【まとめ】「統制の所在」ってなに?意味を理解し自己成長につなげよう!
「統制の所在」は結構重要なポイントでして、「障がい者支援について考える その6「今年あった支援などのポイントの復習(続き)」」に書いた
統制の所在ってなに…?
統制の所在(ローカス・オブ・コントロール:Locus of Control)とは失敗や成功なんかの原因が内側にあるか外側にあるかのことを言いまして、一般的に内側を目指すべき…!と言われております。
例えば内側にある人ってのは、
- 失敗した→他人のせいにせず自分のせいだと認められる…!
- 成功した→自分が努力した成果と素直に認められる…!
つまり自分の良い事も悪い事も認められるってことですな。
それに対して外側にある人ってのは、
- 失敗した→他人のせいにして自分のせいだと認められない…。
- 成功した→運が良かっただけと思い自信がつかない…。
責任の所在を他人や環境にすべてぶつけてしまうんで成長の機会がなかなか訪れない感じですな。
統制の所在が内側・外側の人の特徴
続いて統制の所在が内側にある人と外側にある人の特徴をバーッと見ていきましょう…!
統制の所在が内側にある人の特徴
統制の所在が内側にある人の特徴はこんな感じです。
統制の所在が外側にある人の特徴
統制の所在が外側にある人の特徴はこんな感じです。
- 環境や人のせいにしがち:自分の境遇や失敗、環境などを全て他人や社会のせいなんかにしがち。
- 成功しても運が良かっただけと思いがち:成功しても今回はたまたま運が良かった、偶然だった。こんなのは続かないと考えがち。
- 努力は意味なしと考えがち:自分が努力してもなんも状況なんて変わらんと思いがち。
- 絶望・無力を感じ逃亡しがち:困難な状況に直面するとすぐ絶望感や無力感を感じてしまい、その物事から逃げてしまいがち。
- 学習性無力感が高い:何をやっても無駄だと考えがち。
統制の所在は内側が良い…!但し例外もある…!
ということで、基本的には統制の所在は内側が良い…!って感じなものの、一方で例外もあります。
例えば以下のような場合です。
- 本当に他者や環境に問題がある場合:自分の責任を認めるのが大事なのは当然ですが、かといって自分に非がないものまで何でもかんでも自分のせいにするのは全く別の話。
- 潰れてしまいそうな場合:自分の責任にするということは非常に勇気がいるし、ストレスもかかります。それで潰れてしまっては元も子もないのでそういった場合は外側に向けるのも緊急対策としては有効かと。但しここはかなり注意が必要でその結果、周囲の人間関係に亀裂が入ったり、尚状況が悪くなる場合もあります。
精神障がいの方で状態がかなり悪くなった際、自分でストレスの解消ができず、漏れ出るかのように周囲にぶつけてしまう場合がありますが、これは状態がかなり悪いときなら仕方ないですが、普段から行ってしまうとまずいってところにも通じるでしょう。
因みにこの当たりの負のループについては「精神障がいとコミュニケーションが上手くとれないことの関係性」をご覧ください。
自分の「統制の所在」は内側か外側か…?チェックしてみよう…!
ここまでお読みの方は、自分の「統制の所在」が内側なのか外側なのか気になっているかと思います。
そんな方は、以下の統制の所在のチェックリストを行ってみましょう。
各項目の文章を読んで、あなたの考えが
そんな方は、以下の統制の所在のチェックリストを行ってみましょう。
各項目の文章を読んで、あなたの考えが
- 当てはまる
- やや当てはまる
- どちらとも言えない
- やや当てはまらない
- 当てはまらない
のどれか考えてみてください。
それでは質問です。
- 私は自分の人生や自分に起こる出来事について、コントロールできないと感じることがよくある。
- 人間は自分にふさわしい物や出来事を手に入れることはめったにない。
- 自分でコントロールできないことが多く起こるので、目標を掲げたり計画を立てたりするのは無意味だ。
- 人生は運ゲーだ。
- 私は周囲の出来事に対して無力だ。
- 一生懸命努力して目標に向かっていれば達成できる。
- 運命や宿命といったことは存在しない。
- 一生懸命勉強してしっかり準備をすれば、テストで良い結果が出るだろう。
- 運は成功とはほとんど関係ない、それは主に努力の問題だ。
- 長い目で見れば、人は人生でふさわしいものを手に入れる傾向がある。
終わったら、質問6~10の数字を反転させましょう(5→1、4→2、3→3、2→4、1→5)
最後に数字を足してみてください。
合計数が何点だと内側だ…!外側だ…!ってのは明確にないんですが、概ね、
- 10~24点→統制の所在が「内側」傾向
- 25~35点→統制の所在が「内側」にも「外側」にもなる
- 36~50点→統制の所在が「外側」傾向
って感じでしょうか。
因みになんとなく文章からも想像できると思いますが、項目の1~5に当てはまることが多い方は統制の所在が外側傾向となります。そして項目の6~10に当てはまることが多い方は統制の所在が内側傾向となります。
そもそも統制の所在には内側と外側ってのがありますが、基本的に外側に向いている人は、失敗も成功も他人や運命のせいにしてしまうため、より多くのストレスを抱えることが多いんですよね。そのため、不安障害やうつ病なんかの発症や重症化のリスクが増えてしまうんですよ。
一方で、統制の所在は性格によるものと考えられているため、時間の経過とともに適度に安定してくると考えられているんですな。ということは、当初の所在が外側の方も年齢を重ねるにつれ、安定してくる可能性があるんですよ。しかしこの部分における長期にわたる研究がなかったんで今回調べてみることにしたんだとか。
この研究は、NESDAっていうオランダの有名なうつ病・不安症の大規模コホート研究のデータセットを使ったもので、スタート時には2,981人の参加者(平均年齢41.9歳、年齢範囲18~65歳、女性66.4%)がいたと言うもの。まず実験開始時に参加者に、不安やうつ病の重症度、ポジティブネガティブなライフイベントについてアンケート調査をしたそうな。
続いて、実験開始から2年後、4年後、6年後、9 年後にも同じアンケートを実施し、どう変化したのか見てみたとのこと。因みに途中でドロップアウトせずに、9年間の追跡調査に参加してくれた人は2,052人だったんだとか。
最後にデータを見比べてみた結果、以下のことが分かったそうです。
- 統制の所在は9年間にわたってかなり安定していた…!
- 統制の所在は年齢とともに内側になっていっていた…!
- 統制の所在が外側の人は、より高い不安とうつ病の重症度を予測していた…!
- 統制の所在はポジティブネガティブなライフイベントの発生率には影響なかった…!
- うつ病の重症度が高く、ネガティブなライフイベントが多いほど、統制の所在がより外側に向いていっていた…!
- ポジティブなライフイベントが多いほど、統制の所在がより内側に向いていっていた…!
- 不安の重症度は統制の所在に影響を与えなかった…!
やっぱ統制の所在が外側の人はメンタルがやられやすいみたいですね。また、うつ病やネガティブなことが多い程、統制の所在は外側に向いてしまうみたいですな。一方でポジティブなことが多いと統制の所在は内側になりやすいみたい。それと意外なのが不安の重症度は関係ないってことですな。
あと朗報としては、年齢を重ねるにつれ、統制の所在が内側になっていくってこと。おそらく人生経験の中で自然と良い事も悪い事も認められるようになるんでしょうね。よく言われる「年の功」とか「丸くなった」ってのはこれのことなのかも…。
ということで、統制の所在は内側に向いていた方が良いのはやっぱり間違いなさそうな感じ。また歳を取れば皆自然と内側になってくるみたいなんで、この辺は年配者に学ぶと良いのかもしれんですな。
個人的考察
人間は弱い生き物なんで、失敗したことや自分の嫌な部分など見たくないところはついつい避けたり人のせいにしたくなりますが、だからこそ、ちゃんと向き合い認識し観察することで成長できます。
やはりどちらも認めるのが大事であり、それを行うために客観視の力を付けていくとよろしいかと思います。
参考文献
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0165032718325916?via%3Dihub
https://www.nesda.nl/nesda-english/
https://www.nesda.nl/nesda-english/