旧石器時代(狩猟採集民)の食事をマネる「パレオダイエット」の効果を見てみよう! その9
「旧石器時代(狩猟採集民)の食事をマネる「パレオダイエット」の効果を見てみよう!」シリーズの続きです。
の2つに分けることが出来る。
現在、慢性疾患を防ぐには、脂肪の摂取量よりも脂肪の種類が重要であることが見えてきております。そして健康へのメリットが高い脂肪は、一価不飽和脂肪酸と一部の多価不飽和脂肪酸となっており、飽和脂肪酸とトランス脂肪酸のほとんどは過剰摂取すると健康リスクが上がると出ているんですな。更にオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率も慢性疾患リスクの予防には非常に重要とのこと。
んがしかし、西洋スタイルの食事は、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸がたくさん含まれており、また、オメガ3脂肪酸はオメガ6脂肪酸に比べて摂取量が少なかったりします。そして飽和脂肪酸やトランス脂肪酸で血中コレステロールとLDLコレステロールが上昇し、心血管疾患リスクが高まります。一方でオメガ3脂肪酸は多くのメカニズムを通じて心血管疾患リスクを下げます。実際心血管疾患患者にオメガ3脂肪酸を摂取してもらうと、3.5年後の全死亡率が20%低下、突然死が45%低下したって報告もあるそうな。また、オメガ3脂肪酸は、多くの炎症性疾患や自己免疫疾患の予防や改善にも効果があるとも出ております。
更に多価不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸、一価不飽和脂肪酸と総脂肪の比率を同じくして低脂肪食(カロリーの22%)と高脂肪食(カロリーの39%)を50日間比べてみたところ、総コレステロールやLDLコレステロールに有意差がなかったという結果が出ているそうです。以上からも、脂肪の量よりも脂肪の質(カロリーの質)が重要だと言えましょう。
アメリカにおける飽和脂肪酸の主な供給源(食品)は、脂肪分の多い肉、焼き菓子、チーズ、牛乳、マーガリン、バターの6つとのこと。これら6つの食品のうち5つは、畜産や産業革命以前の人類の食生活には含まれていなかったものらしい。そして繰り返しになりますが野生動物は基本脂肪量が少なく、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の摂取量の方が上回っていた為、例え年間を通して飽和脂肪酸をたくさん摂取していたとしても、過剰摂取になることはなかったとのこと。
また、20世紀初頭の植物油の加工技術の発展により、植物性脂肪の総摂取量が爆発的に増加、これにより、オメガ6脂肪酸の摂取量が増加し、オメガ3脂肪酸の摂取量が低下しました。
更に過去100年間で穀物飼料で飼育された牛や豚などの家畜の肉が標準となり、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の比率が高くなる傾向が発生しました。現在のアメリカでは、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の比率が10:1にまで広がっているそうです。一方で野生動物の食品が主流な狩猟採集民の食生活は、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の比率が2:1~3:1と推定されているとのこと。
そして1897年の水素化技術の発明により、植物油を固形化し、ショートニングやマーガリンといった水素化植物油を含む食品が販売されるようになりました。これにより、トランス脂肪酸が人間の食事に加わり、結果、血中コレステロール濃度を上昇させ、心血管疾患リスクを増加させることになったとのこと。因みに現在アメリカの食事におけるトランス脂肪酸は、脂肪酸摂取量全体の7.4%を占めると推定されるそうです。
個人的考察
ということで今回はここまで。
次回は、「3. 主要栄養素の割合」と「4. 微量栄養素の密度」を見ていきます。
参考文献
後でご紹介します。
