触法障がい者(罪を犯した知的障がい者)はどのぐらいいるのか?
その昔、少年院での調査研究に従事・診療を行っている医学博士のお話を聞く機会がございまして、当ブログの記事にもまとめたことがございます。
詳しくは、
をご覧いただきたいのですが、この時、触法障がい者(罪を犯した知的障がい者や発達障がい者、精神障がい者の事)って意外と多いってお話を聞いたんですよね。
- 少年院での調査研究に従事・診療を行っている医学博士から学ぶ動機や対策について「少年院の子どもに聞いてみた犯罪を犯した理由と原因」
- 少年院での調査研究に従事・診療を行っている医学博士から学ぶ動機や対策について「具体的な対策や支援方法」
- 少年院での調査研究に従事・診療を行っている医学博士から学ぶ動機や対策について「障がい者の支援者に必要な能力とは?」
をご覧いただきたいのですが、この時、触法障がい者(罪を犯した知的障がい者や発達障がい者、精神障がい者の事)って意外と多いってお話を聞いたんですよね。
このデータセットの中には、各年ごとに新受刑者(新しく刑務所に入る人)のIQをチェックした結果が載っております。そして、IQ69以下の方がどのぐらいいたのかをまとめてくれているんですよね。
それでは統計データから必要な部分を下記にバーッと抜き出してみますね。
- 年:新受刑者:IQ69以下:テスト不能:割合:割合(テスト不能含む)
- 2001年:28,469人:6,596人:?人:23.2%:?%
- 2002年:30,277人:7,079人:1,926人:23.4%:29.7%
- 2003年:31,355人:6,959人:1,781人:22.2%:27.9%
- 2004年:32,090人:7,172人:1,687人:22.3%:27.6%
- 2005年:32,789人:7,390人:2,035人:22.5%:28.7%
- 2006年:33,032人:7,563人:1,765人:22.9%:28.2%
- 2007年:30,450人:6,720人:1,605人:22.1%:27.3%
- 2008年:28,963人:6,703人:1,427人:23.1%:28.1%
- 2009年:28,293人:6,520人:1,263人:23.0%:27.5%
- 2010年:27,079人:6,123人:1,173人:22.6%:26.9%
- 2011年:25,499人:5,532人:936人:21.7%:25.4%
- 2012年:24,780人:5,214人:839人:21.0%:24.4%
- 2013年:22,755人:4,665人:852人:20.5%:24.2%
- 2014年:21,866人:4,463人:832人:20.4%:24.2%
- 2015年:21,539人:4,270人:287人:19.8%:21.2%
- 2016年:20,467人:4,246人:211人:20.7%:21.8%
- 2017年:19,336人:3,879人:873人:20.1%:24.6%
- 2018年:18,272人:3,493人:1,160人:19.1%:25.5%
- 2019年:17,464人:3,509人:559人:20.1%:23.3%
- 2020年:16,620人:3,317人:406人:20.0%:22.4%
- 2021年:16,152人:3,273人:305人:20.3%:22.2%
つまり、ここから何が言えるのかといいますと、
- 知的障がい者(IQ69以下)で罪を犯す人は、全体の約20%
- 但し、テスト不能者を含めると、全体の20~30%
となります。
もちろん、これらは新受刑者のみを対象としている為、刑務所に入らない方(軽犯罪等)を含めると、もっと多くなると思われますが、参考にはなりましょう。因みに詳しい情報を知りたい方は、新受刑者の罪名別 能力検査値を開いて確認してみてください。
個人的考察
こういった調査・研究はなかなか進んでいないのが実情で、平成20年度に「罪を犯した障がい者の地域生活支援に関する研究」という形で発表されたっきりって感じみたいです。
なんで、その後どうなったのか今回のブログ記事でまとめてみました。割合は全体的に下がってきているものの、大体この辺が平均なんでしょうね。
そういえば以前の記事に、知的障がいの方は犯罪に巻き込まれるケース(被害者にも加害者にもなり得る)ことがあるってことを書きましたが、その根拠はこの辺からもきております。というのも軽度~中度の知的障がいの方は犯罪に利用されるケースも多かったりしまして、例えば、
- 軽度~中度の知的障がいの男性の場合:やくざの下っ端などで使われることがある
- 軽度~中度の知的障がいの女性の場合:売春行為で利用されることがある
ってことがあるんですよ。
なんで、支援者は、支援している障がい者の方が絶対巻き込まれないようサポートしていきたいですねー。