認知行動療法を一から学ぼう!その1「オリエンテーション・認知行動療法の多様性」
毎月恒例の月1社内研修が令和3年9月17日にありましたので、内容を備忘録としてブログに残しておきます。過去の社内研修内容を確認したい場合は下記からご覧ください。
認知行動療法を一から学ぼう…!(復習しよう…!)
去年(2020年)から今年にかけて、熊野宏昭先生がYouTubeにアップしている動画「認知行動療法の基礎と展開」を使い、認知行動療法を一から学んでおりました。そして、今年の5月に無事全ての視聴が終了したわけです。詳しくは「しせつちょうの社内研修」の「「認知行動療法の基礎と展開」シリーズ」の各リンクからご覧いただけたらと思います。んが、しかし、一度見ただけで、理解するのはもちろん、支援に活かしていくのはなかなか難しい事と思います。
そこで今回から、また1年ほどかけて、「認知行動療法の基礎と展開」の全12回分の動画の復習を行っていきます。動画でのポイントをまとめつつ、足りない部分を加筆していきますので、
- 動画ではよく分からなかった…。
- 動画のポイントを知りたい…!
- 認知行動療法を一から学びたい…!
- 認知行動療法を実践してみたい…!
って方は是非ご覧ください。
それと当事業所では、今回の社内研修から、実践報告をしてもらうことになりました。ただ聞いているだけでは、やっぱ、分からないことが多いんで、実際に自分や支援で行ってもらいたいんですよね(記憶にも残りやすくなりますし)。また、あっさりですが、実践報告書を書く練習も兼ねております。
因みに実践報告書の見本とフォーマットはこんな感じ↓
この2つはざっくり認知行動療法ってなに…?って話が出てきておりまして、まとめることができますんで、一緒にポイントを見ていきたいと思います。まずは、認知行動療法の概要を押さえよう…!って感じですね。
それと下記からは当時の社内研修の文章をそのまま使っている為、文章が言い切りの形となっております。ご了承ください。
では行きますね~。
1. 認知行動療法概要
認知行動療法(cognitive behavior therapy:CBT)とは、セルフケア(自分で自分をコントロールできるようになる)を促進し、習慣的な認知の歪み(行動パターン・思考パターン)を正す(変えていく)行動科学的治療法のことを言う。また、認知行動療法は、臨床心理学の介入法の一つであり、現実志向的治療法(ストレスマネジメント・生活面へのアプローチ)と一部の認知リハビリテーション(認知機能(注意力・集中力・ワーキングメモリ・実行機能)を鍛えること)が含まれる。認知行動療法はストレスに効くため、ストレスマネジメントの代表例としても挙げられる。認知行動療法には、認知行動療法、行動療法、認知療法、臨床行動分析といった種類がある。また東洋的治療法として、森田療法(あるがまま。ACTに近い考え)やマインドフルネス(今この時に集中する)などがある。
2. 認知行動療法が有効な場合
認知行動療法は、睡眠・食事・ストレス対策と何にでも効くが、特定の考え(思考)や行動パターンの治療に特に有効である。具体的には、
- 精神疾患や精神病(精神疾患と精神病では精神疾患の方がずっと重い場合を言う。精神病は精神疾患の中で幻覚・妄想が伴う場合(例:統合失調症))
- 気分障害(うつ病とか)
- 不安障がい
- 心身症
- 生活習慣病
- 行動異常・心因性疾患
- 機能的障がい(慢性疼痛(原因不明な頭痛や腹痛、腰痛など)
- パーソナリティ障がい(子どものまま大人になってしまった状態)。但し、治療はかなり大変で上手くいっても2,3年はかかる。認知行動療法はそこまで踏み込まない
などに効果がある。
3. うつ病を例にした現実志向的治療法と認知リハビリテーション
うつ病は生体リズムが狂う病気。つまり、うつ病の人は生活習慣が乱れ、生活習慣の乱れがうつ病を悪化させる。原因結果の関係が双方向にある。生活習慣が乱れている人は+20歳分年老いた状態(但し不可逆的でない)となる。更にうつ病の人は1点集中(シングルタスク)が苦手で集中力が分散(マルチタスク)しやすい。切り替えも苦手。結果、新聞が読めなくなる。反芻思考(ネガティブループ)が起きる。
因みに心配は不安障がい、反芻思考は気分障がい(うつ病)に関係しているが注意力を高めることで改善する。
狂った生体リズムのリセット方法は以下の通り。
- 光(太陽光・ブルーライト):日中しっかり陽の光を浴びて、夜はブルーライトを避けて寝る。
- 食事:決まった時間に3食食べる。
- リラクゼーションを貯める・ストレス対策を行う:現在のストレスには慢性ストレスが多い。ストレスが溜まるようにリラックスも貯められるのでリラクゼーションを毎日行う必要がある。具体的には腹式呼吸やヨガ、ジョギング、漸進的筋弛緩法など。ストレスを溜まりづらくし、リラックスを貯めるためにも習慣化は重要となる。
また、認知機能を高めるのにマインドフルネスが有効かもしれない。他にもいくつか方法がある。
4. ABC分析
ABC分析とは、行動療法と認知療法に共通しているアセスメント法。但し、注目している部分が違う。- 行動療法のABC分析:きっかけ(Antecedent)からターゲット行動(Behavior)を行い、結果(Consequence)が良ければ行動は増えるし、悪ければ行動は減る(癖や習慣が身に付いていく)これを見つけられると介入できる。因みに無意識でも起きる。動物でも起きる。代替行動を強化していくのがポイント。
- 認知療法のABC分析:活性化する出来事(Activating event)から思考パターン(Belief)が活性化されて、結果(Consequence)が起こる。認知の歪みから(思考パターンの処理が偏っていると)、抑うつ、不安がでてくる。結果、回避行動となる。認知の歪みを正す(認知を再構成する)のがポイント。極端な考え、ネガティブな考えをポジティブな考えに変えるのではなく、考え方の幅を広げるのが大事。
5. 第一世代(行動療法)
第一世代(行動療法)は、1940年代~1950年代にでてきた。基礎は学習理論。大きく分けてレスポンデント学習とオペラント学習がある。レスポンデント学習とはパブロフの犬のこと、オペラント学習は行動療法のABC分析のこと。この2つの学習は動物でも同じことが起きるぐらい強力。また、無自覚で起こるという怖さもある。認知問題を扱えない、セルフコントロールも十分に扱えない、実際とのギャップもあったため、第二世代へ。6. 第二世代(認知行動療法)
第二世代(認知行動療法)は、人間は動物と違い自分で予期、期待、信念、計画など考えて行動ができるので考え方(認知)が重要。認知療法のABC分析を使用したが現実的には多くの行動的技法を使用したため認知行動療法と呼ばれた。網羅的にアセスメントをする(片っ端から試す)ので、目の前の状況から行動療法、認知療法のどっちを使ったらいいのか、どう判断するのか基準がなく、難しかった。また基礎理論が欠如(基礎科学(認知心理学や認知科学)による十分な裏付けがない)しており、医学モデル(病気の診断をして共通の治療を行うこと)ではなく、個別性が重視されていたため、第三世代へ。7. 第三世代・新世代(認知行動療法)
第三世代・新世代(認知行動療法)は、行動療法的な認知行動療法、認知療法的な認知行動療法がある。認知の機能に注目し、更にマインドフルネスやアクセプタンスを導入した。認知も行動とみなして学習理論で説明していく(言語行動という)但し、外顕的行動と言語行動は全て同じではない。言語行動にしかない特徴がある。思考も行動療法の枠内で扱う治療法がでてきた。代表例はACT。更に認知のプロセス(メタ認知など)に注目するようになった。これらが合わさり第三世代の認知行動療法になった。個人的考察
今回は、初回の為、実践する内容が出てきませんので、研修内容の要旨をまとめてもらうこととしました。
次回から、色々出てきますんで、是非、自分や支援で実践し、結果を、実践報告書にまとめてみてください。
実践報告書の見本とフォーマットのダウンロードはこちらから…!
実践報告書の見本のPDFとフォーマットのPDF・Wordデータは下記からダウンロードできます。
もし、自分の事業所で使いたい…!って方はご活用ください。
参考文献
http://hikumano.umin.ac.jp/hosei/CBT1.pdf
http://hikumano.umin.ac.jp/hosei/CBT2.pdf
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