【まとめ】赤身肉(レッドミート)、白身肉(ホワイトミート)、加工肉はどれだけヤバいのか?
以前に肉の種類ごとのメリット、デメリットを書きました。
その際に「肉の質」の問題にもチラッと触れております。簡単に言うと、成長を早めるホルモン剤や抗生物質入りのエサを食べた生き物の肉より、自然環境で育ったグラスフェッドの肉の方が良いよ~ってことです。
心臓病と糖尿病のリスクがアップする…!
2010年のハーバード公衆衛生大学院の系統的レビュー・メタ分析によると、冠状動脈性心疾患 (CHD)や脳卒中、糖尿病の発症と、食べる肉の量、赤身の肉と加工肉(ハムやソーセージ、ベーコンなど)による違いについて、影響があるのかを調べたそうです。
まず、過去に行われた健康な成人を対象としたコホート研究、ケース・コントロール研究、ランダム化比較試験を1,598件も集めたそうな。次のその中から17件の前向きコホート研究と3件のケース・コントロール研究の計20件の研究をピックアップしたとのこと。
20件の研究のサンプル数は1,218,380人、そのうち、冠状動脈性心疾患の症例が23,889人、脳卒中の症例が2,280人、糖尿病の症例が10,797人あったとのこと。かなり大規模にチェックしていて良い感じですねー。
んで、これらを調べてみた結果、加工肉を1日50g摂取している人は、
- 冠状動脈性心疾患の発症率が42%もアップ…!
- 糖尿病の発症率が19%もアップ…!
だったそうです。
そして、赤身の肉、つまり未加工の肉には上記のような関連性が見当たらなかったとのこと。この結果に研究者も食事の改善政策には加工肉に焦点を当てる必要性がある…!っとおっしゃっております。
肉の種類と死亡率の関係を167万人で調べてみた…!
2014年のインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究によると、肉の消費量と死亡率って関係があるけど、肉の種類によって違いはあるのか…?についてコホート研究のメタ分析を行ってみたそうです。
具体的には、肉全般の消費量、赤身肉、白身肉、加工肉の消費量と、
- 全ての死亡率
- 心血管疾患(CVD)の死亡率
- 虚血性心疾患(IHD)の死亡率
を比べてみたそうな。
因みに各肉の種類の概要はこんな感じ。
- 肉全般:全ての種類の肉のこと。
- 赤身肉:レッドミートと呼ばれるもので赤色の肉のこと。例としては牛肉やラム肉、豚肉など。
- 白身肉:ホワイトミートと呼ばれるもので白色の肉のこと。例としては、鶏肉や七面鳥の肉、ウサギの肉など。
- 加工肉:ハム、ベーコン、サラミ、ソーセージ、ハンバーガー、ホットドッグ、ランチョンミート、燻製、塩漬け、化学保存料入りの肉など。
まず研究者たちは2013年8月までに公開された前向きコホート研究をPubMedとWeb of Knowledgeを使って検索してみたそうです。結果、ヨーロッパの研究5つ、アメリカの研究4つ、オーストラリアの研究1つ、アジアの研究3つ(日本での研究を含む)の全13件のコホート研究をピックアップできたそうな。次にこれらをメタ分析にかけてみたそうです。
因みにサンプル数は1,674,272人で、全ての死亡率が163,524人、心血管疾患(CVD)の死亡率が44,340人、虚血性心疾患(IHD)の死亡率が1,370人とのこと。
167万人を超えるサンプル数、日本の研究も含んでいるのはポイントが高いですね~。では早速結果をバーッと見ていきますかー。
- 加工肉の消費量と全ての死亡率には正の相関があった…!(22%高かった)
- 加工肉・赤身肉の消費量と心血管疾患(CVD)の死亡率には正の相関があった…!(加工肉は18%高かった、赤身肉は16%高かった)
- 加工肉・赤身肉の消費量と虚血性心疾患(IHD)の死亡率は関係していなかった…!
つまり、普段から加工肉を食べている人は、全ての死亡率と心血管疾患(CVD)の死亡率のリスクを高める可能性がある…!ってことですね。それに対して赤身肉は心血管疾患(CVD)の死亡率のみリスクアップがあり得ると…。しかも関連性は弱いみたい…。
他の食材同様、未加工肉よりも加工肉の方がヤバい…!ってことですね。また研究者は加工肉や赤身肉の代わりに白身肉が使えるかも…?ともおっしゃっておりました。
未加工の赤身肉と加工肉の死亡率を133万人で比べてみた…!
2014年のカロリンスカ研究所の研究によると、赤身肉と加工肉を普段から食べまくる人は2型糖尿病や心血管疾患、ガンなどになりやすくなるって言われているけど、本当なのかメタ分析・系統的レビューを実施してみたそうです。
まず研究者たちは、2013年5月までの赤身肉と加工肉の消費量と全ての死亡率との関係を調べた研究をPubMedを使ってピックアップ、更に検索された論文の参考文献もチェックして該当研究をリストアップしていったそうな。因みにPubMedで検索をかける時に使った単語は、肉 、牛肉、豚肉、仔牛、子羊、ステーキ、ハンバーガー、ハム、ベーコン、ソーセージって単語と死亡率、死って単語を組み合わせたものだったらしい(例:「肉 死亡率」や「ベーコン 死」など)
ピックアップした研究を精査した結果、最終的に9つの研究に絞り込んだそうで、内訳はアメリカの研究5件、ヨーロッパの研究3件、中国の研究1件とのこと。
総サンプル数は1,330,352人ということでかなり大規模な感じとなっております。
それとこの研究では肉の分類について、未加工の赤身肉、加工肉、総赤身肉の3つに分けていたんですが、それぞれの定義はこんな感じ。
- 未加工の赤身肉:未加工の牛肉、未加工の豚肉、未加工の子羊肉、未加工の鹿肉のこと。魚と鶏肉は除外したそう。
- 加工肉:ベーコン、ソーセージ、ホットドッグ、サラミ、ハムなどの燻製、塩漬け、化学保存料を使った肉のこと。
- 総赤身肉:未加工の赤身肉+加工肉
年齢や性別、喫煙の有無なんかを調整して出た結果がこちらでした。
- 加工肉を最も食べまくっているグループは最も食べていないグループに比べて、全ての死亡率が23%高かった…!
- 総赤身肉を最も食べまくっているグループは最も食べていないグループに比べて、全ての死亡率が29%高かった…!
- 未加工の赤身肉の消費は、全ての死亡率と関係がなかった…!
つまり原因は加工肉って感じで、未加工の赤身肉は関係なさそうですね。因みに加工肉の消費量が1日50g増えるごとに冠状動脈性心疾患のリスクが42%もアップするなんて結果も出ていまして、一方で未加工の赤身肉にはそのような関係が見つからなかったらしい。
この辺を見てもやはり諸悪の根源は加工肉…!って感じがしますね。
約54万人を10年間追い続けた結果分かった、肉の摂取量と様々な死亡率の関係
2009年のアメリカ国立がん研究所の研究によると、赤身肉や白身肉、加工肉の摂取量と様々な死亡率の関係について調べてみたそうです。
この研究はアメリカの6つの州(カリフォルニア州・フロリダ州・ルイジアナ州・ニュージャージー州・ノースカロライナ州・ペンシルベニア州)とアメリカの2つの大都市(ジョージア州のアトランタとミシガン州のデトロイト)から参加者を募集した大規模前向きコホート研究で、参加者は約50万人の男女だったとのこと。
まず研究者たちは1995年の当時50歳から71歳の方、350万人に日ごろの食習慣(肉の摂取量)についてアンケートを郵送してみたそうです。アンケートはFFQ(食事摂取頻度調査票)と言われるもので、この時使われたものは124項目に答えてもらうものだったみたい。
肉の種類についてはこんな感じに分けたそうです。
因みに赤身肉、白身肉の加工肉は、ベーコンやソーセージ、ハム、七面鳥や鶏肉の燻製なんかも含まれたらしい。
実験期間は1995年~2005年12月31日までの10年間で、毎年郵送アンケートで追跡調査を行ったそうです。
んで、最初は617,119名の方がアンケートに回答してくれていたんですが、その後、様々な理由から脱落者が出まして、更に極端なデータも除いていったそうな。最終的には男性322,263名、女性223,390名の計545,653名のデータが残ったとのこと。
死亡リスクの種類については、
- がん全般
- 心血管疾患(CVD)
- 事故や突然死
- その他の死因
- 総死亡率
というカテゴリー分けをしたそうです。
最後にデータを回帰分析してみたとのことでした。
アメリカ人のみ対象とした研究ですが、規模、期間などなかなか良い感じですね。
残念なのは赤身肉や白身肉に加工肉と未加工肉の区別がない事でしょうか…。
では早速結果をバーッと見ていきましょう…!
- 追跡期間中に亡くなった方は男性47,976名、女性23,276名だった。
- 赤身肉の摂取量が多い人は加工肉の摂取量も多かった…!
- 赤身肉の摂取量が多い人は既婚者が多い、喫煙者が多い、肥満体が多い、食べる量が多い、学歴が低い、普段の運動が少ない、果物や野菜をあまり食べない、サプリをあまり使わない傾向にあった。
- 加工肉を含む赤身肉の摂取量が多い男女は、がん、心血管疾患、総死亡率が高かった…!
- 加工肉を含む白身肉の摂取量が多い男女は、がん、総死亡率が低かった…!
- 但し、加工肉を含む白身肉の摂取量が多い男性のみ心血管疾患のリスクがわずかに高かった…!
- 加工肉の摂取量が多い男女は、がん、心血管疾患、総死亡率が高かった…!
う~ん…。
未加工の赤身肉と加工肉の冠状動脈性心疾患(CHD)リスクを調べてみた…!
2010年のハーバード公衆衛生大学院の前向きコホート研究によると、魚以外のタンパク源と冠状動脈性心疾患(CHD)の関係について調べてみたそうです。
この研究はNHS(看護師の健康調査)を使って、30~55歳の女性84,136人を対象に行われたものとなっております。実験内容は参加者に食事アンケートに答えてもらうというもので、これを4年ごとに行っていったそうな。
んで26年間追跡し、最後に集まったデータの変数を調整した結果、
- 未加工の赤身肉を1日100g食べるごとに、冠状動脈性心疾患(CHD)のリスクが19%アップしていた…!
- 加工肉を1日50g食べるごとに、冠状動脈性心疾患(CHD)のリスクが20%アップしていた…!
- 加工肉の1日50gを未加工の赤身肉の1日100gに合わせてみると、冠状動脈性心疾患(CHD)のリスクが44%(約2倍)アップしていた…!
とのこと。
未加工の赤身肉と加工肉の心血管疾患(CVD)による死亡リスクを調べてみた…!
2012年のハーバード公衆衛生大学院の研究によると、2つの前向きコホート研究の結果を使い未加工の赤身肉と加工肉の心血管疾患(CVD)による死亡リスクを調べてみたそうです。具体的には、
- 1986年~2008年のHPFS(医療従事者追跡調査):男性37,698人
- 1980年~2008年のNHS(看護師の健康調査):女性83,644人
を再度チェックし、
- 未加工の赤身肉と心血管疾患(CVD)による死亡リスク
- 加工肉と心血管疾患(CVD)による死亡リスク
をみてみたそうな。
んで2つの前向きコホート研究から分かったことが、
- 未加工の赤身肉を1日1食分(1サービング=85g)食べると、心血管疾患(CVD)による死亡リスクが18%アップしていた…!
- 加工肉を1日1食分(1サービング=ベーコンだと2切れ28g、ホットドッグだと1切れ45g、ソーセージやサラミ、ボローニャソーセージ、その他の赤身加工肉だと1切れ45g)食べると、心血管疾患(CVD)による死亡リスクが21%アップしていた…!
- 加工肉を1日100g食べると、心血管疾患(CVD)による死亡リスクが46%(未加工の赤身肉と比較して約2倍)アップしていた…!
上記2つの研究をまとめると、加工肉を1日100g食べると心疾患(冠状動脈性心疾患、心血管疾患)リスクがかなりアップしそうですね。
逆に未加工の赤身肉を食べても心疾患のリスクは少しアップするか、全く関係ないぐらいな感じとなっております。
まぁ、どのような食材もいちゃもんをつければ必ずデメリットはありますんで、メリットとの兼ね合いを踏まえると、加工肉は避け未加工の肉は食べる…!が良いんじゃないでしょうか。
未加工の赤身肉と加工肉の2型糖尿病リスクについて前向きコホート研究のメタ分析をしてみた…!
2011年のハーバード公衆衛生大学院の研究によると、未加工の赤身肉と加工肉の2型糖尿病リスクについて調べてみたそうです。この研究は、
という3つの前向きコホート研究を使ったメタ分析となっております。
因みに未加工の赤身肉と加工肉の1サービングはこんな感じだったそうです。
- HPFS:40~75歳の男性51,529人
- NHS I:30~55歳の女性121,700人
- NHS II:25~42歳の女性116,671人
因みに未加工の赤身肉と加工肉の1サービングはこんな感じだったそうです。
- 未加工の赤身肉:85g
- 加工肉:ホットドッグ1個45g、ベーコン2枚28g、その他の加工赤身肉1枚45g
んでメタ分析のサンプル数は442,101人、そのうちの糖尿病患者さんは28,228人だったんですが、食事をチェックしてみると、
- 未加工の赤身肉を1日100g食べると2型糖尿病リスクが19%アップした…!
- 加工肉を1日50g食べると2型糖尿病リスクが51%アップした…!
- 1日100gに統一した場合、加工肉を1日100g食べると2型糖尿病リスクが2倍以上アップした…!
そうです。
糖尿病が多いアメリカ先住民と未加工の赤身肉・加工肉と糖尿病の関係
2012年のワシントン大学の前向きコホート研究によると、肥満と糖尿病の割合が高いアメリカ先住民に協力をお願いし、未加工の赤身肉と加工肉と糖尿病の関係について調べてみたそうです。
今回実験に参加したのは2,001名でして、男性39%女性61%、スタート時の年齢の中央値は35.0歳(範囲が18.0歳~74.9歳)だったそうな。
んで8年間の追跡期間中に糖尿病を発症した方が243名いたそうで、未加工の赤身肉と加工肉との関係をみた結果がこちら。
- 加工肉の摂取量が多い場合と少ない場合を比べると、糖尿病リスクが35%も高かった…!
- 未加工の赤身肉の摂取量が多い場合と少ない場合を比べても、糖尿病リスクは関係なかった…!
この結果に研究者曰く、
- 未加工の赤身肉ではなく、スパムなどの加工肉を食べると、糖尿病リスクがアップしてしまう。これは健康食品へのアクセスが限られている農村部の人々の糖尿病リスクが高いことに関連している
とのこと。
こちらでも未加工の赤身肉と糖尿病は関係なくて、加工肉の摂取がヤバい…!という結論でしたねー。
こちらでも未加工の赤身肉と糖尿病は関係なくて、加工肉の摂取がヤバい…!という結論でしたねー。
他にも未加工の赤身肉と加工肉の2型糖尿病リスクについて調べた研究はあるけど結果は同じ…!
他にも未加工の赤身肉と加工肉の2型糖尿病リスクについて調べた研究はございまして、
って感じなんですよね。
以上をまとめると、心疾患リスク同様、2型糖尿病リスクにおいても、加工肉は避け未加工の肉は食べる…!が良さそうです。
赤身肉とガンの種類別の関係を見てみた…!
2000年のマリオネグリ薬理学研究所の研究によると、赤身肉の摂取とガンの関係について調べてみたそうです。
この研究はイタリア北部で行われたデータセットを用いたもので、期間は1983年~1985年にスタートし、1996年6月まで(乳がんと結腸・直腸がんは1991年まで)だったとのこと。
データは教育や病歴、喫煙の有無、アルコールやコーヒーの消費量などの変数は調整済みだそうで、参加者にはアンケートを用いて食生活を回答してもらったそうな。
アンケートは、各食品の週の消費量を答えてもらう物だったらしく、約40種類の食品から選択して選んでもらったらしい。その中には、1週間当たりの赤身肉(牛肉・豚肉)の消費量を答えてもらう質問もあったそうです。因みに缶詰のお肉と保存肉は省かれていたそう。
んで、まず種類別のガン発症数についてチェックすると、
- 口腔がん・咽頭がん・食道がん:497人
- 胃がん:745人
- 結腸がん:828人
- 直腸がん:498人
- 肝臓がん:428人
- 胆のうがん:60人
- 膵臓がん:362人
- 喉頭がん:242人
- 乳がん:3,412人
- 子宮体がん:750人
- 卵巣がん:971人
- 前立腺がん:127人
- 膀胱がん:431人
- 腎臓がん:190人
- 甲状腺がん:208人
- ホジキンリンパ腫:80人
- 非ホジキンリンパ腫:200人
- 多発性骨髄腫:120人
だったそうです。
ここから、赤身肉の摂取量が最も多い週7回以上食べる人のグループと、最も少ない週3回以下しか食べない人のグループを比べてみると、ガンとのオッズ比が、
って感じだったらしい。因みに診断時の年齢や性別に有意差はなかったそうです。
- 胃がん:1.6
- 結腸がん:1.9
- 直腸がん:1.7
- 膵臓がん:1.6
- 膀胱がん:1.6
- 乳がん:1.2
- 子宮体がん:1.5
- 卵巣がん:1.3
って感じだったらしい。因みに診断時の年齢や性別に有意差はなかったそうです。
逆に赤身肉と関係なかったガンは、
- 口腔がん・咽頭がん・食道がん
- 肝臓がん
- 胆のうがん
- 喉頭がん
- 前立腺がん
- 腎臓がん
- 甲状腺がん
- ホジキンリンパ腫
- 非ホジキンリンパ腫
- 多発性骨髄腫
だったそうです。
これらをみると、赤身肉とガンは種類によってリスクがかなり違いそうな感じ。どう捉えるかはかなり難しいんですが、個人的にはたまに食べるぐらいなら良いんじゃないかな~と思う次第です。
レッドミート・加工肉で結腸がんリスクがアップ…!ホワイトミート・魚でダウンする…!
1990年のチャニングラボの前向きコホート研究によると、様々な肉(動物性脂肪)と食物繊維の摂取量と結腸がんの関係について調べてみたそうです。
この研究は年齢34歳から59歳の女性88,751人を対象に行ったもので、1980年に食事アンケートに回答してもらい、普段の食事内容をチェックしたそうな。
集められたデータを統計処理したところ、
- 肉(動物性脂肪)と結腸がんリスクは1.89倍という正の相関関係があった…!
- 植物性脂肪と結腸がんリスクは関係がみられなかった…!
- レッドミート(牛肉・豚肉・ラム肉)を毎日食べていた女性は、月1回未満しか食べていなかった女性と比べて、結腸がんリスクが2.49倍も高かった…!
- 加工肉も結腸がんリスクの増加と有意に関係していた…!
- 但し、魚や鶏肉は結腸がんリスクの減少と関係していた…!
- 鶏肉・魚の摂取量と赤身肉の摂取量の比率は、結腸がんの発症率と特に強く関係していた…!
- 鶏肉・魚の摂取量と赤身肉の摂取量の比率が一番開いていたグループとそうでないグループの差は2.49倍も違った…!
- 果物からの食物繊維の摂取量が少ないと結腸がんのリスクがアップするように思われたが、この関係は肉の摂取量と統計的に有意な関係はなかった…!
とのこと。
やっぱりレッドミートや加工肉はガンリスクのアップと関係があったみたいですね~。それに対して、鶏肉(ホワイトミート)や魚はガンリスクがダウンしたみたい。
レッドミートで乳がんリスクはアップする…!一方でホワイトミート・魚は関係ない…!
1994年のニューヨーク大学の前向きコホート研究によると、肉や加工肉、動物性脂肪、タンパク質の摂取量と乳がんリスクの関係について調べてみたそうです。
この研究はニューヨーク市の住む女性14,291人を対象に行ったそうで、期間は1985~1991年だったそうな。具体的には自己アンケートに答えてもらったらしく、それで普段の食事頻度や最近の食事についてチェックしたらしい。
最後にアンケート結果を統計処理したそうで、結果は、
- 肉の摂取量が増えれば増えるほど乳がんリスクが明らかにアップしていた…!
- 肉の摂取量が一番多かったグループの女性と一番低かったグループの女性を比較してみると、乳がんリスクが1.87倍も高かった…!
- 総脂肪と動物性脂肪の摂取量が一番多かったグループの女性は乳がんリスクが緩やかに増加していた…!
- 動物性以外の脂肪やタンパク質、乳製品、鶏肉や魚は乳がんリスクと関係なかった…!
そうです。
やはりレッドミートは乳がんリスクとも関係があったみたいですが、一方でホワイトミート・魚は関係ないみたいですね。
赤身肉、特に加工肉で結腸がんリスクがアップする…!鶏肉・魚で結腸がんリスクがダウンする…!
2005年のアメリカがん協会の研究によると、肉と結腸がんの発症リスクについて調べてみたそうです。
この研究は、1982年+1992~1993年に肉の摂取量を報告したアメリカの21の州に住む148,610人の方(年齢50~74歳、中央値63歳)を対象に行ったもので、追跡期間は1992~1993年の登録の時から2001年8月31日までだったとのこと。
この期間に結腸がんになった方は1,667件だったそうで、そこから肉とガンの関係をチェックしていったそうな。
結果、
- 赤身肉と加工肉をたくさん摂取していた場合、年齢とカロリー摂取量を調整したら結腸がんリスクが高かった…!しかし、BMIや喫煙の有無などその他の変数を調整してみると関係がなかった…!
- 長期的な加工肉の摂取で結腸がんリスクがアップしていた…!
- 長期的な鶏肉や魚の摂取で結腸がんリスクがダウンしていた…!
とのこと。
こちらの研究でも結腸がんと赤身肉・加工肉は関係アリ…!鶏肉・魚は関係なし…!って感じですね。但し、やはり赤身肉のデメリットよりも加工肉のデメリットがかなり高そうですし、鶏肉・魚は逆に良い感じですな。
腎臓がんは全ての肉、赤身肉、加工肉だけでなく、鶏肉でも発症リスクがアップする…!
2007年のテュレーン大学の研究によると、いろんな肉と腎臓がんリスクの関係を調べるためメタ分析してみたそうです。まず研究者たちは肉と腎臓がんの先行研究をピックアップする為、MEDLINEやOvid、PubMedを使って検索しまくったそうです。結果、1966年~2006年の間に発表された肉と腎臓がんの研究が13件あったとのこと。これらをメタ分析してみたそうです。
すると、
- 肉の摂取量が多くなればなるほど、腎臓がんリスクがアップしていた…!
- 鶏肉と加工肉の摂取量が最も多かったグループの人たちは、最も少なかったグループの人たちに比べ、腎臓がんリスクが20%~22%も高かった…!
- 全ての肉の摂取量が多くなるほど、腎臓がんリスクが27%もアップしていた…!
- 赤身肉の摂取量が多くなるほど、腎臓がんリスクが30%もアップしていた…!
という感じだったらしい。
つまり、腎臓がんに関しては、全ての肉、赤身肉、加工肉だけでなく、鶏肉もダメだった…!ってことですね。う~ん…。残念…。
加工肉・ニトロソアミンで胃がんリスクがアップする…!
2006年のカロリンスカ研究所の研究によると、加工肉の摂取量・ニトロソアミンと胃がんの関係について調べてみたそうです。そもそも加工肉(ハムやベーコン、ソーセージなど)には、
が多く入っております。
更に発がん性のあるニトロソアミンってのも入っていることがよくあるそうな。一方で、加工肉の消費量は胃がんのリスクアップと関係があると先行研究で示されているんですよね。
では、ニトロソアミンと胃がんは関係あるのか…?ってことで今回調べてみたそうです。
まず研究者たちは、1914~1948年の間に生まれ、スウェーデンのウプサラ地域とヴェストマンランド地域に住んでいる全ての女性を対象に食事やアルコール、身長や体重、健康状態や学歴に関するアンケートを郵送してみたそうな。期間は1987~1990年の間でして、結果、90,303人のうち66,651人の女性から返信があったとのこと。
その後、1997年の秋に、まだ調査地域に住んでおり、亡くなっていない全ての女性に2回目のアンケートを郵送したらしい。このアンケートでは食事に関する情報プラス他のライフスタイル要因(喫煙を含む)のデータも収集したとのこと。こちらの期間は1998~2004年の間でして、結果、66,651人のうち39,227人の女性から返信があったそうです。
次に上記データから、登録ミスやヤバいぐらいカロリー摂取している人、過去にがんと診断された人なんかを除外していき、最終的に使えるデータを精査した結果、61,433人の女性が該当していたみたい。
つまり、女性61,433人を18年間追いかけた前向きコホート研究ですな。
因みに食事アンケートは毎度おなじみFFQ(67項目からなる食事アンケート)を用いたそうで、また、1997年の時は拡張型FFQ(96項目からなる食事アンケート)を使ってみたそうな。それと具体的な加工肉の種類についても見ておきましょう。
加工肉は、
- ベーコン
- サイドポーク(豚バラ肉スライスをそのまま焼いたもの)
- ソーセージ
- ホットドッグ
- ハム
- サラミ
って感じだったそうです。
気になる結果はこのようになっておりました。
- 18年間で胃がんになったケースは156件あった。
- 加工肉の消費量が多く、赤身肉や鶏肉、魚の消費量が少ない人は明らかに胃ガンリスクがアップしていた…!
とのこと。
やはり加工肉は胃がんになりやすいみたいですね~。
更に詳しく見てみますと、加工肉の摂取量が最も多いグループと最も少ないグループを比べると、
- 全ての加工肉では、66%も胃ガンリスクがアップしていた…!
- ベーコン・サイドポークでは、55%も胃ガンリスクがアップしていた…!
- ソーセージ・ホットドッグでは、50%も胃ガンリスクがアップしていた…!
- ハム・サラミでは、48%も胃ガンリスクがアップしていた…!
そうです。
どのような加工肉も食わん方が良さげですね…。
また、ニトロソアミンと胃がんリスクの関係については、
- N-ニトロソジメチルアミン(食品に最も良く含まれるニトロソアミン)の摂取量が最も多い上位グループは最も少ない下位グループに比べて、胃がんのリスクが約2倍(1.96倍)も高かった…!
とのこと。
つまり、加工肉とそれに含まれるニトロソアミンの両方とも胃ガンリスクを高めてしまうみたいです。
ニトロソアミンは肉を加熱するとできちゃう発がん物質なんで、やはり揚げ物はご法度。なんでベーコンを油で揚げるとかはヤバすぎるのでぜひ気を付けていきたいですな。
ニトロソアミンで大腸がんのリスクがアップする…!
1999年のフィンランド国立公衆衛生研究所の研究によると、硝酸塩、亜硝酸塩、ニトロソアミンと結腸がん・直腸がん(大腸がん)、胃がん等の関係について調べてみたそうです。この研究は、フィンランドに住む成人男女9,985人を対象にした前向きコホート研究でして、食事アンケートから硝酸塩や亜硝酸塩、ニトロソジメチルアミン(NDMA)の摂取量をチェックしたそうな。
早速結果を並べていきますとこんな感じ。
- 硝酸塩:1日の平均摂取量=77mg。91.9%が野菜から摂取していた。
- 亜硝酸塩:1日の平均摂取量=5.3mg。94.2%が塩漬け肉やソーセージ(つまり加工肉)から摂取していた。
- ニトロソジメチルアミン(NDMA):1日の平均摂取量=0.052μgで、推定したビールからの平均摂取量は0.071μgだった。また51.9%が塩漬けの魚、48.1%が塩漬け肉やソーセージ(加工肉)から摂取していた。
実験期間は1966~1972年にかけて開始され、終了したのが1990年なんで最長24年間の追跡調査を行ったみたい。
最後に集まったデータとがん登録をした人を見比べてみた結果、このようになったそうです。
- 189件の消化管がん(食道がん、胃がん、大腸がん)が確認された。
- ニトロソジメチルアミン(NDMA)の摂取量が多いと、結腸がん、直腸がんの発症率が2.12倍アップしていた…!
- 燻製や塩漬けの魚の摂取量が多いと、結腸がん、直腸がんの発症率がアップしていた…!
- 塩漬け肉の摂取量が多くなっても統計的な有意差はなかった…!
- 他の魚や肉の摂取量も同様で統計的な有意差はなかった…!
- ニトロソジメチルアミン(NDMA)の摂取量と頭頸部がん・胃がんに統計的な有意差はなかった…!
- 硝酸塩または亜硝酸塩の摂取量と消化管がんに統計的な有意差はなかった…!
つまり、ニトロソアミンは大腸がんのリスクをアップさせるみたいですな。
加工肉の種類によって違いが出たなど謎な部分も多いですが、前向きコホート研究なんで、まぁ、仕方ないでしょう。また、硝酸塩や亜硝酸塩についても野菜など未加工食品からの摂取と加工食品からの摂取で変わってくると思うこと、アンケートから推測した部分もあることなどを踏まえると、上記だけで、硝酸塩や亜硝酸塩の加工品は安全…!とは到底言えません。
実際、一酸化窒素に必要な硝酸塩や亜硝酸塩は葉物野菜やビーツ、レタスといったものに多く含まれておりますが、これらは食物繊維やカリウムが豊富な食べ物でもあるんで、デメリット以上にメリットが多いんですよね。
ということで、私はニトロソアミン(ニトロソジメチルアミンNDMA)を避けるのはもちろん、加工食品からの硝酸塩や亜硝酸塩も避けていきたいな~と思う次第です。カロリーの質に気を配るのはやっぱ基本かな~っと。