気持ちや見た目を若く保つ!は科学的に必要なのか?
いつまでも若々しくいよう…!
みたいなキャッチフレーズのCMを、健康食品会社か化粧品会社か忘れましたが、何かでみたことがあります。そして巷でも、気持ちや見た目を若く保つのが大事…!などという話を聞きますよね。
気持ちや見た目などが実年齢と健康、長寿にどのような影響があるのか…?
2010年のハーバード大学の研究によると、気持ちや見た目などが実年齢と健康、長寿にどのような影響があるのか調査したそうです。実験は5つ行われたそうで、結果をバーッと並べて行くとこんな感じ。
- 髪を染めたり、カットして若く見えるようにした女性(見た目を若々しくした人)は、血圧が低下した。更に、髪の部分を切り取って加工した写真を作成し、他人に評価してもらうと若く見られた。つまり、見た目の一部分を若く見えるようにしただけで、その部分が見えなくても、全体的に若く見られた。
- 服装は年齢を推測する手がかりになる。そのため、指定のユニフォーム(作業服)を着て仕事をする人は、その手がかりがない状態となる。つまり、服装は若く見えるための重要なポイントであり、老けて見られるポイントでもある。
- 髪の毛が薄くなることは年老いたと考えるきっかけになる。そのため、髪の毛が薄い男性は、自分を見ると、年老いた自分を見ることになるので、いっそう、老け込むスピードが上がる。つまり、年を取る→髪が寂しくなる→その自分を見て更に老けるという負のスパイラルが発動する。更に、若くして薄毛に悩む男性は、そうでない男性に比べ、前立腺がんや冠状動脈性心疾患になるリスクが高くなるんだとか。
- 年配で子どもを産む女性は、若い時期に子どもを産む女性に比べ、平均余命が長くなる傾向がある。これは年を取ってからも若い人(子ども)と一緒に暮らすため、気持ちが若いままでいられるからとのこと。つまり、仕事やプライベートで若い人に囲まれると寿命が延びる可能性がある。
- 配偶者の年齢差が大きいとそれぞれの寿命に影響があるとのこと。具体的には、配偶者のうち、若い方の方は短命の可能性が高くなり、年配の配偶者は長生きする傾向があるそう。つまり、年齢差が激しい人同士が常に一緒にいる場合、若者は短命に、年配者は長寿になる。
また、上記研究者のエレン・ランガー教授の「ハーバード大学教授が語る「老い」に負けない生き方」の書籍にある1979年の研究によると、70代から80代の男女に、20年前の服を着てもらい、当時の映画や音楽を観てもらったそうです。結果、1週間で認識能力が改善、全身の炎症も減り、運動機能まで復活したとのこと。
70代、80代のおじいちゃんおばあちゃんに、気持ちや見た目を若々しくいてもらうってのも重要みたいですねー。
実年齢と気持ちの年齢を聞いて、8年後どうなったかというと…。
2015年のユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究によると、52歳以上の男女6,489人に協力をお願いし、自分が実年齢からみて若いと思うか老いていると思うか…?について聞いてみたらしい。参加者の実際の平均年齢は65.8歳だったそうですが、気持ちの平均年齢は56.8歳だったとのこと。つまり、平均的に見たら、皆、実年齢より9歳程若いと思っていたみたい。更に内訳を見てみると、
- 69.6%の人が、実年齢より3歳以上若いと感じた
- 25.6%の人が、実年齢と同じぐらいだと感じた
- 4.8%の人が、実年齢より1歳以上老けていると感じた
そうです。実に7割の人が実年齢より若い…!と思っているんですね~。
んで、その後、平均で99ヶ月間の追跡調査をしたそうです。つまり、前向きコホート研究ですね。
んで、追跡期間中に亡くなった方をざっくり並べると、
- 実年齢より若いと感じた:14.3%
- 実年齢と同じぐらいだと感じた:18.5%
- 実年齢より老けていると感じた:24.6%
とのこと。
また、追跡調査をした8年間の変数を調整しても、実年齢より老けていると感じた人の方が、実年齢より若いと感じた人よりも死亡率が41%も高かったそうです。
そして、実年齢より若いと感じた人は、心血管疾患の死亡リスクが下がる傾向にあったんだとか。因みにガンの発症率は変わらなかったそう。
理由については、
- 実年齢より私は若い…!と思う
- からこそ、意識して健康的に過ごす
- 更に自分より若い友人を作るし、活動的に動き回る、遊ぶ
- 結果、本当に寿命が延びる…!
って感じらしい。
確かにこれらは非常に分かる話ですな~。
個人的考察
ということで、実年齢より私は若い…!と思いつつ、見た目を意識して変えることで、実際に健康・長寿になりそうな感じ。
これを見て思ったのが、高齢者施設等でおばあちゃんの髪にパーマをしてあげたり、化粧をしてあげると元気になる…!って話がありますが、あれはエビデンスのある良い方法なんだろうなーと感じました。
これを見て思ったのが、高齢者施設等でおばあちゃんの髪にパーマをしてあげたり、化粧をしてあげると元気になる…!って話がありますが、あれはエビデンスのある良い方法なんだろうなーと感じました。
私は高齢者施設の職員ではないので残念ながら実践できないのですが、特養等で働かれている方々には、是非、化粧療法(メイクセラピー)を積極的に取り入れて行くことをおすすめしたいですね~。
参考文献
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1745691610388762
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2020288
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/tyojyu-biyo/kesho-oshare-kenko.html
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2020288
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/tyojyu-biyo/kesho-oshare-kenko.html
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