今回は久しぶりに感謝のメリットのご紹介です。



うつ病の人こそ感謝すべき…!

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の神経科学者アレックス・コーブ博士の「上昇スパイラル:神経科学を使って鬱病を反転させる」という書籍には、うつ病を引き起こす脳のメカニズムや症状改善の為の方法なんかをいくつもご紹介しております。
んで、その対策の中には定番のリラックス法や日光を浴びるって話もあるんですが、ここで面白いのが何かに感謝するというテクニック。
なんでも、SSRIやSNRI抗うつ薬としてどうして有効なのかですが、やる気ホルモンドーパミン幸福ホルモンセロトニンがともに増えるからなんですな。まぁ、この辺は基礎となるモノアミン仮説が間違いかも…?って話が近年出てきているんで、あやしいところはあるものの、実際うつ病患者さんのドーパミンやセロトニンが少ないのは事実ですからね。
そしてコーブ博士によれば、薬を使わず自然にドーパミンとセロトニンの分泌を促進できる方法が感謝とのこと。
その仕組みは、

  • 感謝をする→ドーパミンを産み出す脳エリアが活発に…!→結果、他者とのコミュニケーションが楽しくなるしドーパミンも分泌される…!
  • 感謝をしようと考える→自然とポジティブな事を考える→セロトニンを産み出す脳エリアが活発に…!→結果、セロトニンが分泌される…!

って感じ。
感謝をすることを考え実際に行うことは前頭前野の活発化や視床下部の活性化、神経伝達スピードのアップといった効果があるんで、上記のような流れになるみたい。
とはいえ、うつ病で特に沈んでいるときに感謝しよう…!って言われても無理ですよね。しかし必ずしも感謝する事をしなくても良いみたいで、ポイントは感謝する相手(人以外でも物事でも何でも良い)を考えて見つける作業を行うだけでも効果があるんだとか。これならなんとか出来そう。てか、なんかこう考えると慈悲の瞑想に効果があるのも納得ですよね。



個人的考察

その他の方法としては以前ご紹介したラベリングが良いそうです。また意外だったのが決断意思決定目標設定なんかを含む行為ってのも脳が活性化するんで良いそうです。
それと最後にいずれも大事だったのは受動的ではなく能動的であるということ。ACTにもある、価値の明確化とコミットメント、つまり実際に自分でそれをやると決めてやる…!ってのが大事なんだとか。言われてみりゃ至極当然なんですが、他人から言われて不承不承でやるより、自分で決めてやる方がネガティブにならんし、ドーパミンもセロトニンも出ますわな。
ということで、コーピングレパートリーに「感謝する」とか「感謝する相手を考える」ってのを加えてみてはどうでしょうか…?



参考文献