【まとめ】塩・塩化ナトリウムについて改めて考えてみる!
塩・塩化ナトリウムは食事報酬を高める…!加工食品に絶対必要…!だけどベストな量は不明…。
以前にご紹介しましたが、食事報酬を高める物の一つが塩・塩化ナトリウムでございます。そして加工食品に塩は使われるんですが、上限のある砂糖や青天井の脂肪に対して、塩はどれぐらいがベストなのか、まだ分かっていないんですよね。加工食品にとって塩は絶対必要なんだけど、一方でしょっぱすぎては誰も食べてくれないとでも申しましょうか…。
まとめると、
- 塩は人間にとって必要なものではあるが、それ故に摂りすぎる可能性が高い
- そして現代では特に塩を摂りすぎる可能性が高い
- 理由は脳の報酬系を刺激する加工食品などがあるから(加工食品には塩が大量に使われている)
って感じです。
塩の摂りすぎでまず気を付けたいのが血圧や脳卒中…!
皆さんご存知の通り、塩の摂りすぎは血管をカッチカチにしていきます。つまり血管の弾力性をなくなっちゃうってことですね。これにより、プッチンしやすくなりますんで、高血圧や脳卒中のリスクがアップしてしまうんですよー。嫌ですね~。
では実際のところ塩分はどのぐらい取ればいいのでしょうか…?
まず参考にしたいのがたくさんの研究施設と研究者が共同で行った2014年の研究になります。この研究は尿に含まれるナトリウムとカリウムを排泄量で測定しつつ、心血管疾患や死亡率との関係を調べてみたそうです。
今回実験に参加した国は17ヶ国で参加者は101,945人だったとのこと。因みに17ヶ国はこんな感じ。
- アルゼンチン
- バングラデシュ
- ブラジル
- カナダ
- チリ
- 中国
- コロンビア
- インド
- イラン
- マレーシア
- パキスタン
- ポーランド
- 南アフリカ
- スウェーデン
- トルコ
- アラブ首長国連邦
- ジンバブエ
日本が入っておりませんが、まぁ、しょうがないでしょう。更に低所得者から高所得者までと様々な経済状況の方が参加していたり、628の都市部や地方に住んでいる方が参加したそうな。かな~り大規模で良いですねー。
尿は、朝の空腹時に採取してもらったそうで、そこから24時間のナトリウムとカリウム(カリウムはナトリウムの吸収を防いでくれたり、余分な塩分を尿として排出する機能がある)の排泄量を推定したらしい。またこの研究は平均3.7年のフォローアップを行ったそうで、複合結果は3317人(3.3%)だったとのこと。
気になる結果はこのようになっておりました。
- 1日に尿で排泄されるナトリウムの推定量は4.93gだった。
- 1日に尿で排泄されるカリウムの推定量は2.12gだった。
- 1日に4.00〜5.99gのナトリウムを排泄している人に比べ、1日に7.00g以上のナトリウムを排泄している人は、死亡率や心血管疾患のリスクが15%もアップしていた…!
- 1日に6.00g以上のナトリウムを排泄している人は心血管疾患、高血圧のリスクが高かった…!
- 1日に3.00g未満のナトリウムを排泄している人も心血管疾患、高血圧のリスクが27%も高かった…!
- 1日に1.50g未満のカリウムを排泄している人に比べ、カリウムの排泄量が多くなればなるほど、心血管疾患、高血圧のリスクが低かった…!
ナトリウムが多いと死亡率や心血管疾患リスクが上がるのは分かりますが、少なすぎても同じくリスクが上がるってのは面白いですね~。ここでも過ぎるは良くない(過ぎたるは猶及ばざるが如し)が適用されるみたい。
まとめると、
まとめると、
- 1日に3g〜6gのナトリウムを摂取すると、死亡率と心血管疾患のリスクを最小限にできるよ…!
- カリウムを積極的に摂取して排泄する量が増えれば増えるほど、死亡率と心血管疾患のリスクを最小限にできるよ…!
となるみたい。
食塩の約40%がナトリウムで計算式が食塩(g)=ナトリウム(g)×2.54なんで、
食塩の約40%がナトリウムで計算式が食塩(g)=ナトリウム(g)×2.54なんで、
- 3g×2.54=7.62g
- 6g×2.54=15.24g
となります。
つまり、塩(食塩)は1日に7.62g~15.24gがベスト…!ってことですね。
こんなん加工食品やファストフードを喰ったら一気に突破しちゃいますな…。恐ろしや…。
世界40ヶ国28,880人を4年半追い続けて分かったナトリウム・カリウムと心血管疾患の関連性
2011年のPopulation Health Research Instituteの研究によると、ナトリウム・カリウムの摂取量と心血管疾患との関連性について調べてみたそうです。
この研究は、2001年11月~2004年5月にかけて世界40ヶ国、計733か所のセンターから参加者を募り、28,880人が参加した観察研究で、朝の空腹時に尿を採取し、ナトリウムとカリウムの排泄量を推定したそうな。
んで、心血管疾患や死亡率との関係について統計処理してみたらしい。
追跡期間の中央値は56か月だったそうで、まず1日の排泄量はこんな感じ。
んで、心血管疾患や死亡率との関係について統計処理してみたらしい。
追跡期間の中央値は56か月だったそうで、まず1日の排泄量はこんな感じ。
- ナトリウムの排泄量:4.77g
- カリウムの排泄量:2.19g
次に、ナトリウムの排泄量と心血管疾患の死亡リスクの関係についてはこんな感じ。
ナトリウムの排泄量(ナトリウムの摂取量)が増えれば増えるほど、心血管疾患のリスクも増えちゃうみたいですね。
- 1日のナトリウムの排泄量が4~5.99gの人たち:6.3%
- 1日のナトリウムの排泄量が7~8gの人たち:9.7%
- 1日のナトリウムの排泄量が8gを超える人たち:11.2%
- 1日のナトリウムの排泄量が2~2.99gの人たち:8.6%
- 1日のナトリウムの排泄量が2g未満の人たち:10.6%
ナトリウムの排泄量(ナトリウムの摂取量)が増えれば増えるほど、心血管疾患のリスクも増えちゃうみたいですね。
更に、ナトリウムの排泄量と心筋梗塞の入院リスク、脳卒中の入院リスク、うっ血性心不全の入院リスクの関係についてはこんな感じ。
【心筋梗塞の入院リスク】
- 1日のナトリウムの排泄量が4~5.99gの人たち:4.6%
- 1日のナトリウムの排泄量が6~6.99gの人たち:5.6%
- 1日のナトリウムの排泄量が8gを超える人たち:6.8%
【脳卒中の入院リスク】
- 1日のナトリウムの排泄量が4~5.99gの人たち:4.2%
- 1日のナトリウムの排泄量が8gを超える人たち:6.6%
【うっ血性心不全の入院リスク】
- 1日のナトリウムの排泄量が4~5.99gの人たち:3.8%
- 1日のナトリウムの排泄量が8gを超える人たち:6.5%
- 1日のナトリウムの排泄量が2~2.99gの人たち:5.2%
最後に、カリウムの排泄量と心血管疾患の死亡リスク、心筋梗塞の入院リスク、脳卒中の入院リスク、うっ血性心不全の入院リスクの関係についてはこんな感じ。
- 1日のカリウムの排泄量と、心血管疾患の死亡リスク、心筋梗塞の入院リスク、うっ血性心不全の入院リスクは関係なかった…!
【脳卒中の入院リスク】
- 1日のカリウムの排泄量が1.5g未満の人たち:6.2%
- 1日のカリウムの排泄量が1.5~1.99gの人たち:4.7%
- 1日のカリウムの排泄量が2~2.49gの人たち:4.3%
- 1日のカリウムの排泄量が2.5~3gの人たち:3.9%
- 1日のカリウムの排泄量が3gを超える人たち:3.5%
カリウムの排泄量は脳卒中のみ関係し、こちらはナトリウムの排泄量とは逆で、カリウムの排泄量(カリウムの摂取量)が増えれば増えるほど、脳卒中のリスクが減るみたい。
以上をまとめると、
- ナトリウムの排泄量が1日6.5gを超えるまで様々な健康リスクとの関連性は見当たらなかった…!
- ナトリウムの排泄量が1日7gを超えてくると、全ての健康リスクがアップしていた…!
- ナトリウムの排泄量が1日3g未満になると、心血管疾患の死亡リスク・うっ血性心不全の入院リスクがアップしていた…!
- カリウムの排泄量が多くなればなるほど、脳卒中のリスクが減っていた…!
となるようです。
日本食は塩分高め…!なのに心血管疾患(CVD)の死亡率は低下する…!
2007年の東北大学の前向きコホート研究によると、日本食と心血管疾患(CVD)による死亡率の関係について調べてみたそうです。というのも、意外と日本食って塩分を多く含むんで、心血管疾患(CVD)のリスクを高めると思われていたんですよね。そこをはっきりさせようとしたみたいです。
まず研究者たちは、1994年10~12月の間に、宮城県の大崎保健所(北部保健福祉事務所)が管轄する地域に住んでいる40歳から79歳の男女に調査票を配布したそうな。調査票は、食事摂取頻度調査票(FFQ:40項目の質問票からなる食事アンケート)と、自己記入式調査票(病歴や喫煙の有無、身体的健康状態など)だったとのこと。
次に1995年1月1日から、健康保険組合にお願いして健康保険の脱退履歴を入手、これで、死亡日と脱退日のデータを収集したみたい。
んで、774人の参加者がデータ収集前に脱退、また、アンケートで未記入欄が多かった人、カロリー摂取量が極端な人、調査開始前から心血管疾患(CVD)の可能性があった人なんかのデータも除外していったそうな。
最終的なサンプル数は、40,547人だったとのこと。
調査期間は1995年1月1日から2001年12月31日の7年間ということで、日本人を対象としていて、且つ、サンプル数、期間も長めなのが良いですねー。
では結果を見てみましょう…!
- 7年間のうちに801名の方が心血管疾患(CVD)で亡くなった。
- アンケートの結果、日本食のパターンは、以下の3種類だった…!
- 大豆製品、魚、海藻、野菜、果物、緑茶をメインとした食事
- 牛肉や豚肉、鶏肉、卵、乳製品をメインとした食事
- 高乳製品、高果物、高野菜、低アルコールをメインとした食事
- 日本食は心血管疾患(CVD)の死亡率低下と関係していた…!
- にもかかわらず、日本食は、ナトリウムの摂取量が多く、高血圧になる可能性も高かった…!
とのこと。
う~ん…。塩分の多い食事なのに、心血管疾患(CVD)の死亡率低下と関係しているってのは矛盾していますね~。
ここんとこについて研究者は、
ここんとこについて研究者は、
- 日本食は確かに塩分高めだけど、一方で、野菜や果物をガッツリ食べたり、大豆や海藻、緑茶を多く摂取するからじゃないか…?
としています。
塩分のマイナスポイント以上に、野菜や果物のプラスポイントが勝っているって感じみたいですね。なるほど…。
上記を見ると、塩分が多少高めの食事をしていても野菜や果物をそれ以上にたくさん食べておけばある程度のダメージは緩和できるかもしれません。まぁ、加工食品ばっか食べていたら厳しいでしょうが…。
男性は40歳から、女性は70歳から塩分摂取量が減ってくる…!但し…。
2011年の国立長寿医療研究センターの縦断研究によると、日本に住む中高年の方を対象に塩分の摂取量の増減について調べてみたそうです。この研究は日本人の男性544人、女性512人を対象として行われまして、追跡期間は平均8年間とのこと。因みに調査開始時の参加者の平均年齢は男性が56.5歳、女性が55.8歳だったらしい。
研究者たちは対象者全員の塩分摂取量とカロリー摂取量を3日間の写真付き食事記録から計算したそうな。その後、収集したデータを統計処理して年齢と塩分摂取量の関係を出したそうです。
結果、
- 調査開始時の1日の塩分摂取量は、男性が12.8±3.3g、女性が10.6±2.5gだった。
- 平均カロリー摂取量は、調査期間中、全ての年齢層で男女とも減少していた…!
- 8年間で男性の塩分摂取量が減少していた…!
とのこと。
また、年齢別の男性の平均塩分摂取量について詳しく見てみると、
- 40~49歳:年0.08g少なくなっていた…!
- 50~59歳:年0.09g少なくなっていた…!
- 60~69歳:年0.16g少なくなっていた…!
- 70~79歳:年0.14g少なくなっていた…!
だったらしい。
因みに女性は、70~79歳までの平均塩分摂取量が年0.08g少なくなっていたそうです。また、カロリー摂取量を調整した後では、60~69歳の男性の塩分摂取量が減少していたのに対し、50~59歳の女性の塩分摂取量は増加していたそうです。
つまり、男性は40歳から、女性は70歳から塩分摂取量が減ってくるみたいですね。
但し、研究者曰く、
- 塩分摂取量は依然として推奨レベルを超えていた
とのことなんで、やはり減塩は必須と申せましょう。
塩の種類の違いで栄養面に違いが出るのか調べてみた…!
お店で売られている塩は大きく2種類に分かれまして、一つ目が普通の塩と言われる食塩です。食塩は、精製塩とも呼ばれ、天日塩や岩塩がその原料となります。
もう一つは海塩(かいえん)と呼ばれる塩です。海塩は、名前の通り海水から作られる天然の塩で、豊富なミネラルが含まれていると言われている塩ですね。
一般的に食塩と海塩では海塩の方が健康に良い…!と言われていますが、果たして本当なのか…。
そこん所を調べた研究を見ていきます。
そもそもアメリカの食事ガイドラインでは、1日当たりの塩の最大摂取量は5.8g(ナトリウムだと2,300mg)が望ましいとされているそうなんですが、実際の平均摂取量は1日当たり9g(3,600mg)とっているんだそうな。大体、2倍弱も多くとっているみたいですね。
そこで以前からナトリウム量が少なくミネラルが豊富だと言われている海塩と食塩を比べてみよう…!となったみたいです。
まず研究者は38種類の海塩を用意。次にそれぞれの塩のナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛の濃度をチェックしたそうな。また合わせて、塩の味を3回ずつ、9人の方にチェックしてもらったらしい。
結果、
- 海塩は特定のミネラル(カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛)が豊富だった…!
- 3つの海塩は普通の食塩よりもナトリウムが30%も少なかった…!
- 同じ量のナトリウムの塩を比べてみると、しょっぱさの強さに違いはなかった…。しかし、しょっぱさの持続時間は海塩が長かった…!
とのこと。
海塩はミネラルが豊富でナトリウムが少ないのに、しょっぱさの持続時間が長い…!ってのは良いですねー。
ということで、食塩よりも海塩の方が健康に良さそうな感じ。
基本は減塩となりますが、合わせて海塩を使うってのも良さそうですね。
塩分を摂りすぎると自己免疫疾患になりやすくなる…!多くなればなるほど症状もヤバくなる…!
2013年のイェール大学の研究によると、塩分の摂りすぎと自己免疫疾患の関係について調べてみたそうです。
なんでも過去半世紀の間に、自己免疫疾患の発症率ってのはかなり上がっているそうで、ここには環境の変化が深く関わっているそうなんですよね。一方で、Th17細胞(インターロイキン17(IL-17:炎症性サイトカインの一つ)・ヘルパーT細胞)が、自己免疫疾患に深く関わっているという話もございます。
なんでも過去半世紀の間に、自己免疫疾患の発症率ってのはかなり上がっているそうで、ここには環境の変化が深く関わっているそうなんですよね。一方で、Th17細胞(インターロイキン17(IL-17:炎症性サイトカインの一つ)・ヘルパーT細胞)が、自己免疫疾患に深く関わっているという話もございます。
ということで研究者たちは、
- 塩化ナトリウムを摂り過ぎにより、体内の濃度が高まる(環境の変化)
- Th17細胞が増加する
- 自己免疫疾患に…!
って仮説を検証してみたそうです。
早速結果を見てみますと研究者の仮説通りでして、
- 塩分の摂りすぎはTh17細胞を増加させ、自己免疫疾患を引き起こしていた…!
とのこと。
また、
- 大量の塩を与えられたマウスは、Th17細胞が増加しまくり、より重度の自己免疫疾患を発症していた…!
そうです。
つまり、塩分を摂りすぎると自己免疫疾患になりやすくなるし、それが多くなればなるほど症状もヤバくなる…!ってことですね。怖い…。
更に2013年のブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究でも、塩分の増加がTh17細胞を増加させ、自己免疫疾患の発症を促進することを示していますんで、減塩は意識しておいた方がよろしいかと思います。
1日15g以上の塩分食を1週間続けただけで自己免疫疾患リスクはアップしてしまう…!
2013年の人民武装警察兵站大学の研究によると、食事の塩分摂取量を変えると体内炎症はどうなるのか調べてみたそうです。
まず研究者たちは、健康なボランティアを募集し、36人の方が協力を申し出てくれたそうな。次にボランティア36人の尿と血液をチェックしつつ、食事介入の実験に納得できるか聞いてみたらしい。結果22人が実験参加に同意したとのこと。
その後、実験中に2人がリタイアしてしまったそうで、最終的なサンプル数は20人になったみたい。20人のうち男性が10人、女性10人といった感じで、平均年齢は29.75±1.95歳、平均BMIは21.92±0.69kg/m^2だったそうです。
続いて研究者たちは中国北部の農村部に住む高齢者を対象にした研究を確認し、1日の平均塩分が約14gであることをチェックしたそうな。これを基にしつつ、通常の塩分の食事、高塩分食、低塩分食の3段階の食事を考え、参加者に順番に試してもらったみたいです。
では食事介入の詳しい流れを確かめておきましょう。
- 1~3日目:3日間、通常の塩分食を食べた。
- 4~10日目:7日間、1日15g以上の塩分食(高塩分食)を食べた。
- 11~17日目:7日間、1日5gの塩分食(低塩分食)を食べた(1日5gはWHOの推奨値)
併せて、血圧や尿などもチェックしていったそうです。
最後に集まったデータを統計処理したそうで、結果、
- 1日15g以上の塩分食(高塩分食)を食べると、体内炎症が激しく増加した…!
- 血圧レベルの変化は無関係だった…!
- 1日5gの塩分食(低塩分食)によって上記と真逆の反応を示す可能性はあったが、血圧は変化しなかった…!
とのこと。
つまり、わずか1週間(7日間)高塩分食を続けるだけで、自己免疫疾患のリスクはアップしてしまうと…。これはなかなか厳しい基準ですねー。
1日12gの塩分で体内炎症増加→自己免疫疾患リスクアップ…!理想は1日6g…!
2015年のミュンヘン大学病院などの縦断研究によると、様々な塩分量を摂取してもらい免疫にどのような影響を及ぼすのか長期にわたって調べてみたそうです。
この研究は平均年齢33±6歳の健康な6名の方が参加したそうで、なぜこんなに参加者が少ないのかと申しますと、6名全員が宇宙飛行士であり、宇宙飛行士訓練の枠内で実験を行ったからです。そのためサンプル数は少ないものの、厳重管理された閉鎖環境で生活して長期間調べたのでデータの質は非常に高い物となっております。
んで実験は全部で205日間行われたそうで、1日当たりの塩分を12g→9g→6g→12gの順番で試していったそうな。因みに各塩分摂取期間は50±10日間継続したとのこと。
食事の栄養素については、ヨーロッパの様々な食品メーカーが作っている200種類以上の食べ物を一つ一つ、栄養素含有量を分析し、実験期間全体を通して一定になるようにしたんだとか。
また参加者6名の毎日の食事メニューもしっかり計画され、個別化も図られていたらしい。実際の食事についてはナトリウム摂取量のみを変えて、それ以外は実験全体を通して全ての栄養素が一定レベルになるようにしたそうです。参加者6名が自由に飲食できたのは水のみで、ソフトドリンクなどのカロリーの高い飲み物は制限されたとのことでした。
上記期間中は採血も行っておりまして、12g終了時点、9g終了時点、6g終了時点、2回目の12g終了時点の午前7~8時の間の起床時に行ったとのこと。最後に集まったデータをいろんな免疫分析にかけつつ、統計処理したみたいです。
結果、以下のようになったみたい。
- 塩分を1日12g摂取したときは、塩分を1日9g、6g摂取したときよりも、免疫細胞の数が明らかに多くなっていた…!
- 上記は参加者6名全てで観察された…!
- つまり塩分摂取量と免疫の暴走には強い正の相関関係があることが明らかになった…!
やっぱり塩分摂取量で免疫系は暴走してしまうみたいですね~。
また、この実験では体内炎症についてもチェックしておりまして、指標として炎症性サイトカインは、IL-6(インターロイキン6)、IL-23(インターロイキン23)、TNF-α(腫瘍壊死因子)をチェック、抗炎症性サイトカインはIL-10(インターロイキン10)をチェックしたんですが、結果、
- 塩分摂取量を減らすと、炎症性サイトカイン(IL-6・IL-23)の産生が明らかに減少していた…!
- 塩分を1日6g摂取したときは、塩分を1日12g摂取したときよりも、IL-6(インターロイキン6)が30%以上も減少…!IL-23(インターロイキン23)も90%近く減少していた…!
- 塩分摂取量とTNF-α(腫瘍壊死因子)の関係は見当たらなかった。
- 塩分摂取量を減らすと、抗炎症性サイトカイン(IL-10)の産生が大幅に増加していた…!
- 塩分を1日6g摂取したときは、塩分を1日12g摂取したときよりも、IL-10(インターロイキン10)が約3倍も増加していた…!
そうです。
どうやら塩分は1日6gにしておくと良さそうです。また、今まで塩分をたくさん摂ってきた人も1日6gにすれば免疫系が正常になっていくみたいですね。
ということで、自己免疫疾患の観点から見た塩分摂取量は1日6gが理想ということになります。んがしかし1日6gはかな~り難しくて加工食品とか食っちまうとあっという間にオーバーしちゃうんですよね。
なんで、その辺を避けるのはもちろんですがプラスしてカリウム(カリウムはナトリウムの吸収を防いでくれたり、余分な塩分を尿として排出する機能がある)が多い食品を積極的に摂取していくとよろしいのかな~と思います(葉物野菜とか)
個人的考察
心血管疾患について、一つ目の研究の結果は、1日のナトリウムの安全ラインが3g〜6gで、塩(食塩)は1日に7.62g~15.24gがベストでした。二つ目の研究の結果は、1日のナトリウムの安全ラインが3g~6.5or7gで、塩(食塩)は1日に7.62g~16.51or17.78gがベストでした。
自己免疫疾患については1日6gが理想でした。
つまり、
ってことになりますかね。
- 心血管疾患:塩(食塩)は1日に7.6g~17.8gできれば15gまで抑えると良い…!
- 自己免疫疾患:塩(食塩)は1日6gにすると良い…!
ってことになりますかね。
そして共通点として、
- カリウムの排泄量は多いと良い…!