今回は、歩きスマホでポケモンGOをしやすい人の特徴を計画的行動理論に当てはめて調べてみた研究を見ていきます。



それほどもうポケモンGOに興味はないんだけど、なんとなく惰性で続けている人が歩きスマホでポケモンGOをしやすい…!

2017年のテキサス大学オースティン校の研究によると、ポケモンGOの歩きスマホはなぜ起こるのかを計画的行動理論に当てはめて調べてみたそうです。
そもそも計画的行動理論(TPB)ってのは、行動を起こすための意思のことを言いまして、
以下の3つの中心的な要素から実際の行動に移ると考えられております

  1. 態度:その行動を行うメリットとデメリットのこと。当然メリットがないと行動しない。
  2. 主観的規範:周囲の期待に応えようとする気持ちのこと。期待があるとそれを裏切らないよう行動する。
  3. 知覚された行動の統制可能性:自分にも出来そうか否かのこと。自分でも出来そうだと思うと行動する。

つまり人間は、ある事をしようかしないかって時、メリットがある、周囲もしてほしいと思っている、自分にも出来そうってなると実際に行動するし、どれかが引っかかると行動しなくなるってことですね。まぁ、言われてみりゃそうですな。
んで、この研究では歩きスマホで怪我をする人が急増しているけど、それはなぜか…?ってのを計画的行動理論に基づいて調べてみたらしい。そして歩きスマホの代名詞ともなったのがポケモンGOだったんで、ポケモンGOプレイヤーを対象に調べてみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、計画的行動理論の三本柱である「態度」「主観的規範」「知覚された行動の統制可能性」の要素に「自動性」「没入性」「楽しさ」という新たな要素を加えてみたそうな。
因みに新しい3つの要素は、

  • 自動性:無意識に行うこと。気づいたらポケモンGOをしていたみたいな
  • 没入性:のめり込んでいるかのこと。ポケモンGOに熱中しているからやったみたいな
  • 楽しさ:そのまま楽しいかのこと。ポケモンGOのゲームが楽しいからやるみたいな

という感じだそうです。
続いて参加者を募ったそうなんですが、以下の2つの方法を行ったんだとか。

  • 実験1:アメリカ南部の大学から262名(年齢幅18~34歳、平均年齢20.32歳、女性が多い(63.7%、167/262))が参加。募集期間は2016年11月~2017年4月まででオンラインで募集した。
  • 実験2:アマゾンメカニカルタークから179名(年齢幅18~65歳、平均年齢30.61歳、男性が多い(56.9%、102/179))が参加。募集期間は2017年3月で、アメリカの労働者のみが参加した。

この参加者たちに歩きスマホでポケモンGOを行う理由について、上記の6つの要素を含めたwebアンケートに答えてもらったらしい。
因みにアンケートの中身はこんな感じ。

  1. 態度:あなたにとって、歩きスマホでポケモンGOをするのは、どのような理由からですか…?(良い事か悪い事かみたいな選択肢の中から答えた)
  2. 主観的規範:あなたの大切な人はあなたが歩きスマホでポケモンGOをしてほしいと思っていると思いますか…?(反対か賛成かみたいな選択肢の中から答えた)
  3. 知覚された行動の統制可能性:あたなは歩きスマホでポケモンGOをすることについて、どの程度安全に注意して行えると思いますか…?(できるかできないかみたいな選択肢の中から答えた)
  4. 自動性:あなたはポケモンGOを無意識にすることがありますか…?
  5. 没入性:あなたはポケモンGOをするとき、熱中しますか…?
  6. 楽しさ:あなたはポケモンGOをするのは楽しいですか…?(楽しいか楽しくないかみたいな選択肢の中から答えた)

最後に年齢や性別、人種、スマホ依存度などの変数を調整してみたそうです。
それでは実験1の結果から見ていきましょう…!

  • 高齢者ほど歩きスマホでポケモンGOをすることが少なかった。
  • 態度:歩きスマホでポケモンGOをするメリットが大きいと感じている人ほど行っていた…!
  • 主観的規範:周囲の期待が強いと思っている人ほど歩きスマホでポケモンGOをする可能性が高かった…!
  • 知覚された行動の統制可能性:自分は歩きスマホでポケモンGOが出来なさそう…と思っている人ほど、歩きスマホでポケモンGOをしていた…!
  • 自動性:無意識にポケモンGOをやることが多い人ほど歩きスマホでポケモンGOをする可能性が高かった…!
  • 没入性:ポケモンGOに熱中していない人ほど、歩きスマホでポケモンGOをしていた…!
  • 楽しさ:ポケモンGOが楽しいと思っている人ほど歩きスマホでポケモンGOをする可能性が高かった…!

まぁ基本的には、だよね~って結果ですね。但し意外だったのが「知覚された行動の統制可能性」と「没入性」です。
歩きスマホが難しいと思っている人やポケモンGOにそれほどハマっていない人ほど、歩きスマホでポケモンGOをしがち…!ってのは面白い結果ですな。
では続いて実験2の結果を見てみましょう…!

  • 女性の方が歩きスマホでポケモンGOをすることが少なかった。
  • 態度:歩きスマホでポケモンGOをするメリットが大きいと感じている人ほど行っていた…!
  • 主観的規範:周囲の期待が強いと思っている人ほど歩きスマホでポケモンGOをする可能性が高かった…!
  • 知覚された行動の統制可能性:自分は歩きスマホでポケモンGOが出来なさそう…と思っている人ほど、歩きスマホでポケモンGOをしていた…!
  • 自動性:無意識にポケモンGOをやることが多い人ほど歩きスマホでポケモンGOをする可能性が高かった…!
  • 没入性:ポケモンGOに熱中している人ほど、歩きスマホでポケモンGOをしていた…!
  • 楽しさ:ポケモンGOが楽しいと思っている人ほど歩きスマホでポケモンGOをする可能性が高かった…!

…ってことで、実験1とほぼ同じ結果ですね。違うのは「没入性」でした。
ということで、歩きスマホでポケモンGOをする人は、

  • ポケモンGOをすることが習慣になっていて、無意識にすぐやってしまう、それほどハマっていない若者…!

って感じになりましょう。



個人的考察

これをみると、それほどもうポケモンGOに興味はないんだけど、なんとなく惰性で続けている若者が歩きスマホでポケモンGOをしやすいみたいですね。若者かどうかはさておき、惰性で続けている人ってのはなんかしっくりきますな。



参考文献

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29229586/