これまで知的障がいの方やダウン症の方を対象とした有酸素運動や筋トレ、その他の運動法などの研究を見てきた結果、運動にはいろんなメリットがある事が確認できました。
また系統的レビューやメタ分析といった質の高い研究をチェックし、障がいの有無に関わらず、運動はプラスの効果がある事も分かりました。更に具体的なガイドライン(運動メニュー)や知的障がいの方に運動を行ってもらう際の注意点なんかもチェックしました。
その詳細については過去の記事をご覧いただきたいのですが、とりあえず、

  1. 有酸素運動+無酸素運動(筋トレ)
  2. 有酸素運動
  3. 無酸素運動(筋トレ)

の優先順位で行うと良いみたいです。
但し、これまでの研究はいずれも知的障がいを持つ若い方を対象にしているものばっかなんで、高齢知的障がい者の場合、同様の効果があるか不明なんですよ。特に医療の発展により、高齢の知的障がいの方は世界的に増えておりますんで、この辺はチェックしておきたいところでしょう。
ではここがどうなのか調べた研究を見ていきますか。



知的障がいを持つ高齢者の運動効果はどうなのか…?

2013年のハイファ大学の研究によると、知的障がいのある高齢者の運動効果について調べてみたそうです。
そもそも高齢者は運動機能が低下し、転倒からのケガを引き起こすリスクが高いですが、高齢知的障がい者の場合どうなのかはちゃんと調べられておりませんでした。
そこで今回研究者は高齢知的障がい者に運動を行ってもらいバランス感覚がアップするのか見てみることにしたらしい。
この研究はイスラエルのハイファに住んでいる高齢知的障がい者27名が参加したもので、参加者を以下の2グループにランダムに振り分けたそうです。

  1. バランストレーニンググループ:バランス感覚アップの為の運動プログラムを行った。
  2. 筋トレグループ:筋トレプログラムを行った。

コントロールグループがないのはちょっと残念ですな。まぁ、仕方ないでしょう。
実験期間は半年間で、実験開始前後に簡単な健康アンケートや身体能力テストなんかを行い運動機能がどのように変わったかチェックしたそうな。
その結果、

  • 両グループともスタート時のテスト結果よりも終了時のテスト結果の方が運動機能がアップしていた…!
  • バランストレーニンググループは、バランス感覚や全体的な健康においてよりはっきりとアップしていた…!

とのこと。
知的障がいを持つ高齢者がどのような運動をしてもメリットはある…!ってことですね。また、バランストレーニンググループのように特化したプログラムを行えば、その部分のメリットが大きく受けられると。



個人的考察

つまり障がいの有無に関わらず高齢者でも運動のメリットは同じように受けられるみたいです。大変よろしいお話ですな。
但し、個人的に注意したいな~と思うのが知的障がいやダウン症をお持ちの方の老化スピードが早いということ。これを踏まえると知的障がいやダウン症をお持ちの方はより若いうちから運動習慣を身に付けておいた方がよろしいのかなと思います(まぁ、ぶっちゃけ障がいの有無に関わらず早いうちから運動習慣を身に付けておくに越したことはないですが)



参考文献