引き続き、ヨアニナ大学のアンブレラレビューを見ていきます。



筋萎縮性側索硬化症(ALS)と環境要因の関係についてアンブレラレビューを行ってみた…!

2016年のヨアニナ大学の研究によると、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と環境要因の関係について系統的レビューとメタ分析のアンブレラレビューを行ってみたそうです。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は指定難病にも選ばれている病気で、脳、脳幹、脊髄の運動ニューロンに影響を及ぼす進行の速い神経変性疾患となっております。主な症状としては、手足やのど、舌などの筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんなくなっていき、力が入らなくなってしまうんですよね。
そして筋萎縮性側索硬化症は遺伝による要素が約10%と言われておりまして、ヨーロッパでは、およそ10万人に2人の割合で発症するんだとか。また有病率は10万人に5.4人、生涯にわたる発症リスクは男性で1:350、女性で1:400とのこと。
これらからも分かる通り、筋萎縮性側索硬化症は遺伝的要因があるのは間違いないものの、発症には環境要因も関わっている可能性があるんですよね。というのも、鉛やその他の重金属、農薬、頭部外傷などの病状も関係ありそうだと報告があるそうなんで。
ということで今回研究者たちは、この当たりがどうなのかアンブレラレビューを用いてチェックしてみることにしたそうです。
まず最初に筋萎縮性側索硬化症と環境要因の関係を調べた観察研究の系統的レビューとメタ分析をPubMedで検索してみたそうな。因みに2015年8月20日までに発表されたものをチェックしたそうで、結果176件の研究が見つかったとのこと。
続いてこの中で基準を満たす研究をピックアップしていったそうで、最終的に12件の研究が選ばれたんだとか。因みにコクランやEMBASEで他に良い研究がないかも見てみたそうなんですがなかったらしい。
この12件の研究の中には16のメタ分析があったそうで、これらを用いて筋萎縮性側索硬化症と環境要因の関係をアンブレラレビューしてみたそうです。
気になる結果は、

  • 説得力のある関係性が強いエビデンスの環境要因は1つだけだった…!
  • それは、職業上で慢性的な鉛への曝露が多い場合(OR1.81)だった…!

とのこと。
重金属や喫煙、農薬など様々な関係性を見たけど、鉛のみヤバいと出たみたいですねー。



個人的考察

まぁ、米なんかからも鉛は摂取されていますが害が出るほどではないので、日本ではよほど汚染された食品以外気にしなくてよろしいかと。
あとは排ガスとかになるんですが、この辺は仕事によっては注意しなければいけないでしょうね。まぁ、これも日本だと危ない場所での作業ではマスクとかするんで、大丈夫だと思いますが。



参考文献