その昔、少年院での調査研究に従事・診療を行っている医学博士のお話を聞く機会がございまして、当ブログの記事にもまとめたことがございます。
では実際どのぐらいの方がいるのか…?今回はそのあたりをチェックしておきたいと思います。



触法障がい者はどのぐらいいるのか…?

では触法障がい者が実際どのぐらいいるのか見ていきたいと思います。
今回、参考にしたいのが法務省の矯正統計統計表になります。
このデータセットの中には、各年ごとに新受刑者(新しく刑務所に入る人)のIQをチェックした結果が載っております。そして、IQ69以下の方がどのぐらいいたのかをまとめてくれているんですよね。
それでは統計データから必要な部分を下記にバーッと抜き出してみますね。

  • 年:新受刑者:IQ69以下:テスト不能:割合:割合(テスト不能含む)
  • 2001年:28,469人:6,596人:?人:23.2%:?%
  • 2002年:30,277人:7,079人:1,926人:23.4%:29.7%
  • 2003年:31,355人:6,959人:1,781人:22.2%:27.9%
  • 2004年:32,090人:7,172人:1,687人:22.3%:27.6%
  • 2005年:32,789人:7,390人:2,035人:22.5%:28.7%
  • 2006年:33,032人:7,563人:1,765人:22.9%:28.2%
  • 2007年:30,450人:6,720人:1,605人:22.1%:27.3%
  • 2008年:28,963人:6,703人:1,427人:23.1%:28.1%
  • 2009年:28,293人:6,520人:1,263人:23.0%:27.5%
  • 2010年:27,079人:6,123人:1,173人:22.6%:26.9%
  • 2011年:25,499人:5,532人:936人:21.7%:25.4%
  • 2012年:24,780人:5,214人:839人:21.0%:24.4%
  • 2013年:22,755人:4,665人:852人:20.5%:24.2%
  • 2014年:21,866人:4,463人:832人:20.4%:24.2%
  • 2015年:21,539人:4,270人:287人:19.8%:21.2%
  • 2016年:20,467人:4,246人:211人:20.7%:21.8%
  • 2017年:19,336人:3,879人:873人:20.1%:24.6%
  • 2018年:18,272人:3,493人:1,160人:19.1%:25.5%
  • 2019年:17,464人:3,509人:559人:20.1%:23.3%
  • 2020年:16,620人:3,317人:406人:20.0%:22.4%
  • 2021年:16,152人:3,273人:305人:20.3%:22.2%

つまり、ここから何が言えるのかといいますと、

  • 知的障がい者(IQ69以下)で罪を犯す人は、全体の約20%
  • 但し、テスト不能者を含めると、全体の20~30%

となります。
もちろん、これらは新受刑者のみを対象としている為、刑務所に入らない方(軽犯罪等)を含めると、もっと多くなると思われますが、参考にはなりましょう。因みに詳しい情報を知りたい方は、新受刑者の罪名別 能力検査値を開いて確認してみてください。



個人的考察

こういった調査・研究はなかなか進んでいないのが実情で、平成20年度に「罪を犯した障がい者の地域生活支援に関する研究」という形で発表されたっきりって感じみたいです。
なんで、その後どうなったのか今回のブログ記事でまとめてみました。割合は全体的に下がってきているものの、大体この辺が平均なんでしょうね。
そういえば以前の記事に、知的障がいの方は犯罪に巻き込まれるケース(被害者にも加害者にもなり得る)ことがあるってことを書きましたが、その根拠はこの辺からもきております。というのも軽度~中度の知的障がいの方は犯罪に利用されるケースも多かったりしまして、例えば、


ってことがあるんですよ。
なんで、支援者は、支援している障がい者の方が絶対巻き込まれないようサポートしていきたいですねー。



参考文献