【まとめ】嫌な記憶がフラッシュバックして止まらない!の対策には「あのゲーム」をしよう!
嫌な記憶がふっと湧き上がってくることは誰にでもありましょう。
しかし、これが悪化したりこじれてしまうと、心的外傷後ストレス障害(PTSD)になっちゃったりするんですよね。他にも反芻思考に陥って抑うつになったりとかもあったりします。当事業所に通われている方にもそんな方々がいらっしゃるのですが、なかなか辛そうだったりするんですよね…。
そこで今回は、そんな嫌な記憶のフラッシュバック対策として、あるゲームをすると良いよ…!ってお話をご紹介します。スマホにこのゲームを入れておくと気軽にできるんでおすすめです…!
テトリスを12分間プレイしよう…!
2015年のケンブリッジ大学とオックスフォード大学のRCTによると、PTSDのようなトラウマな記憶は繰り返しフラッシュバックしてしまうけど、これらの対策として良い方法はないのか調査してみたそうです。つまり、自動思考や反芻思考の対策を調べてみた…!ってことですね。
実験は全部で2つ行ったとのことでまずは実験1から見ていきます。
実験1に参加したのは52名の方々で、大学生と一般市民から募集して集めたそうな。
詳しい情報は以下のような感じで、
- 女性31名、男性21名
- 平均年齢18~51歳
- 学生65%、就業者21%、失業者14%
- イギリスの白人52%、その他の白人19%、アジア系インド人12%、中国人4%、アジア系パキスタン人4%、アフリカ系の黒人2%、アメリカの黒人2%、ラテンアメリカ人2%、アメリカの白人2%、アジア系の白人2%
様々な方に協力をお願いしたみたいです。
まず参加者には実験開始前(0日目)に過去のトラウマ歴や不安・抑うつ症状なんかをアンケートで答えてもらったそうです。
次にトラウマ映画を全員に見てもらったとのこと。
トラウマ映画は12分間のショートムービーで例えば、
- 少女が車にはねられて耳から血を流すシーン
- 海で男が溺れて死ぬシーン
- 10代の少年が、ながらスマホで道路を横切っていた時、車に轢かれるシーン
などがあったらしい。
全員が嫌な記憶を持ったところで、24時間、侵入思考(嫌な記憶がよみがえる、フラッシュバックする事)があったか日記に書いてもらったそうです。
1日経ったところで、参加者全員にラボにきてもらい、ランダムに以下の2グループに分かれてもらったとのこと。
- テトリスを12分間プレイしてもらう(26名)
- 何もしない(26名)
テトリスってのはパズルゲームで…って説明はいらないですよね(笑)
その後は参加者全員に侵入思考の記録を7日間(1日目から7日目まで)を日記(侵入日記)に書いてもらったそうです。
因みに侵入日記に書く侵入思考の定義は、
- 思いがけず勝手にふっと心に現れた映画のシーン
としたとのこと。
まさに嫌な記憶のフラッシュバックってことで、自動思考・反芻思考ですな。合わせて、わざと映画のシーンを思い出した記憶は書かないとも決められたそうです。この侵入日記はかなり詳細に書いてもらったみたいで、単に言葉やフレーズだけでなく、思い出した時のイメージや比喩表現、思い出した状況なんかも書いてもらったそうで、更に、侵入思考があったらその場ですぐに記録してもらったそうです。
最後に侵入日記の提出と映画シーンの記憶テストをしてもらい実験終了となります。
集められたデータを統計処理してみた結果はこんな感じ。
- スタート時(0日目)の映画の侵入思考の回数に違いはなかった(つまり皆同じようにトラウマを植え付けられた)
- テトリスを行った参加者は、何もしなかった参加者に比べ、明らかに侵入思考が少なかった…!
- テトリスを行った参加者は、何もしなかった参加者に比べ、明らかに侵入記憶(侵入思考による記憶)が薄れるのが早かった…!
- しかし、映画シーンの記憶テストに差はなかった…!
つまり、嫌な記憶自体はなくなっていないけど、それがフラッシュバックしたり、一度思い出すとなかなか離れられなくなる現象が減ったってことですね。これはすばらしいですね~。
実験2の参加者は72名でして、やはり多種多様な方に協力をお願いしたみたい(詳しくは下記参照)
- 女性47名、男性25名
- 平均年齢18~62歳(うち3割が退職者)
- イギリスの白人57%、その他の白人22%、ハーフ4%、中国人4%、白人黒人カリブ海人のハーフ3%、白人黒人のアフリカ人ハーフが3%、白人アジア人のハーフ1%、インド人1%、その他のアジア人1%
んで、方法も実験1と基本同じような方法で、4つのグループに分かれてもらい行いましたが、やはり結果は同じような感じで、
- 4グループともスタート時(0日目)の映画の侵入思考の回数に違いはなかった…!
- テトリスを行った参加者は、明らかに侵入思考が少なかった…!
- テトリスを行った参加者は、明らかに侵入記憶が薄れるのが早かった…!
- しかし、映画シーンの記憶テストに差はなかった…!
だったそうです。
やっぱりテトリスを行うと良いみたいですねー。
嫌なことがあっても4時間以内にテトリスを10分行えばフラッシュバックが大幅に減る…!
2010年のオックスフォード大学の研究によると、心的外傷後ストレス障害(PTSD)のようなフラッシュバック(ネガティブな出来事の侵入記憶)にテトリスが有効なのか調べてみたそうです。
実験は全部で2つ行われたそうで、まず一つ目の実験から見ていきましょう…!
まず一つ目の実験に参加したのは18~60歳の男女60名(男性30名女性30名、平均年齢27歳)で、過去のトラウマ歴や抑うつ、不安なんかはスタート時、全員違いはなかったとのこと。この方々全員にケガや亡くなってしまう映画のシーンを見てもらったそうで、この時みんなの気分は同程度ネガティブになったみたい。
続いて30分休憩してもらい、その後、以下の3グループにランダムに分かれてもらったそうです(各グループ20名ずつ)
- 10分間、テトリスを行う
- 10分間、静かに座っている(コントロール群)
- 10分間、クイズに答えてもらう
上記が終わった時点での皆の気分に違いはなかったそうで、実験室を出た後はフラッシュバックが起きたか1週間日記を書いてもらい、最後にどれぐらい映画を覚えているかテストをして終了となります。
図にするとこんな感じとのこと。
結果、
- コントロール群やクイズを行った人たちよりもテトリスをした人たちの方が、1週間フラッシュバックが大幅に少なかった…!
- クイズはコントロール群に比べ、1週間で多くのフラッシュバックを経験していた…!
とのこと。
つまりテトリスをすると良いけど、クイズの場合は逆に悪化する…!ってことですね。なんでもゲームをすりゃいいってわけではなさそうですね…。
続きまして、二つ目の実験に入りますが、基本的に一つ目の実験と内容は同じになります。違いとしては、
- 参加者が18~57歳の男女78名(男性36名女性42名、平均年齢22.9歳)
- トラウマ映画を12分間のショートムービーに変更
- トラウマ映画視聴後、4時間研究室を離れて自由に過ごしてもらった(一つ目の実験では30分)
って感じになります。
図にするとこんな感じ。
結果は、
- テトリスを行った人たちは、コントロール群やクイズの人たちよりもフラッシュバックが大幅に少なかった…!
- コントロール群とクイズの人たちのフラッシュバックの回数に有意差はなかった…!
ってことで、テトリスが良かったのは変わらないけど座っているのとクイズに違いがほとんどなくなってしまったみたいです。
この二つの実験結果に研究者曰く、
- 全てのデジタルゲームが良いとは限らず、単にトラウマの気を散らすだけでもなさそうだ。むしろ、一部のゲームにはデメリットすらもある可能性がある
としています。
あんま考えすぎるゲームは逆効果っぽいんで、この辺は注意ですねー。
また研究者は以下のこともおっしゃっております。
- テトリスのプラス効果は、ネガティブな体験後、4時間は効果がある。
例えば、嫌なことがあってその場でテトリスが出来なくても後でやっても効果がありそうってことですね。その基準が今回の研究で4時間以内って分かったのは大きいですね~。
個人的考察
- 嫌なことがあったら4時間以内にテトリスを10~12分行う…!
ってのを加えてみてください。
テトリスならApp StoreにもGoogle Play ストアにも基本無料でゲームがありますんで、スマホに入れておくと便利かと思います。
因みに個人的には、この研究はあんまり何も考えずに何かに10~12分間熱中する…!ってのがポイントな気がします。つまりマインドフルになるのが大事だと思いますんで、おそらくテトリス以外でも良いんじゃないのかな~と思います(じっくり考えるクイズゲームとかはやめた方が良さそうですが)
因みに個人的には、この研究はあんまり何も考えずに何かに10~12分間熱中する…!ってのがポイントな気がします。つまりマインドフルになるのが大事だと思いますんで、おそらくテトリス以外でも良いんじゃないのかな~と思います(じっくり考えるクイズゲームとかはやめた方が良さそうですが)