認知症患者に対する認知刺激療法(CST)の効果についてアンブレラレビューを行ってみた!
「アンブレラレビューを見てみよう!」シリーズその76です。
認知症患者に対する認知刺激療法(CST)の効果についてアンブレラレビューを行ってみた…!
2023年の武漢大学の研究によると、認知症患者に対する認知刺激療法(CST)の効果についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
認知刺激療法(CST)ってのは2001年のユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究により、初めて開発された物でして、認知症の患者さんを対象に体験学習や過去の思い出、人や物の認識を通じて、認知を改善するテクニックとなっております。基本的に1回45分間で行い、これを週2日、合計15回行うって感じです。
んで先行研究により、その効果を確かめたものはたくさんあったんですが、結果は一貫していなかったらしい。そこで今回ガッツリチェックしてみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2022年12月31日までに発表された該当研究をコクラン、PubMed、CINAHL、Web of Science、CNKI、Wanfang Data、CBMdisc、 VIPデータベースで検索してみたそうな。併せて参考文献もチェックしたみたい。
すると8つのデータベース+参考文献から、合計2,010件の研究が見つかったんだとか。次に重複している研究を除外、その後、適格基準と除外基準に従ってさらに選別していったとのこと。
最終的に選ばれた研究は14件でして、これらを基にアンブレラレビューを行ってみたそうです。それでは結果の前にまずは各研究における認知刺激療法の特徴をチェックしておきますかー。
- 介入方法:認知トレーニング、認知リハビリテーション、その他の介入
- 介入回数:週1回~10回まで
- 介入時間:30分~90分
- 介入期間:4週間~2年
方法、回数、時間、期間と割とバラバラだったみたいですね。
では結果を見てみましょう。
- 認知機能:11件の研究で認知症患者の認知機能が改善したと報告されていた…!3件の高品質なエビデンス研究によれば、SMD=0.11、SMD=0.49、SMD=0.41だった…!
- うつ病:11件の研究結果は一貫性がなかった。
- 行動症状:9件の研究結果は一貫性がなかった。
- QOL:9件の研究結果は一貫性がなかった。
- 日常生活動作(ADL):4件の研究でチェックしていた。1件の中品質なエビデンス研究によれば、SMD=0.62だった…!一方で1件の中品質なエビデンス研究によれば、SMD=0.21(有意差なし)だった。
- 言語とコミュニケーション:3件の研究でチェックしていた。1件の中品質なエビデンス研究によれば、コミュニケーションがSMD=0.44だった…!
- 不安:2件の研究でチェックしていた。効果が小さく有意ではなかった。
- 記憶:1件の研究でチェックしていた。中程度で有意であり、効果サイズはSMD=0.34だった…!
とりあえず、認知刺激療法(CST)は認知機能改善と日常生活動作(ADL)改善に役立ちそうですね。あとは今後の研究に期待…!ってところでしょうか。
個人的考察
現時点での認知刺激療法(CST)の効果としてぜひ覚えておきたいですね…!