医学会(AGS)
  6. アメリカ神経学会
  7. アメリカ生理学会
  8. アメリカ精神医学会
  9. アメリカ胸部学会
  10. アメリカ老年医学会(GSA)
  11. 人体解剖生理学会
  12. 人間開発研究会

という12の学会や団体から代表者18名を招集し、各専門家により推奨される睡眠時間を割り出したそうな。つまり、様々な分野のプロフェッショナルを招集して、年齢別の十分な睡眠時間を出した…!ってことですね。
睡眠時間の指標としてかなり使えそうな感じ…!では早速結果を見ていきましょう…!

  • 年齢おすすめ睡眠時間:多分適切な睡眠時間:推奨されない睡眠時間
  • 新生児(0~3ヶ月):14~17時間:11~13時間又は18~19時間:11時間未満又は19時間以上
  • 乳幼児(4〜11ヶ月):12~15時間:10〜11時間又は16〜18時間:10時間未満又は18時間より多い
  • 幼児(1〜2歳):11~14時間:9~10時間又は15~16時間:9時間未満又は16時間より多い
  • 未就学児(3~5歳):10~13時間:8~9時間又は14時間:8時間未満又は14時間より多い
  • 学齢期(6〜13歳):9~11時間:7~8時間又は12時間:7時間未満又は12時間より多い
  • 10代の若者(14~17歳):8~10時間:7~11時間:7時間未満又は11時間より多い
  • 成人の若者(18〜25歳):7~9時間:6時間又は10~11時間:6時間未満又は11時間より多い
  • 成人(26〜64歳):7~9時間:6時間又は10時間:6時間未満又は10時間より多い
  • 高齢者(65歳以上):7~8時間:5~6時間又は9時間:5時間未満又は9時間より多い

そして、今回の研究者たちからのポイントとしては、

  • おすすめな睡眠時間は年齢によって異なる
  • 上記のおすすめ睡眠時間等は健康な人と睡眠障害ではない人の為のガイドラインである
  • おすすめ睡眠時間や多分適切な睡眠時間以外でもOKな場合があるが、その時間内から大きく外れることはまれである
  • おすすめ睡眠時間や多分適切な睡眠時間の時間外で眠っている方、つまり、慢性的な睡眠不足や慢性的な睡眠過多の人は、深刻な健康問題のサインか症状が現に起きている可能性がある
  • 自分から慢性的な睡眠不足や睡眠過多を行うと健康や幸福を損なう可能性がある

とのこと。
つまり、個人差などはあるかもしれないけど稀で、基本的に健康な人であればおすすめ睡眠時間に沿って睡眠時間を決めるのがベストみたいですね。また、睡眠時間は短すぎても長すぎてもダメ、勝手になっても自分からそうなってもダメってことで、それらが積み重なって健康や幸せにダメージを与えるみたい。う~ん。気を付けたいですね~。



個人的考察

当事業所(就労移行支援や就労継続支援B型)に通える年齢は18歳以上(就労アセスメントなどの例外を除く)となっておりますんで、規則正しい睡眠時間の目安は7~9時間となります。これを基本にしつつ、微調整していくのが良さそうですねー。
もし、元々睡眠時間が崩れている方がいれば、刺激制御療法睡眠制限療法逆説的意図など本当に効果のある不眠症対策を使って調整し、睡眠日記を取って7~9時間に近づけて行くのがよろしいかと思います。



参考文献