【まとめ】幸福追求は不幸や孤独になる!ではどうすべきか?
皆さんは自分の幸せをどれぐらい重視して考えていますか…?
当ブログでは幸福・幸せについての研究をいくつかご紹介しております。
例えば、
などですね。
まぁ、幸せになりたいかと言われれば、皆さんなりたいでしょう。
しかし、ちょっと待ってください…!もし、幸福追求の虜になってしまうとそれは不幸や孤独への第一歩になってしまうみたいなんです…!
幸せを追い求めると孤独になる…!
2012年のデンバー大学の研究によると、幸せを追い求めるとどうなるのか…?について調べてみたそうです。この研究は全部で2つ実験を行ったとのこと。一つ目の実験では、参加者320人を対象に、普段、どれぐらい幸福を意識し、追い求めているか…?についてアンケートを実施し、その後、2週間にわたって日記を書いてもらったそうです。最後に日記をチェックし、実際に幸せだったかを評価したそうな。
結果、幸福を意識し、追求している人ほど、日常的に孤独を感じやすかったそうです。
二つ目の実験では、参加者に、幸福だと社会的に成功する…!のような幸福だと良い事がある記事を読んでもらったそうな。これは参加者に幸福を評価するように誘導したってことみたいです。そして、アンケートを実施してみると、比較的大きな孤独感を感じてしまったそうです。更に、プロゲステロン(親密さを感じると増えるホルモン)のホルモン指数を測定してみたら下がっていたんだとか。
二つの結果から研究者曰く、これらの発見は、幸せになりたいと思うと人々が孤独になる可能性があることを示唆している、とのこと。つまり、幸せを追い求める程、孤独になる…!ってことですね。
因みになんでこういったことになってしまうのかというと、自分の幸福ばかりに意識がいってしまい、他人に気が回らなくなるからなんだとか。まぁ、自分の幸福や利益追求ばかり考えていれば、当然、他人に対して考える余裕がなくなりますんで、孤独になっていきますよねー。
ポジティブな影響は幸福になるし成功する…!
2005年のカリフォルニア大学リバーサイド校の研究によると、多くの研究では、幸せな人は、結婚や友達、収入、仕事のパフォーマンス、健康など複数の項目で成功しているけど、これって、幸せと成功がリンクしているだけじゃなくて、ポジティブな影響(幸福の要因)が幸福や成功を生む可能性もあるよねーってことを調べたそうです。
すると、研究者の想像通り、ポジティブな影響(幸福の特徴)は、幸福になりやすかったとのこと。
つまり、
- ポジティブな影響(幸福の特徴)→幸福になる→成功する→幸福になる…!
って感じみたい。
更に幸せな人ほど、人間関係が良くて、メンタルも安定していたそうな。
う~ん。上記と合わせて考えると、難しいですねー。
幸せは追い求めれば追い求めるほど逃げていく…!幸せパラドックスの恐怖と対策
2011年のデンバー大学などの研究によると、幸せを追い求めると、本当に幸せになれるのか調べてみたそうです。
そもそも、幸せなことが非常に重要なのは皆さんご存知の通りですが、じゃあ今自分が幸せかどうかを重視することにメリットはあるのか…?ってのが今回のポイントになります。
普通に考えたら、常に自分が今幸せかどうかを重視した方がもっと幸せになろうというモチベーションなどが湧きそうですが、研究者はその逆で、幸福について重視すればするほど、逆に自分は不幸だと感じることが多くなってしまうと考えたみたいなんですよね。
この仮説が正しいのか2つの実験で調べたそうで、まずは一つ目の実験から見ていきます。
実験1
最初の実験では、個人が幸福を重視するのが実際の幸福と関係しているのか調べてみたそうです。今回実験に参加したのは59人の女性(平均年齢37.6歳)で、過去6か月以内に高ストレスがかかる出来事があった方のみを選んだらしい。高ストレスがかかる出来事ってのは、生活に重大な悪影響を及ぼす事が明らかなイベントって定義にしたそうで、例えば、離婚や自傷行為、家族のケガや死亡、突然の失業などとのこと。
また、参加者の家庭の経済状況は様々で、年収10,000ドル未満~年収50,000ドル以上の範囲だったそうな。因みに学歴も様々で高卒から大学院卒の人までいたとのこと。
んで、参加者全員に、普段どれぐらい幸せについて重視しているか…?を聞いてみつつ、過去18か月間に経験した生活ストレスレベルを評価(7段階から選ぶ形式のもの)してもらったそうです。
最後に全員のデータを照らし合わせて、
- ポジティブ度とネガティブ度の比率
- 主観的な幸福度
- 心理的な幸福度
- うつ病の症状
なんかを見てみたということでした。
結果は、
- 自分の幸せ度を重視すると、ポジティブ度とネガティブ度の比率の低下、心理的幸福の低下、人生への満足度の低下、抑うつ症状レベルの上昇が起こっていた…!
- 生活ストレスが低く、幸福を重視している人ほど、ポジティブ度とネガティブ度の比率、心理的幸福、生活への満足度、うつ症状が低下していた…!
とのこと。
この結果に研究者曰く、
- 幸福を重視することは、必ずしもより大きな幸福を得る訳ではない事を示している
としています。
実験2
2つ目の実験では、幸福の因果関係について調べてみたそうです。具体的には、研究者が参加者の幸福の重視度を意図的に操作して、ポジティブ又はネガティブな感情を誘導し、それに対する参加者の感情の反応、幸福の重視度を見てみたとのこと。実験2は70人の女性(平均年齢21.1歳)が参加したのですが一人除外され、結果、サンプル数は69人になったそうです。
実験の前半の流れについてはこんな感じ。
- まず参加者全員に、この実験は「テレビ番組」についての研究ですとだけ伝えられる。
- 次に、参加者全員の感情をニュートラルにするため、2分間の動画を視聴してもらう。
- その後、参加者を「幸福を重視するようにしたグループ」又は対照群(コントロール群)のどちらかにランダムに振り分けた。
各グループには以下の文章(偽の新聞記事)を読んでもらったそうです。
- 幸福を重視するようにしたグループ:幸福度が普通より高いと報告した人は、社会関係、仕事の成功、健康的だという傾向があった。つまり、幸せは気分が良くなるだけでなく、他にも重要なメリットをもたらしている。幸せな人や、すぐに幸せを感じることができる人ほど、成功し、健康になり、人気者になれる可能性が高い。(中略)実際、最近の調査によると、最大の幸福を達成できる人(中略)は、長期的にメリットを得ることができるとのこと。
- 対照群:正確な判断能力が普通より高いと報告した人は、社会関係、仕事の成功、健康的だという傾向があった。つまり、正確な判断能力は気分が良くなるだけでなく、他にも重要なメリットをもたらしている。正確な判断ができる人や、すぐに正確な判断ができる人ほど、成功し、健康になり、人気者になれる可能性が高い。(中略)実際、最近の調査によると、正確な判断ができる人(中略)は、長期的にメリットを得ることができるとのこと。
つまり、「幸福」と「正確な判断能力・正確な判断」以外同じ文章を読んでもらったってことですね。
これで参加者は、幸福を重視する人たちと、そうでない人たちになった感じです。
幸福感の操作が完了したところで、以下の2グループにランダムに振り分けたそうです。
- 2分間の幸せ動画を視聴する。内容は、金メダルをとった人気の女子フィギュアスケート選手に観客が熱狂、選手がコーチと一緒に喜んでいる動画。
- 2分間の悲しい動画を視聴する。内容は、愛人とダンスの夜遊びをしているときに妻が突然死、夫が誰もいない家に帰ったところで終わる動画。
つまり、全部で4グループがいる訳でしてまとめておきますと、
- 幸福を重視するようにしたグループ+幸せ動画
- 幸福を重視するようにしたグループ+悲しい動画
- 対照群+幸せ動画
- 対照群+悲しい動画
って感じですな。
これで因果関係を確かめたのがこの実験のキモとなります。
動画視聴後は、感情状態の測定のため、ポジティブ度とネガティブ度を1~9で評価してもらったとのこと。
結果はこんな感じとなりました。
- 幸せを重視すると、幸せ度が減少する可能性があった…!
- 幸福を重視するようにしたグループは対照群と比較して、幸せ動画で幸せな感情が湧きあがりづらかった…!
- 幸福を重視するようにしたグループは対照群と比較して、悲しい動画で幸せな感情が湧きあがりづらかった…!
- 感情の反応に対する幸福の重視の効果は、自分自身の感情に失望することによって起こっていた…!
とのこと。
この結果に研究者曰く、
- これらの調査結果は幸福を重視すると人々が失望するようになり、幸福度が低下するという考えと一致している
としています。
以上、2つの実験のまとめとしてはこんな感じとなりました。
- 幸福を重視すると不幸になる可能性がある…!
- 幸福をより重視するように誘導したら幸福を感じなくなっていた…!
- この効果はポジティブな感情の時にみられた…!
- しかしネガティブな感情の時には見られなかった…!
- ポジティブなときは幸福への期待感が強く、幸せになれない原因を受け入れられない。結果、自分の幸福度に失望してしまう…!
幸福を重視すると幸福度が低下する…!ってことですね。う~ん…。まさに幸せのパラドックスですな…。
因みに研究者は対策として、
- 自分の幸せ以外の何かに心を向けている人だけが幸せです
ということもおっしゃっておりました。
幸せかどうかなんて考えない人ほど、幸せってことですね。
上記を見ていると、幸福=ポジティブという考え方を持っている人は危ないのかな~と思いました。
苦痛や苦労したときほど達成感がある…!ではないですが、本当の幸福とはかなり幅広い概念で捉えて総合点で出せるのが大事なのかな~と…。
一喜一憂するのではなく、ポジティブ・ネガティブ・幸不幸全てを受け入れて、その上で大変だったけど楽しかった…!って後から思えるのが、本当の幸福なのかもしれませんね。
行動経済学者ダン・アリエリー教授から学ぶ「幸福追求の3つの問題と2つの実験」
というのも意図的に幸福度を最大化しようとしても必ずしも幸福になるとは限らないのですが、にもかかわらず、人間は幸福追求をしていくべきである…!という誤った解釈が世の中に結構広まっているんだとか。これは分かりますね~。
そこでアリエリー教授たちは、そもそも幸せを追い求めることに3つの問題がある事、2つの実験(ラボと屋外調査)を行い、幸せになろうとすることで本当に幸福になるのかを調べたらしい。
ではまずその3つの問題ってのから見ていきますかー。
問題1:幸福の誤った考え方
一つ目の問題は、何が幸福をもたらす可能性があるかについて、人々は誤った考え方を持っているそうです。
例えば、年収や社会的地位の向上は、すればするほど青天井に幸福も増えて行くと思っている人は意外と多いそうです(実際は年収が75,000ドル(≒830万円)ぐらいが天井)。確かに始めのうちは、年収が増えたり昇進したりすると、幸福度はアップするかもしれません。しかし快楽適応によってすぐにその状況に慣れてしまいます。
するとどうでしょう。一度年収アップや昇進等で良い思いを経験しているが故に、もっと年収を上げたい…!、もっと偉くなりたい…!となってしまい、際限がなくなってしまうのです。そしてこれがいつの間にか習慣として身に付いてしまう可能性もあります。こうなるといつまでたっても満足できない、つまり幸福にはなれないことになってしまうのです。
また過去の研究によれば、お金を幸せの第一目標にした人は、物欲を重視しない人よりも最終的に幸福度が低いことがわかっているそうです。更に幸福度がダウンするだけでなく、自己実現の低下、不安やうつ病の増加なども起こるそうです。全然幸せじゃないですね。
逆に富以外の目標、例えば心理的成長や家庭の満足度アップなんかを掲げた人は、そのような傾向になることは少なかったそうです。
問題2:幸せの目標・目的がいつの間にか変わってしまう
二つ目の問題は、幸福追求を行っていくうちに、人々はその活動自体が目的ではなくなってしまい、いつの間にか別の目的のために幸福を得る手段となる可能性があるそうです。
例えば、趣味として楽しく活動をしているときは幸福度が高いけど、その活動が仕事になったとたんに、もっと報酬が欲しい…!となってしまい、結果、楽しさが減り幸福度もダウンする…!みたいな状況のことです。ゲームをしているうちは楽しいけど、やるのが義務になったらつまらんくなるのと似てますな。
問題3:幸せになったかどうか見直すことが多くなる
三つ目の問題は、幸せかどうかを定期的に見直すことが多くなるとのことです。
この定期的な幸せチェックは何が問題なのかと言いますと、例えば、活動自体に夢中になる事が減ったり、小さな幸せを感じ辛くなったり、達成したことのない目標に対して好ましくない比較をしてしまったりなどが起こるらしい。これもなんだか分かりますねー。
ということで幸福追求の3つの問題でした。
続いて、幸せになろうとすることで本当に幸福になるのかを調べた2つの実験を見ていきましょう…!
実験1:モニタリングと幸福感の影響
最初の実験は、音楽を聴くことから得られる幸福感に対して、モニタリングをした場合どうなるのか調べてみたそうです。
具体的にはまず参加者全員の幸福度をチェックし、続いて以下の4グループに分けて音楽を聴いてもらったらしい。
- 何も指示なし(対照群)
- 音楽を聴いて幸せになるよう努力してもらう
- 音楽を聴きつつ、常に今自分は幸せかをチェックしてもらう
- 音楽を聴いて幸せになるよう努力しつつ、常に今自分は幸せかをチェックしてもらう
音楽を聴いてもらった後、参加者全員の幸福度を再度チェックし、聴く前と後で変化があったか比較してみたそうです。
結果、
- 常に今自分は幸せかをチェックしてもらうと、幸福度が大幅に下がっていた…!
- 幸せになるよう努力してもらうと、気分が低下、楽しさも下がってしまった…!
とのこと。
つまり、幸せになるよう努力したり、幸せかどうか気にし過ぎると反って幸せじゃなくなる…!ってことですね。皮肉ですな~。
実験2:幸福になるだろうという期待と実際の幸福感の影響
次の実験は、楽しい時間を過ごすために最大限努力した人は、本当に最大限楽しめて幸せになるのか…?について調べてみたそうです。今回、上記を調べるためにアリエリー教授が目を付けたのが大晦日だったそうです。なんでも、大晦日のお祝いほど幸福を最大化するという分かりやすい機会はほとんどないとのことで、更にこの時の新年がちょうど2000年になるときだったらしく、まさに絶好のチャンスだったそうな。そこで、新年のお祝いで楽しい時間を過ごすために努力をした人と、それほど気にしていない人を比べて調べてみよう…!となったそうです。
今回実験に参加してくれたのは475名だったそうで、まず始めに1999年12月の最後の週にメールを送ってWebサイトでいくつかの質問に答えてもらえるよう依頼したらしい。
質問の内容はというと、
- 大晦日の予定はどのようになっているか…?
- 大晦日のお祝いはどれぐらいの規模で計画しているか…?
- 大晦日をどれだけ楽しめると思っているか…?
- 大晦日のお祝いにどれだけの時間やお金を費やすか…?
なんかを聞いたそうな。
その後、実際に大晦日でどれだけ楽しんだかについて聞いてみたそうです。
最後にデータを比較したところ、このような結果になったそうです。
- 大晦日を楽しめるよう努力した83%の参加者は、実際の大晦日のお祝いを楽しむことが出来なかった(10点満点で平均1.62点しか楽しめなかったと回答)
- 盛大な大晦日のお祝いだろうと思っていた人は、最も期待外れになったと回答していた…!
- こじんまりとした大晦日のお祝いだろうと思っていた人は、ちょっと期待外れだったと回答していた…!
- 全く期待できない大晦日のお祝いだろうと思っていた人は、まぁまぁだったと回答していた…!
- 大晦日のお祝いに費やした時間やかかったお金が多い程、逆に不幸になる可能性が高かった…!
つまりこの実験から何が言えるのかと言いますと、
- 高い幸福感への期待は失望につながる可能性がある…!
- イベントに時間と労力、お金を費やすと逆に不満が高まる可能性がある…!
ってことですな。
期待しすぎてギャップで興ざめしちゃうとか、こんなに時間とお金をかけたのにこんなもんかーみたいな感じですね。これはありそうだなー。
実験1,2のまとめ
2つの実験から、- 幸せになるよう努力する
- 常に今自分は幸せかを気にする
- すごい幸せになれると期待する
のような行動をとると、裏目に出る可能性が高そうです。
そして、幸福の追求には深刻なパラドックスが存在するとおっしゃっておりました。皆幸せになりたい…!と思うけど、そのために行動したり、気にしたり、期待するとどんどん幸せから遠ざかっていくってことですね。
ではどうしたらいいのか…?ってことで対策としてアリエリー教授はこのような方法を提案しておられました。
う~ん。
適切なタイミングってのがイマイチ分からんので、やっぱ幸福かどうかは気にせず過ごした方が幸せそうですね~。
ではどうすべきか…?
なんとも難しいケースですが、ポイントなのは結果的に幸福を感じた…!ってのを目指すと良いみたいです。
どういうことかというと、
- 幸福になる…!を最初から目標にして動くと、孤独になって不幸に…。
- 何かポジティブな影響、つまり、自分にとって夢中になれる楽しい事や達成感を味わえることをやっていて、結果的に幸福感を感じると、人間関係やメンタルが良い感じになる…!
と言うことです。
つまり、幸せは後からついてくるものであり、最初から追い求める物ではない、むしろ追い求めると、遠ざかっていくってことですねー。
個人的考察
幸福を追い求めず、まずは自分が行って楽しい事や夢中になれることをしよう…!って話でした。そうすれば、あるとき振り返ってみると、自分って結構幸せだよな~と思えるようになっているみたいです。