皆さんは、筋トレ後のゴールデンタイムってのをご存知ですか…?
ゴールデンタイムは、筋トレ後のタンパク質が吸収されやすくなっている時間のことで、この間にプロテインを飲むと筋肉が効率よくつくと言われているんですよね。余談ですが、ジムなんか行くとトレーニング後にプロテインをすぐ飲んでいる方がいますが、あれはゴールデンタイムを意識しております。
そしてゴールデンタイムは筋トレ直後しかないとか、30分以内だ…!とか、いいや45分以内でしょ…!とか、1時間以内かな~とか…。まぁ、色々言われていてバラバラなんですよね。
ということで今回は、結局、筋トレ後のプロテインを飲むタイミングはいつがベストなのか…?について考えてみたいと思います。



筋トレ直後にプロテインを飲んだ方が筋肉がつきやすく、筋力もアップしやすい…!

まずは、ゴールデンタイムを支持する研究を見ていきます。
2006年のビクトリア大学RCT・単盲検によると、筋トレ前後にプロテインを飲むと筋肉がより大きく成長すると言われているけど、これって1日の他の時間に飲んだ時と比較して、より大きな筋肥大や筋力アップをもたらすのか…?を調べてみたそうです。
この研究は男性ボディービルダーの方23名が参加し、筋トレをした上で以下の2グループにランダムに振り分けたそうな。

  1. 筋トレの直前と直後に、体重(kg)×ホエイプロテインアイソレート1g(100g当たり、タンパク質40g・糖質43g・クレアチン7g)を飲んでもらう
  2. 朝と夕方に、体重(kg)×ホエイプロテインアイソレート1g(100g当たり、タンパク質40g・糖質43g・クレアチン7g)を飲んでもらう

期間は10週間だったとのこと。
結果、筋トレの直前と直後に飲んだ方が、

  • 除脂肪体重と1RMが大幅にアップした…!
  • 筋トレ後の筋肉のクレアチンとグリコーゲンの値も高くなっていた…!

そうです。
また、筋線維タイプII(筋力・筋瞬発力)は、タンパク質の含有量が多い程、より大きく増加していたそうで、こちらはタンパク質の摂取量がポイントみたい。
この結果をみると、プロテインを飲むタイミングは筋トレ前後が良い…!ってことになるんですが、気になるのがAST Sports Scienceってところから研究費をもらい実験を行ったってところ。以前に書いた通り、パトロンに有利な結果を出したくなっちゃうのが人間なんでここは少しマイナスポイントですね…。



ゴールデンタイムでタンパク質合成スピードが3倍アップ…!

2001年のヴァンダービルト大学の研究によると、運動後の栄養摂取のタイミングについて調べてみたそうです。
この研究は10名の方が2回、実験に参加しておりまして、まず初めに全員に60分間、中程度の運動をしてもらったみたい。次にプロテイン(タンパク質10g・糖質8g・脂肪3g)を運動直後又は運動から3時間後に飲んでもらったそうな。
結果、

  • グルコースの取り込みと利用について運動直後の場合は、3倍アップした…!
  • グルコースの取り込みと利用について運動から3時間後の場合は、44%アップした…!
  • アミノ酸について運動直後はしっかり体に取り込まれたが、運動から3時間後ではうまく取り込まれなかった…!
  • タンパク質の分解について違いはなかった…。
  • タンパク質合成スピードについて運動直後の場合は、3倍アップした…!
  • タンパク質合成スピードについて運動から3時間後の場合は、12%アップした…!

とのこと。
つまり、プロテインは運動後すぐに飲むべし…!という感じだったみたい。しかも効果が通常の3倍アップっていうんだからすごいですよね。
但し、こちらもサンプル数が10名と少ない為、これだけの結果でゴールデンタイムを支持するのは何とも心もとないですね~。決め手に欠けると申しますか…。



筋トレの直前に飲もうが、筋トレの5時間後に飲もうが同じように筋肉は成長しそう…!

次に、ゴールデンタイムを支持しない研究を見ていきたいと思います。
2009年のタルトゥ大学RCT・クロスオーバーデザインによると、カゼインベースのプロテインは、時間を分割して飲んだ方が、筋トレ直前に飲むより効果的なのではないか…?という仮説が正しいか調べてみたそうです。
この研究は、18〜19歳の男性13人を対象に行ったそうで、8週間の筋トレ期間中に時間を変えてプロテインを飲んでもらったみたい。因みにプロテイン摂取の時間については以下の2パターンを用意したみたいです。

  1. 直前摂取グループ:午前と午後の筋トレの直前にプロテインを飲む
  2. 時間分割グループ:1回目は朝にプロテインを飲む。2回目は筋トレの5時間後の夕方にプロテインを飲む

1日のプロテイン総摂取量は、タンパク質約70g(カゼイン82%)+1g未満の炭水化物&脂肪だったそうなんで、1回35gのプロテインを飲んでいた計算になりますね。
また期間中、体重や体組成(二重X線吸収法で調べた)、ベンチプレススクワット1RMも合わせてチェックしていたらしい。
では結果を見てみましょうか…。

  • ベンチプレスの1RMは、筋トレ+直前摂取が9.4%、筋トレ+時間分割摂取が7.2%アップした…!
  • スクワットの1RMは、筋トレ+直前摂取が10.7%、筋トレ+時間分割摂取が17.8%アップした…!
  • つまり補給のタイミングによって違いはなかった…。
  • 時間分割グループは、筋肉量が1.1kg増えていた…!
  • 直前摂取グループは、筋肉量の変化が見られなかった…。
  • スクワットの1RMの増加と時間分割グループの筋肉量の増加は関係があった…!

う~ん。
これをみると、筋トレの直前に飲もうが、筋トレの5時間後に飲もうが同じように筋肉は成長してくれそうですねー。



筋トレ1~3時間後は同じように筋肉は成長する…!

2000年のテキサス大学の研究によると、筋トレ後に摂取時間を変えて必須アミノ酸と炭水化物を含む飲み物を飲んでもらい、効果に違いが出るのか調べてみたそうです。
この研究は男女6名(男性3名、女性3名)を対象にして行われたそうで、以下のタイミングでランダムに振り分けてどちらかのドリンクを飲んでもらったそうな。

  1. 筋トレの1時間後に特性ドリンク(必須アミノ酸6g+スクロース35g)又はプラセボドリンクを飲んでもらう。
  2. 筋トレの3時間後に特性ドリンク(必須アミノ酸6g+スクロース35g)又はプラセボドリンクを飲んでもらう。

結果、

  • 筋トレ1時間後又は3時間後に特性ドリンクを飲むとタンパク質合成スピードがアップしていた…!
  • 筋トレ1時間後又は3時間後にプラセボドリンクを飲んでもタンパク質合成スピードは変わらなかった…。
  • 特性ドリンクは筋トレ1時間後に飲もうが3時間後に飲もうが結果は変わらなかった…!
  • 筋肉の分解スピードは飲み物によって変わることはなかった…。

ってことで、筋トレ1~3時間後は同じように筋肉は成長するみたいです。


以上を見ると、ゴールデンタイムは非常に長い時間(1~3時間、下手したら5時間)ということに…。つまり、ゴールデンタイムって騒ぐほど時間に固執する必要はないようにも見えます…。少なくとも、ゴールデンタイムは確立された確かな効果がある…!とは申し上げられない感じですね~。



結局プロテインを飲むタイミングはいつがベストなのか…?

最後に、一番大事なのは本当に飲む時間なのか…?ってことについてみていきましょう。
国際スポーツ栄養学会(ISSN)誌に掲載された2013年のリーマンカレッジの研究によると、運動後の筋力アップ、筋肥大アップにプロテイン(タンパク質)が重要なのは分かっているけど、摂取タイミングは研究によってバラバラだから、ランダム化比較試験のメタ分析を用いて、ベストなプロテインの摂取タイミングを調べてみよう…!となったそうです。
筋力アップについては20件の研究をピックアップ、延べ参加者は478人だったとのこと。また、筋肥大アップについては23件の研究をピックアップ、延べ参加者は525人だったそうな。
結果、プロテインの摂取タイミングの違いによって分かったことは、

  • 単純な統計処理だと、筋肥大アップは小~中程度の違いがあった…!しかし、筋力アップは特に違いがみられなかった…。
  • 完全なメタ分析による統計処理だと、筋力アップ、筋肥大アップ共に違いがなかった…。
  • 縮小版の統計処理でも、筋力アップ、筋肥大アップ共に違いはなく、完全なメタ分析による統計処理との有意差はなかった…。
  • 筋肥大アップについては、総タンパク質摂取量が最も大事だった…!

そうです。
更に細かく結果を見てみると、

  • 筋トレ後、1時間以内にプロテインを摂取する必要はなかった…!
  • 但し、研究によって摂取タイミングはかなりばらつきがあり2時間後ということもあれば、4〜6時間後という研究もあった。そのため、メタ分析でまとめて結論を出すのは困難だった…。
  • 筋トレ後に栄養摂取が捗るのは間違いない…!
  • 参加者の平均タンパク質摂取量は、1日のタンパク質摂取量(g)=体重(kg)×タンパク質1.66g(≒1.6g)だった…!

とのこと。
つまり、まとめると、

  • 筋力アップ・筋肥大アップにプロテインの摂取タイミングは関係ない…!
  • 摂取タイミングは、筋トレ後6時間以内であればOKっぽい…!
  • 最も大事なのは摂取タイミングではなく、総タンパク質摂取量…!
  • やっぱりベストな摂取量は、1日のタンパク質摂取量(g)=体重(kg)×タンパク質1.6g…!

という感じになりましょうか。
ゴールデンタイムとはなんだったのか…。
まぁ、研究者曰く、これらの研究のメリットは日ごろ筋トレをしていない参加者を対象としているため、筋肉量アップの大部分は、タンパク質摂取の影響が大きいだろう、ということです。
つまり、ガチな筋トレマニアやアスリートではまた違った結果が出るかもね…ということでした。



筋トレ後のプロテイン摂取のタイミングはヘビーユーザーとライトユーザーでは違うかも…!

2014年の兵庫大学の研究によると、筋トレ直後のタンパク質・炭水化物の摂取は筋肉の成長に影響があるのかを調べてみたそうです。
この研究は、男性20名が参加しておりまして、

  1. 週2~5回の筋トレを平均6.2±2.8年間続けてきた健康な男性10名(平均年齢23±4歳、身長173.8±3.1cm、体重72.3±4.3kg)
  2. 週2~3回、野球やサッカーを軽くしているが筋トレ経験のない健康な男性10名(平均年齢23±1歳、身長171.8±5.0cm、体重64.5±5.0kg)

が参加したらしい。
つまり、重量挙げ選手やボディビルダーという筋トレヘビーユーザーと普段軽く体を動かしている程度の人の場合で、筋トレ後のタンパク質の効果が変わるんじゃないか…?ってことを調べた感じですね。
んで、全員に以下の筋トレメニューをしてもらったそうです。各筋トレ動作が気になる方はリンクの動画をご参照ください。


各種目は1RMの80%で行ったとのことで、8〜10レップ(連続して繰り返し行う回数)、4セットしたそうな。
続きまして、ランダムに2つのグループに分けられまして、ホエイプロテイン(100g当たり、タンパク質78.4g、脂質6.0g、炭水化物8.4g)を飲んでもらったとのこと。因みに体重(kg)×タンパク質0.3g+体重(kg)×炭水化物0.8gを飲んだそうで摂取タイミングは、

  1. 筋トレ終了直後(5分後)に摂取してもらう
  2. 筋トレ終了6時間後に摂取してもらう

だったそうです。
12日間調べた結果は、

  • 筋トレヘビーユーザーの窒素バランス(≒高いと筋肉発達スピードがアップ)は、筋トレ終了6時間後よりも筋トレ終了直後の方が約2倍高かった…!(6時間後0.5±0.4、直後1.1±0.3)
  • 普段軽く体を動かしている程度の人の窒素バランスに有意差はなかった…。

とのこと。
つまり、筋トレ後のプロテイン摂取のタイミングは、筋トレヘビーユーザーとライトユーザーでは違うみたい…!ってことですね。
この研究だけでは長期的な筋肉量アップにまで影響するかは不明なんですが、とりあえず、週2~5回の筋トレを6年以上続けている筋トレヘビーユーザーの方はゴールデンタイムを意識してみてもよろしいかもしれませんね~。



個人的考察

ということで、昔は私もゴールデンタイムを意識したもんですが、今はジムでの筋トレ後すぐには飲まず、家に帰ってからゆっくりプロテインを飲もう~ぐらいの感じとなっております。