【加筆内容】知的障がいの方の有酸素運動の効果と最も一般的かつ効果的な有酸素運動プログラムを調べてみた!
有酸素運動と無酸素運動(筋トレ)のどちらか一方を行うなら、有酸素運動がオススメ…!って話をご紹介しました。
知的障がいの方の有酸素運動の効果と最も一般的かつ効果的な有酸素運動プログラムを調べてみた…!
2023年のコインブラ大学などの研究によると、知的障がいのある方の有酸素運動の効果について系統的レビューで調べてみたそうです。
そもそも知的障がいの方の運動効果を調べた有名な2011年のデュービル大学の系統的レビューによると、運動はバランス感覚や筋力、生活の質に中~強程度のプラスの影響を与えるとしております。
しかし、心肺機能の部分にフォーカスした研究はまだまだ少ない感じなんで、今回、
- 知的障がいの方の有酸素運動の効果はどれぐらいか…?
- 知的障がいの方の最も一般的かつ効果的な有酸素運動プログラムはどんな感じか…?
についてチェックしてみたんだとか。
ということでまず研究者たちは該当する先行研究をPubmed、Web of Science、Scopus、SPORTDiscusという4つのデータベースを用いて検索してみたそうな。因みに発表期間は2013年1月~2023年6月9日までで、今回ランダム化比較試験に絞って検索したみたい。
その結果258件の研究が見つかったらしく、続いてその中から基準を満たす質の高い研究を選んで行ったそうで、最終的には12件の研究がピックアップされたそうです。
この12件の研究の中にはアジアの研究が含まれているんですが、韓国や中国の研究で残念ながら日本の研究はありませんでした(日本はこの分野の研究が遅れているんで仕方ないですね)
12件の研究の総サンプル数は402名で、そのうち運動グループは186名、対照グループは192名って感じでした。また、参加者は子供から青少年、大人の範囲でした(但し子どもの対象研究は少ない)。それと12件の研究のうち、9件はダウン症の方を対象にしており、3件のみが知的障がいのみの方を対象としておりました。
ではここで12件の研究の運動プログラムについて見てきましょう。
- 期間:8~15週間の範囲だった。但しほとんどの研究では8~12週間(8週間、10週間、12週間)だった。
- 週の頻度:週2~5日の範囲だった。最も多かった頻度は週3日だった。
- 時間:20~60分間の範囲だった。
- 種目:エアロバイク、トレッドミル、エリプティカル、ステッパー、ウォーキング、ランニング
- 強度:最大心拍数の50%~80%又はVO2maxの70%~80%
こう見ると、スタンダードな有酸素運動って感じですね。
では結果です。
まずは「1. 知的障がいの方の有酸素運動の効果はどれぐらいか…?」からバーッと見ていきましょう…!
まずは「1. 知的障がいの方の有酸素運動の効果はどれぐらいか…?」からバーッと見ていきましょう…!
- 体重:-1.4or-7%だった…!
- 体脂肪:-3.2or-17.4or-11.1or-11.1%だった…!
- ウエスト:-2.7or-3.5or-3.5%だった…!
- ウエストとヒップの比率(くびれ):-12or-12%だった…!
- レプチン:-18.6%だった…!
- TNF-α(腫瘍壊死因子):-27.1%だった…!
- CRP(C反応性タンパク):-17%だった…!
- IL-6(インターロイキン6):-34.4%だった…!
- インスリン抵抗性:-11.5%だった…!
- フィブリノーゲン:-15.2%だった…!
- peak VO2(最高酸素摂取量):+6.4or+24or+14.8%だった…!
- VO2max(最大酸素摂取量):+14.8%だった…!
- 疲労までの時間:+13.8%だった…!
- 6分間歩行テスト:+11.4%or+12.9%だった…!
- 座位から立ち上がるまでのテスト:+13.8%だった…!
- 筋疲労抵抗性:+13.3%だった…!
- 認知能力の改善:手先の器用さ、組み立てテスト、計画性、論理的言語の流暢性、ワーキングメモリ、注意力とその持続力、反応スピード、忍耐力がアップしていた…!
つまり、体型がスリムになって体内炎症も減少、心肺機能がアップし筋肉もアップ、疲れにくくなって頭も良くなったってことですね。考えられる有酸素運動のメリットは全て受けられそうですな。
お次は「2. 知的障がいの方の最も一般的かつ効果的な有酸素運動プログラムはどんな感じか…?」についての結果です。
今回の系統的レビューに含まれる全ての研究の有酸素運動プログラムの特徴や共通点をまとめてみると、このような感じだったんだとか。
- 期間:12週間
- 週の頻度:3回
- 時間:20~60分
- 流れ:ウォームアップ→有酸素運動→クールダウン
- 種目:エアロバイク、エリプティカル、ステッパー、トレッドミル
- 強度:最大心拍数の50%~80%又はVO2maxの70%~80%
ここから、知的障がいの方の最も一般的かつ効果的な有酸素運動プログラムを作ってみるとこのような感じとのこと。
- 期間:8~12週間
- 週の頻度:週3日
- 流れと時間:ウォームアップとクールダウンを常に考慮しつつ、20~60分
- 種目:エアロバイク、エリプティカル、ステッパー、トレッドミル
- 強度:最大心拍数の50%~80%又はVO2maxの70%~80%
そして研究者が強調していたポイントは継続できることでした。
やっぱ運動やダイエットは続けられるかが一番大事でして、例えば2021年のベイラ・インテリオール大学の研究によると、自己決定理論を踏まえて過去の行動が将来の行動に及ぼす影響を分析すると、運動をスタートした最初の6ヶ月が重要なんだとか。これが次の6か月も続くかどうかのポイントらしいんですよね。
但し研究者によれば、上記の通り知的障がいの方やダウン症の方の運動効果を調べた6ヶ月以上の長期による研究が全然足りていないんで、ここが今後の課題ということです。
個人的考察
ということでまず何の運動をしていいか分からん…!みたいな方はウォーキングや早歩き、自転車を漕いでみてはどうでしょうか…?