当ブログでは様々な不眠症対策の研究をご紹介しておりまして、その中に「睡眠制限療法」ってのが何度か登場しております。
今回は認知行動療法の一つである、この「睡眠制限療法」のやり方をご紹介します。



睡眠制限療法ってなに…?

睡眠制限療法とは、睡眠時間をわざと短くする治療法のことを言います。
あえて睡眠時間を短くすることによって、軽い睡眠不足を引き起こし、その状態で夜ベットに入ることでぐっすり眠れるようになるってことですね。そして朝目覚めることで、安定した睡眠リズムが作られていくって感じです。
ちょっと荒療治な感じがする方もいるかもしれませんが、認知行動療法の一種であり、昔から使われてきた治療法の一つなんで効果は確かなものかと。



睡眠制限療法ってどうやるの…?

それでは実際に睡眠制限療法のやり方を見ていきましょう。


ステップ1:自分の睡眠時間の把握

まず現在の自分の睡眠時間の把握をすることが最初の一歩となります。「彼を知り己を知れば百戦殆からず」ですな(この場合、彼はいないけど)
…ってことで、自分の睡眠時間を計るんですが、ここで注意が一つございます。それはベットに入った時間ではなく、実際に眠った時間を計ることです。つまりベットに入って眠りにつくまでの時間(入眠潜時)は計算に入れないってことですね。
でも眠る瞬間の時間なんて分からん…!って方は、大体でOKです。もし、ちゃんと調べたい…!って方には、今はスマホを用いた睡眠記録アプリやスマートウォッチの機能としてついている睡眠トラッカー、スマートリングとして有名な「Oura Ring」など、様々なガジェットやアプリが出ておりますんで、それらを用いるのがよろしいかと。具体的には以下のようなアプリ・ガジェットですね。

【スマホアプリ】

【スマートウォッチ】


【その他】



ステップ2:ベットに入る時間を決める

現在の自分の睡眠時間が把握できたら、起きたい時間から逆算してベットに入る時間を決めます
具体的に書くとこんな感じ。

  1. 現在の自分の睡眠時間は5時間だった。
  2. 起床時間は午前7時が良い。
  3. この場合、何が何でも起きていて午前2時に寝る。
  4. そして、何が何でも午前7時に起きる。

また、1日の睡眠時間はどんなに短くても4時間30分より長くするのもポイント。1日の平均睡眠時間が4時間半を下回っていても同様です。


ステップ3:1,2週間継続する

ステップ1,2で就寝時間と起床時間が決まったらこれを死守しましょう。具体的には1,2週間継続するのがポイントです。この間は、どんなに起きていたくても寝る、どんなに眠たくても起きる、これを絶対崩さない事のみ考えます。
もし可能なら時間までベットに入らない、ベットから出るだけでなく、そもそも寝室に入らない、入るの徹底もするのが良い感じ。
もちろん寝ながらテレビ・パソコン・スマホ・読書など全て厳禁。ただ寝る事だけ行いましょう。だけど暇過ぎて無理…!って方は、呼吸瞑想ボディスキャン瞑想自己統制法4-7-8呼吸法認知シャッフル睡眠法など様々な瞑想法リラックス系の呼吸法、睡眠法を使うとよろしいかと。


ステップ4:入眠潜時が改善し睡眠の質の向上を感じる

1,2週間継続すると、徐々に入眠潜時(眠りにつくまでの時間)が改善し睡眠の質の向上を感じることが出来るかと思います。目安としてはベットに入って眠りにつくまでの時間が20分以内に収まるようになるって感じですね。
また日中に眠たく感じるようになってくることもあるはず。これも効果が出てきた証拠。


ステップ5:睡眠時間を増やす

ここまできて、ようやく睡眠時間を増やす時期となります。意外と長いですよね~。
但し、当ブログでなんでも書いている通り基礎基本は大事でして、この下地、土台をちゃんとじっくり作ったかでその後が安定するか否かが決まるんですよ。なんで時間をかける必要があります。急がば回れ。
んで睡眠時間ですが、まずは10分多くしましょう。ここでポイントなのが起床時間は変えず、就寝時間を早めることとなります。
つまり、上記で挙げた例で言うと、

  • 現在:午前2時に寝て午前7時に起きていた
  • 今後:午前1時50分に寝て午前7時に起きる

って感じ。
これで1,2週間ほど様子を見ます。そして日中に眠気が出てくれば成功です。そうしたらまた10分増やしましょう。これを繰り返します。
もし、1週間経っても入眠潜時(眠りにつくまでの時間)が20分以内に収まらなくなったら、一旦以前の時間に戻します。そして1,2週間様子を見て日中眠気が出てくるようになったら、また10分増やします。焦らずにって感じです。



個人的考察

お気づきの方も多い通り、この「睡眠制限療法」は「刺激制御療法」と重なる部分も多く、よくセットで使われるテクニックとなります。どちらも根底にあるのは、脳に「寝室=ベット=寝る場所=だから寝る」という図式を覚えてもらう、覚え直すところがミソなんですよね。
なんで始めた当初は、脳もいつもとの違いにビックリして拒否反応が出ることもあるんですが、その辛さも1週間もすれば慣れて消えていくんで、焦らず、数ヶ月かけるつもりで取り組んでいただけたらと思います。
まぁ個人的にはゲーム化を導入し、楽しみながらやるのが良いのかな~とか思っておりまして、そうなると最近リリースされたポケモンスリープは魅力が高いんですよね。



参考文献