そこで今回は、じゃあ、朝は食べた方が痩せるの…?って話をご紹介します。



朝食を食べないことはダイエットに効果的な方法ではない…!

2003年のケロッグ社の研究によると、朝食の種類やカロリー摂取量が、ボディマス指数(BMI)に与える影響について調べてみたそうです。なんでも朝食をとること自体がBMIに関係しているだけでなく、朝食時に食べる食べ物の種類によってもBMIに与える影響は変わるのではないか…?と考えたみたいです。
実験は1988年から1994年にアメリカで行われた第3回国民健康栄養調査(NHANES III)のデータを使ったそうで、サンプル数は39,695人とのこと。そのデータから朝食のカテゴリーを、

  • 食べない
  • 肉と卵を食べる
  • インスタントシリアル(RTEC)を食べる
  • 調理済みシリアルを食べる
  • パンを食べる
  • 速成パンを食べる
  • 果物と野菜を食べる
  • 乳製品を食べる
  • お菓子を食べる
  • 飲み物を食べる

に分類し、1日の総カロリー摂取量や平均ボディマス指数(BMI)を分析してみたらしい。因みに、年齢や性別、人種、喫煙の有無、飲酒の有無、運動頻度、経済状況などは調整したそうな。
結果は、

  • 朝食にインスタントシリアル(RTEC)、調理済みシリアル、速成パンを食べた参加者は、食べない、肉と卵を食べる人と比較して、ボディマス指数(BMI)が明らかに低かった…!
  • 朝食を食べない、果物と野菜を食べる人は、1日のカロリー摂取量が最も少なかった…!
  • 朝食に肉と卵を食べる人は、1日のカロリー摂取量が最も多く、ボディマス指数(BMI)も最も高いものの1つだった…!

これをみると、朝食は食べた方が痩せそうな感じですね~。
この結果に研究者曰く、この分析により、朝食を食べないことは体重管理を行う場合、効果的な方法ではないという証拠になる。朝食にシリアル(インスタントシリアル(RTEC)や調理済みシリアル)を食べることや速成パン(簡単なパン)を食べることは、朝食抜きや朝食に肉や卵を食べるよりも体重が大幅に低くなる、とのこと。
つまり朝食を食べた方が痩せる…!って話ですね。
まぁ、その部分は置いておくにしても、朝食を食べた方が良さそうという結論は変わらないかと思います。



朝食を毎日きちんと食べると、お腹周りの脂肪、肥満、メタボ、高血圧のリスクが下がる…!

2013年のミネソタ大学ツインシティー校の研究によると、朝食の摂取頻度と代謝の関係について調べてみたそうです。実験はCoronary Artery Risk Development in Young Adults(CARDIA)研究の朝食と食習慣をチェックした7年目の検査(1992~1993年)で糖尿病と診断がなく、その後18年間の中で行われた5度の追跡調査のうち、少なくとも1回は参加した人達3,598名を対象としたそうでデータを統計処理してみたそうな。
結果、

  • 週0〜3日だけ朝食を取る人よりも、毎日朝食を取ると報告した人の方が18年間で体重が1.9kgも減っていた…!
  • 週4〜6日朝食を取る人は、健康リスクが段階的に減少していた…!
  • お腹周りの脂肪(0.78)、肥満(0.80)、メタボ(0.82)、高血圧(0.84)の発症率は、毎日朝食を食べる人の肥満度(胴囲又はBMI)を調整した後も有意なままだった…!
  • 食事の質で結果に差がでるという証拠はなかった…!

とのこと。
この結果に研究者も、毎日朝食を摂取することは、様々な代謝リスクの低下と強く関係している、としております。
朝食を毎日きちんと食べると健康的に暮らせる…!ってことですねー。



朝食高カロリーダイエットと夕食高カロリーダイエットを比べたら効果に2倍以上差が出た…!

2013年のテルアビブ大学の研究によると、朝食で高カロリー食を食べるダイエット法と夕食で高カロリー食を食べるダイエット法のどちらが良いのか調べてみたそうです。
この研究は、平均BMIが32.4の肥満な女性93人(20〜65歳)を対象に、以下の2グループにランダムに振り分け、食事ダイエットを実践してもらったらしい。

  1. 朝食高カロリーダイエットグループ:朝食700kcal、昼食500kcal、夕食200kcalを食べる
  2. 夕食高カロリーダイエットグループ:朝食200kcal、昼食500kcal、夕食700kcalを食べる

つまり、1日の総摂取カロリーを1400kcalに統一して、食べるタイミングだけ変えたってことですね。このダイエット法を12週間試してみたそうです。
ダイエットの結果がどうなったかと言いますと、

  • 朝食高カロリーダイエットグループは夕食高カロリーダイエットグループよりも体重が減少し、お腹周りもスリムになっていた…!
  • 体重について、朝食高カロリーダイエットグループは-8.7±1.4kg痩せた…!夕食高カロリーダイエットグループは-3.6±1.5kg痩せた…!つまり、朝食高カロリーダイエットグループの方が夕食高カロリーダイエットグループよりも約2.5倍も痩せていた…!
  • ウエストについて、朝食高カロリーダイエットグループは-8.5±1.9cmスリムになっていた…!夕食高カロリーダイエットグループは3.9±1.4cmスリムになっていた…!つまり、朝食高カロリーダイエットグループの方が夕食高カロリーダイエットグループよりも約2.2倍もウエストが細くなっていた…!
  • 空腹時の血糖値、インスリン、グレリン(食欲をコントロールするホルモン)は、両グループで減少していたが、朝食高カロリーダイエットグループの方が夕食高カロリーダイエットグループよりも空腹時の血糖値、インスリン、インスリン抵抗性が大幅に減少していた…!
  • 平均中性脂肪レベルは、朝食高カロリーダイエットグループが33.6%減少していた…!夕食高カロリーダイエットグループが14.6%増加していた…。
  • 耐糖能(血糖値を正常な値に調節する機能)をチェックすると、朝食高カロリーダイエットグループはブドウ糖とインスリンが大幅に減少していた…!
  • 朝食高カロリーダイエットグループは食事の満腹感が高かった…!

とのこと。
いや~朝食をしっかり食べる方が痩せるし、健康にもなるしで良い感じですねー。しかもダイエット効果が2倍以上違うってんだからこりゃ見逃せないですわな。
この結果に研究者も、朝食高カロリー・夕食低カロリーダイエットは有益であり、肥満とメタボ対策に役立つ可能性があるだろう、としています。



朝食を食べても代謝は変わらない…!炭水化物や砂糖をメインとした摂取カロリーが540kcalも増える…!体重や脂肪量、健康リスクも変わらない…!

2014年のバース大学の研究によると、一般的に朝食は一日の中で一番大事な食事と言われているけど、朝食と健康の関係って観察研究に基づいていることが多く、正直、因果関係はどうなのか分からないからRCTで調べてみよう…!となったそうです。
今回実験に参加したのは男女33名(男性12名、女性21名)だったそうで、以下の2グループにランダムに振り分けられたそうな。

  1. 朝食ありグループ:午前11時までに700kcal以上の朝食を食べる(16人)
  2. 朝食なしグループ:午前12時まで0kcalで過ごす(水のみOKの断食)(17人)

上記以外は普通に過ごしてもらいつつ、これを6週間続けてもらったそうです。
結果は一般的なイメージと違ったそうで、

  • 代謝は、スタート時から6週間後まで11kcal以内に安定しており、両グループに差はなかった…!
  • カロリー摂取量は、朝食ありグループは2730kcalだった。朝食なしグループは2191kcalだった。つまり、朝食ありグループの方が539kcalも多くカロリーを摂取していた…!
  • 更に詳しく見てみると、朝食ありグループが追加で摂取したカロリーの内訳のほとんどが炭水化物で、特に砂糖の摂取量が多くなっていた…!
  • 体重や脂肪量は、スタート時から6週間後まで両グループに差はなかった…!
  • 心血管疾患の健康リスクにも差はなかった…!

とのこと。
つまり、朝食を食べても代謝は変わらないし、むしろ炭水化物や砂糖をメインとした摂取カロリーが540kcalも増えちゃうし、体重や脂肪量、健康リスクも変わらないしという散々な結果だったみたい…。ダイエット効果はおろか、健康効果もないなんて全然イメージと違いますね…。



朝食を食べようが食べまいが体重減少には関係なかった…!

2014年のアラバマ大学バーミンガム校、コペンハーゲン大学、ボストンメディカルセンター、コロンビア大学、コロラド大学デンバー校RCTによると、観察研究では朝食の摂取は体重減少と関係しており推奨されているけど、本当に有効なのか…?調べてみたそうです。
この研究は20歳から65歳までの健康な太りすぎ又は肥満体型の成人309人を対象に行われたそうで、以下の3グループにランダムに振り分けたとのこと。

  1. 何もしない(コントロール群)
  2. 朝食ありグループ
  3. 朝食なしグループ

期間は16週間で、最後までやりきった人は283人だったとのこと。
結果は、

  • 朝食を食べようが食べまいが体重減少には関係なかった…!
  • 普段朝食なしの人が朝食ありにすると体重が減る可能性があった…!
  • 普段朝食ありの人が朝食なしにすると体重が減る可能性があった…!

みたいです。
つまり、成人の場合、朝食の有無によってダイエット効果は変わらないけど、それまでの朝食の食習慣を切り替えると体重が減る可能性があるってことですね。
う~ん。観察研究とはやっぱり真逆の結果ですね~。



朝食の食習慣を切り替えるとよりダイエット効果が大きくなった…!

1992年のヴァンダービルト大学の研究によると、まぁまぁな肥満体型の成人女性52名を対象に、朝食の減量効果を調べてみたそうです。
実験は普段朝食を食べるかどうかを調べつつ、以下のグループにランダムに振り分けたらしい。

  1. 朝食なしグループ:昼食・夕食の1日2食をダイエットメニューで過ごす
  2. 朝食ありグループ:朝食・昼食・夕食の1日3食をダイエットメニューで過ごす

両グループとも1日のカロリー量は同じにしたそうで、12週間後の結果は、

  • 普段朝食を食べる人が、朝食をなしにすると8.9kg痩せた…!
  • 普段朝食を食べる人が、ダイエットメニューの朝食を食べると6.2kg痩せた…!
  • 普段朝食を食べない人が、朝食をなしにすると6.0kg痩せた…!
  • 普段朝食を食べない人が、ダイエットメニューの朝食を食べると7.7kg痩せた…!

とのこと。
やっぱり先程と同じく、それまでの朝食の食習慣を切り替えるとよりダイエット効果が大きくなったみたいですね~。面白い…。



まとめ:つまりどういうことなのか…?

では、なぜ観察研究とRCTでここまで食い違いが出たのでしょうか…?
どうやら原因は関連性の錯誤・因果関係みたいなんですよね。どういうことかと言いますと、これまでの観察研究の結果では、確かに朝食を取る人はダイエット効果や健康的となっていましたが、この効果は、そもそも朝食の効果ではなく、毎朝朝食をかかさず食べるという習慣を守れるような人だったからではないか…?ということです。
つまり、朝食のメリットと思われていた効果は、朝食が原因ではなく、まじめにコツコツ朝食を食べるという習慣が守れることが原因なのではないかってことですね。実際、朝食を食べる人は、健康的な食生活や運動習慣があり、喫煙やアルコールが少ないなどの傾向があるそうな。
そのため、朝食で健康的…!ではなく、健康的に過ごす人ほど朝食を食べている人が多いという、因果関係が逆だった可能性が高いみたいです。
となると、朝食の有無ではなく健康・ダイエットでポイントになるのは、


ということになりましょうか。
確かにセルフコントロールの高さマシュマロ・テスト然りで、健康面や体型・ダイエットに対する効果が出ていますし、これならしっくりきますね~。
また、食事回数によるダイエット効果については過去に紹介した通り、1日の総摂取カロリーが大事だったんで、こちらとの兼ね合いも上記なら納得できる結果ですね。



個人的考察

ということで朝食のダイエット効果については、成人なら食べても食べなくてもどっちでも良さそうな感じです。



参考文献