恥と罪悪感との違いと良い罪悪感・悪い罪悪感のお話
ブレネー・ブラウン教授のTED動画をご紹介した際に、恥と罪悪感との違いについての内容がありました。軽く復習しておくと、恥(羞恥心)と罪悪感の違いは、自分自身に注目するか、行為に注目するかという違いがあります。
恥は、
- 私が悪い
- ごめんなさい。私みたいな人間は間違いです
というように、恥は自分自分に対して焦点を合わせます。
それに対して、罪悪感は、
- 私は悪いことをした
- ごめんなさい。私の間違いです
というように、罪悪感は自分の行為に焦点を合わせます。
この似て非なる恥と罪悪感は、大きく違うとブラウン教授も申されておりまして、恥は、依存症・うつ症状・暴力・攻撃性・いじめ・自殺・摂食障害と高い相関性(関係性)があるとのことです。つまり、恥をかきたくないという気持ちからの回避行動(体験の回避)として、上記のような行動や思考に陥ってしまうってことですね。
一方で、罪悪感は上記問題と逆相関しているそうです。つまり、罪悪感を持つことは、間違いや失敗を悔い改め、常に意識し、ありたい自分の姿と比較する力となるみたいですね。
2014年のジョージ・メイソン大学の縦断研究(前向きコホート研究)によると、刑務所に収容された直後の476人を対象に、恥や罪悪感をどれぐらい感じやすいか調べたそうです。そして、釈放されてから1年後に参加者332人にインタビューしたそうな。更に446人の逮捕記録(再犯していないか)も調べたとのこと。
んで、結果が、
- 罪悪感を感じていた人は、釈放後、1年目の再犯率が低かった…!
- 恥を感じていた人は、再犯率が上がっていた…!
そうです。
更に罪悪感を細かく見ていくと、自分の行為に対する罪悪感(例:私の行動で悪いことをしたなど)のみ再犯率を減らす効果を高めてくれたそうです。
それに対して、
- 想像の罪悪感(例:あいつを殺してやれと思っただけで、実際殺したこととイコールになるような罪悪感を持つこと。強迫性障害(OCD)の人が多く持ちやすい。更に詳しく知りたい方は、メタ認知療法のネガティブなメタ認知的信念をご覧ください)
- 非合理な罪悪感(例:他人の不幸を願ったら本当になったなど)
- 不足の罪悪感(例:感謝が足りないと思うなど)
- 比較の罪悪感(例:自分は他人より幸せでいいのだろうか…?など)
のような罪悪感は、恥と同じぐらい幸福度をダウンさせる可能性が高いそうです。
以上から研究者は、自分の行為に対する罪悪感は役立つ感情である。自分の間違いは改善するモチベーションを上げてくれるからだ。一方で、恥の感情を持つことは、逃げ隠れや否定する気持ち、他人を非難することに意識を持っていくことになる、ということです。
ブラウン教授のTEDトーク内容と同じ結果になったということですね~。
個人的考察
ということで、恥を持たず、自分の行為に対する罪悪感を持とう…!というお話でした。
罪悪感を持ちやすい人は、他人への共感力が高い人が多いそうで、それもあって再犯率が下がるみたいですね。他にも罪悪感は、リフレーミングすると結構役立ちそうなんで、持ちやすい方は強みとして活かすことをおすすめしたいです。それと、自分の行為に対する罪悪感は一番良い謝り方でもあるみたいなんで、他者にも伝わりやすい感情表現方法なのかもしれませんねー。